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偉人の読書量はどのくらい?


本

10月27日(火)~11月9日(月)は毎年恒例となった「読書週間」です。
普段、読書の習慣がない方もこれを機に、興味のある本を1冊読んでみてはいかがでしょうか?

今回は読書週間にちなんで、歴史上の人物たちの読書っぷりをご紹介します。

 

吉田松陰と読書

松下村塾

吉田松陰は江戸幕末期の長州藩の思想家です。

松下村塾という私塾で、明治維新の立役者となる高杉晋作や、のちに総理大臣となる伊藤博文などの他、数多くの傑物を育てたとして知られる人物です。2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』にも登場していましたね。

彼が、ある罪で投獄された1年2ヶ月の間に読んだという読書量が記録されています。その数、なんと618冊。1日1.4冊の本を読んでいた計算になります。恐ろしい読書量ですね。

ちなみにただ読んでいたわけではなく、重要な点は抜き書きし、読了した本は「卒業」としていました。読んだ内容をしっかり自分のものにしていったんですね。

そのためか、松陰の思想の変遷を見てみると、少しずつ変化していっているのがわかります。これも読書の効果の一つと言えるのではないでしょうか。

なお、618冊という記録は獄中読書によるものですが、松陰は投獄される以前も、農作業をしながら読書に励んだり、それができるような工夫をしたりしていたそうです。

松陰の一家はみんな勤勉で、父親や叔父の教えも大きく影響していると言われています。

 

ナポレオンと読書

アンバリッド

海外にも目を向けてみると、フランスの大将軍ナポレオン・ボナパルトも読書を好んだそうです。「余の辞書に不可能の文字はない」で知られていますよね。

彼は、「読書録」という、いわゆる読書ノートをつけていました。これを見ると、ナポレオンがどんな本を読んでいたかがわかります。

ざっくり言うと、兵学書の類や歴史書などが多かったようです。さすが将軍になる男は、効果的に実用書を読んでますね~。

と思いきや、彼が兵学書などよりも愛したと思われる本は、実は現代人にも読まれているゲーテの『若きウェルテルの悩み』でした。ナポレオンは、この小説をエジプト遠征時にも携帯して、7回も読んだそうです。

この作品は青年ウェルテルが、婚約者のいる女性を好きになってしまい悩む…という片思い小説。戦場にまで持っていくなんて、相当好きだったんですなあ……。

また、ナポレオンは移動中の馬車の中でも、本を読んでいたとか。
でも、つまらなかったり読み終わると窓から投げ捨てていたそうで……。街道になぜか本がたくさん落ちている…なーんて光景があったのかもしれません。

「ナポレオン様が通った後をついて歩けば本が手に入るぞ!」……と言われたかどうかは不明です。

 

南方熊楠と読書

南方熊楠

博物学者だった南方熊楠は、明治~昭和期の人物です。博物学者と言われることが多い熊楠ですが、その研究範囲は、植物を中心に、生物、民俗・伝承から菌類の研究まで多岐に渡っていたようです。

そんな人物ですから、読書も大好き。でも、家にある本は早々に読み終わってしまいます。

そこで、熊楠は、町内の蔵書家の家で百科事典全105巻を見せてもらい、それを記憶しては帰宅して書き写すことを繰り返して、なんと全巻書写し終えたといいます。(百科事典は図が入っていますが、図も書写したそうです。)

熊楠の勉強の仕方は、「興味のあるものだけ学ぶ」というようなものでした。それに加え、こうした読書法を実践することで、本の内容をより自分のものにしていったのでしょうね。なかなか真似できるものではないですが、吉田松陰やナポレオンも「記録」をしたように、「読んだら書く」というのも読書によりよい効果を付ける要素といえそうです。

ちなみに、熊楠が書写した本は上記以外にも数多くあります。「記憶書写」だったものも多いらしく、驚異の記憶力の持ち主としても知られています。

 

おわりに

ご紹介した3名以外にも、古代にはアレクサンドロス大王、近代でもヒトラーなどは読書家だったといいます。日本でも江戸中期の国学者・本居宣長なども有名です。「読書家」というような直接的な記録がないだけで、「本を読む」という習慣があった人物はまだまだたくさんいると思います。

もちろん、「読書量が多ければ歴史に名を残せる」というわけではないですが、いろいろな発見や学びが多いのは間違いないと思います。

まずは今年の読書週間! ぜひ読書に励んでみませんか。

 

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