読書嫌いには理由がある? 本を読まない人を読書好きに変える方法
「本を読まない人に、本を読んでもらうにはどうしたらいいか」。みなさんは、そんなことに悩んだことはないでしょうか。
あるいは、普段は本を読まない人に「本を読んでみたいんだけど、どんなものを読めばいいかな?」とアドバイスを求められたことはないでしょうか。
私はかつて書店員として働いていたことがあるので、そういうことを聞かれることが頻繁にあり、その度に相手が興味を持ってくれそうで、読みやすそうな本を紹介したりしていました。
その経験から気づいたのは、本を読まないで長く過ごしてきた人も、ポイントを押さえれば本が読めるようになり、さらに本が好きになったりすることができるということです。
今回は、「本を読まない人を本好きにするためのステップ」についてお伝えします。
「本を読まない」理由はさまざま。
本を読まない理由にはどんなものがあるのでしょうか?
「本を読まない」人にも様々なタイプがあります。例えば、
・文字を読むのが純粋に苦手なタイプ
・小説や文学などのフィクションが苦手なタイプ
・「本を読ませようとする人」に反発するタイプ
・本当は読んでいるのに「読んでいない」と思っているタイプ
など。
上に挙げたタイプごとに、本を読まない理由と対処法をそれぞれ紹介します。
文字を読むのが純粋に苦手なタイプ
◆理由
まず「文字を読むのが純粋に苦手なタイプ」。こういった方は、とても真面目な人が多いです。
もしかしたら、子供の頃に親や学校の先生から「本は最後まで丁寧に読みなさい」と教わってきたのかもしれません。
このタイプの人は、文章を頭から終わりまでしっかり理解しないといけないと思っていて、難しい漢字や単語が出てくると「もうダメだ」と思ってしまうのです。
◆対処法
こういった人には、文字が少なく、図や写真がたくさん出てくる本や、オーディオブックをすすめると良いでしょう。
オーディオブックのなかでも、なるべく自分が興味のあるジャンルのものを選ぶことをおすすめします。
興味のあるジャンルであれば自分から「知りたい」と思うので、読書が進むことでしょう。
一度でも何かの本を読み切って「理解した」と感じれば、それが励みになり、「読書ってそんなに難しくないんだ」と自信をつけることができるようになります。
小説や文学などのフィクションが苦手なタイプ
◆理由
フィクションを楽しむのが苦手な方は結構います。
登場人物に共感できない、感情移入ができない、という方が多く、「ベストセラーになっている◯◯を読んだけど、さっぱり分からなかった」と言われることもあります。
このタイプの方に多いのが、「読書=小説を読むこと」だという思い込みです。
要点をコンパクトにまとめた実用書やビジネス書とちがい、小説は登場人物の感情の機微、風景描写が細かく描かれています。
この細かい描写を「要点が間延びする」という理由で小説を苦手に思う人もいるでしょう。
◆対処法
個人的には、「合わない」と思えば、小説を読まなくても良いと考えています。
世の中には小説以外にもたくさんの本があります。小説は想像力を鍛えるには最適かもしれませんが、小説以外では鍛えられないということはありません。
また、こういった方には、ドキュメンタリーやノンフィクションをおすすめしています。
特にその人の興味に関わるもの(たとえば野球好きの方には、甲子園に関するノンフィクションなど)をおすすめすると、するっと読めてしまうことが多いようです。
要点が間延びするという理由で小説が苦手という人は、自分にとって役立つことがコンパクトにまとめられた実用書やビジネス書を読むとよいでしょう。
「本を読ませようとする人」に反発するタイプ
◆理由
学校などで強制的に本を読まされ、感想文を書かされるという経験を経て、「本を読ませようとする人」に反感を覚えるようになってしまう人もいます。
お子さんに本を読ませたいあまりに、押し付けになってはいないでしょうか。「本を読んでないなんて、人生の楽しみを知らなくてかわいそう」と言ったりしていないでしょうか。
どんな人でも、こんな風に言われたら嫌になってしまいますよね。
「ためになるから!」という理由で、親から興味のない本を押し付けられたせいで、読書嫌いになった人は少なくありません。
◆対処法
こういった方には、無理に本をすすめず「本は別に読まなくたっていい」と伝えます。「でも、楽しい本もあるよ」とも伝えてみましょう。
その上で、もし「本を読んでみたい」と相手が思うのであれば、相手の好きなものや嫌いなものを聞き、それに合う本をおすすめするのが良いでしょう。
決して自分の趣味を押し付けないように気をつけます。
小学校低学年くらいの子供の読書嫌いを直すのであれば、読み聞かせがおすすめです。
小学校低学年くらいの子供は、読書をすることで文字から情報を得る力が弱い時期。
親が読み聞かせした方が、一人で読書をするよりもストーリーの理解度が増すうえ、親子の仲を深める効果もあります。
本当は読んでいるのに「読んでいない」と思っているタイプ
◆理由
意外と多いのがこのタイプ。
前述したように、「読書=小説を読むこと」という思い込みは根強く、「小説」以外のものは読んでいても「読書」はしていないと思っている方が多いのです。
小説を苦手に思う人のなかに「ページ数の多さにうんざりする」という意見があります。
短編集ならともかく、ほとんどの小説が100ページ以上ある長文のものばかり。活字に慣れていないと読み終えるのに時間がかかるため、そのことを嫌に思う人もいます。
◆対処法
書店へ行けば、小説以外にも、料理本・ビジネス書・写真集・漫画・雑誌などたくさんの種類の本があることに気づくと思います。
特に雑誌は、読みたいところから読める仕組みになっているので、短時間で興味のあるところだけ拾い読みするのにおすすめです。
「自分は本を読んでいない」「文字を読めない」という思い込みは、読書の幅を狭くしてしまいます。
書店に行く習慣がある方には、「小説の棚以外のところも回ってみたら」とアドバイスしてみましょう。「本」というものの幅の広さを知るだけでも、「読書の楽しみ」は増えていきます。
本を好きになってもらうためのステップ
まとめると、本を好きになってもらうためには、以下のようなステップを踏む必要があります。相手に合わせて実践してみましょう。
・「本を読まない理由」を聞いてみる
・「読んだけどつまらなかった(読みきれなかった)」本を聞いてみる
・相手の興味・関心を聞き出す
・相手の読書習慣を聞く(本を読むか、読まないか)
・文字を読むのが苦手な人には、図や写真の多い本やオーディオブック
・「小説だけが読書ではない」と伝える
・相手の興味に合った本をすすめる(自分の趣味を押し付けない)
本を読むことが「楽しいこと」だと知ってもらおう!
「本好き」を増やすには、相手に寄り添いながら「本を読むことは楽しい」と心の底から伝えることが一番大事です。
うまくいけば、「読書仲間」を増やすことができますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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