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芥川賞と直木賞の違いって?|それぞれの違いとおすすめ作品紹介


毎年、1月と7月に同時に発表される芥川賞と直木賞。

どちらも「有名な賞」ということは知っていても、何が違うのか、そういえば知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、芥川賞と直木賞はそれぞれどんな賞なのか、何が違うのかをご紹介していきます。

 

 

芥川賞とは

芥川賞は正式には、「芥川龍之介賞」といいます。

「芥川龍之介賞」という名前ではありますが、実はこの賞、芥川龍之介が創設した賞ではありません。

芥川賞を創設したのは、芥川龍之介の友人で「文藝春秋」の創設者の菊池寛。この賞は、芥川龍之介の功績を記念してつくられた賞なのです。

 

受賞作品は、文藝春秋に事務所がある「公益財団法人 日本文学振興会」の選考委員により決定されます。

2018年上半期(第159回)の選考委員は9名。うち7名は芥川賞の受賞者です。

・宮本輝……第78回『螢川』
・高樹のぶ子……第90回『光抱く友よ』
・小川洋子……第104回『妊娠カレンダー』
・奥泉光……第110回『石の来歴』
・川上弘美……第115回『蛇を踏む』
・堀江敏幸……第124回『熊の敷石』
・吉田修一……第127回『パーク・ライフ』
(敬称略)

あとの2名は、6度も芥川賞候補に選ばれた島田雅彦氏、直木賞作家の山田詠美氏という、いずれも文学界の実力者となっています。

【関連記事】芥川賞のびっくりエピソード

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直木賞とは

直木賞の正式名称は「直木三十五賞」。「なおきさんじゅうごしょう」と読みます。

芥川龍之介にくらべて知名度は高くはありませんが、直木三十五も作家であり、菊池寛の友人です。

1935年、直木賞は芥川賞と同時に創設されました。選考の時期や、受賞者に贈られるものも芥川賞と変わりません。

 

2018年上半期の直木賞の選考委員も9名で、うち8名は直木賞作家です。

・林真理子……第94回「最終便に間に合えば」「京都まで」
・宮城谷昌光……第105回『夏姫春秋』
・伊集院静……第107回『受け月』
・高村薫……第109回『マークスの山』
・浅田次郎……第117回『鉄道員』
・宮部みゆき……第120回『理由』
・桐野夏生……第121回『柔らかな頬』
・東野圭吾……第134回『容疑者Xの献身』
(敬称略)

こちらもそうそうたるメンバーです。

あと1名の北方謙三氏は、直木賞こそ受賞していませんが、何度も候補に上がっている実力者です。

【関連記事】直木賞・直木三十五とは、どんな賞で誰なのか?

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芥川賞と直木賞の違いとは

選考メンバーが違うものの、創設時期や副賞などに違いはありません。

では一体、芥川賞と直木賞は何が違うのでしょうか。

 

■芥川賞

対象者……新人作家

対象作品……短編~中編(明確な規定はない)

対象ジャンル……純文学(「芸術性」や「形式」が重んじられた文学作品)

受賞作品の掲載雑誌……「文藝春秋」

 

2015年上半期(第153回)の芥川賞は、お笑い芸人でもある又吉直樹氏が受賞したことで話題になりましたよね。

そのときの選考委員、山田詠美氏が「又吉くんうらやましい」と発言したように、新人や若手作家のときにしか受賞のチャンスがないのです。

 

■直木賞

対象者……中堅作家、またはベテラン

対象作品……短編~長編作品

対象ジャンル……大衆小説(「芸術性」よりも「娯楽性」に重きを置いた小説)

受賞作品の掲載雑誌……「オール読物」

 

もともとは直木賞も新人作家に贈られていましたが、徐々に中堅作家に贈られる賞になりました。

ちなみにどちらも、公募による賞ではありません。
「よし、この作品を芥川賞に応募しよう!」といったことはできないのですね……。

 

そして最後にちょっとした違いを……。

選考は1961年からどちらも築地の料亭「新喜楽」で行われているのですが、芥川賞の選考は1階、直木賞は2階という違いがあります。

大物作家の方々がどんな白熱した議論を交わしているのか、気になるところです。

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受賞作を読んでみよう!

芥川賞と直木賞の違いがわかったところで、ぜひ受賞作を読んでみてください!
ここで、最新の受賞作品と、筆者がぜひ読んでほしいと思う作品をご紹介します。

 

■芥川賞の最新作とおすすめ作品

『送り火』表紙

送り火
高橋弘希(著)、文藝春秋

最新の2018年上半期(第159回)芥川賞は、高橋弘希氏の『送り火』。東京から東北に引っ越した中学生の暴力的な遊びが横行する日常を描いた作品です。

繊細で、不吉の描写が上手い、純文学の王道と評価されています。

 

『火花』表紙

火花
又吉直樹(著)、文藝春秋

お笑い芸人である又吉直樹氏が受賞したことで話題となった『火花』。売れない芸人が天才・神谷に惹かれ弟子入りを志願するという物語。

深みがありながらも読みやすく、純文学といわれると構えてしまう人にもおすすめです。

 

『苦役列車』表紙

苦役列車
西村賢太(著)、新潮社

芥川賞を受賞すると人生が一変するといわれています。『苦役列車』の作者である西村賢太氏も、芥川賞の受賞で有名になりました。

プライドが高く他人を見下している男の、生きる日々を描いた作品です。

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■直木賞の最新作とおすすめ作品

『ファーストラヴ』表紙

ファーストラヴ
島本理生(著)、文藝春秋

最新となる2018年上半期(第159回)直木賞を受賞した島本理生氏の『ファーストラヴ』。

父親を殺害した女子大生の動機を臨床心理士の女性が明らかにしていく作品で、文章の繊細さや深さ、リアリティの高さが評価されました。

 

『プラナリア』表紙

プラナリア
山本文緒(著)、文藝春秋

「無職」をテーマに描かれた短編集。人生に悩む女性たちの葛藤や日常を、リアルに切り取った作品です。
なんだかスッキリしない終わり方なのに、なんとなく共感してしまうことでしょう。

 

『下町ロケット』表紙

下町ロケット
池井戸潤(著)、小学館ほか

直木賞はエンターテイメント作品が対象なだけに、ドラマ化や映画化でも成功している作品も少なくありません。

なかでも話題となったのが池井戸潤氏の『下町ロケット』。
中小企業の社長が、会社の社員とともに試練を乗り越えながら生き延びていく物語。非常に痛快な小説です。

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文学作品に触れるきっかけに

 芥川賞や直木賞は、作家にとってスターダムに上がるきっかけになります。

しかし、普段本を読まない人にとっては、本を手にとるきっかけになるひとつではないでしょうか。気になった作品があれば、ぜひ読んでみてくださね。

 

過去の芥川賞・直木賞受賞作はこちらをチェック!

年代別直木賞特集

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