懐かしい子供向けアニメの原作となった絵本・児童文学とは?
公開日:2020/1/16
子供向けのアニメ作品に、原作となる絵本や児童文学があることをご存知でしょうか。
ここでは、懐かしい子供向けアニメの原作となった絵本や児童文学をご紹介します。
アニメと原作の違いや成り立ちなどを知ることによって、違った側面から楽しむきっかけとなります。一度原作の世界を覗いてみませんか?
アニメ「ノンタンといっしょ」
原作「ノンタン」シリーズ
キヨノサチコ(著)、偕成社
まだお話が上手にできない子供にもぴったりの「赤ちゃん版 ノンタン」シリーズや、3~4才の幼児向け絵本「ノンタンあそぼうよ」シリーズなど、幅広い年齢層に人気の絵本。
元気で明るい白猫のノンタン、妹のタータンのほか、ぶたさん、うさぎさんなどさまざまな動物が登場。ノンタンと一緒に遊んだり、振り回されたりしながら、楽しいお話が展開されます。
アニメ『ノンタンといっしょ』は、子供向け朝番組『ウゴウゴルーガ』のアニメコーナーで放映されました。
ミュージカルを思わせる音楽、コミカルで楽しげな効果音を盛り込み、絵本よりも高い年齢層まで楽しめるようなストーリーとなっています。
アニメ「おばけのホーリー」
原作「よわむしおばけ」シリーズ
わたなべめぐみ(著)、原ゆたか(絵)、理論社
弱虫で失敗ばかり、出来の悪いおばけコールタールが主人公の「よわむしおばけ」シリーズ。
コールタールとは、石炭の乾留によってできる黒い液体のこと。彼はそんな液体のおばけなのです。
1978年にシリーズ最初の絵本『よわむしおばけ』が刊行され、その後フォア文庫でも刊行されました。イラストは「かいけつゾロリ」シリーズで知られる原ゆたかさんが担当しています。
アニメは、1991年に『おばけのホーリー』として放映されました。主人公はコールタールから、チョコレートのおばけホーリーに変更されています。
ホーリー、キャンディのおばけ キャンディ、ピーマンのおばけ ピートン、トイレットペーパーのおばけ トレッパー。彼らが巻き起こす日常が描かれており、人気を集めました。
アニメ「たこやきマントマン」
原作「たこやきマントマン」シリーズ
高田ひろお(著)、中村泰敏(絵)、金の星社
1990年に『たこやきマントマン はじめてのぼうけんのまき』が刊行され人気を集めた「たこやきマントマン」シリーズ。5人兄弟の5つ子ヒーロー・たこやきマントマンたちが、冒険しながら悪いやつらを倒していきます。
1998年にアニメ放映された『たこやきマントマン』。
「たこたこた~こた~こたこた~こ、た~こたこたこやき、マントマン♪」というオープニング曲を覚えている方も多いのではないでしょうか?
「べにしょうがクラッシュ」や「てんかすビーム」など、思わず声に出したくなる必殺技は魅力的でした。
アニメ「ムーミン」
原作『ムーミン童話全集』
トーベ・ヤンソン(著)、講談社
ムーミン谷に住んでいる、ムーミントロールが主人公。
旅人のスナフキン、かわいいスノークのお嬢さん、優しいミムラねえさんといたずら者のちびのミイ、臆病なスニフなど、ムーミン谷に住む個性的な仲間の生活が描かれています。
アニメ版では1969年、1972年に『ムーミン』のタイトルで放映されたのち、1990年に『楽しいムーミン一家』として放映されました。
原作ではそれぞれの性格がはっきりと書き分けられていたのに対し、アニメではのんびりとした雰囲気に統一されています。
それでもなおムーミン谷の独特な世界が根底に受け継がれ、現在でも子供から大人まで、幅広い支持を得ている物語です。
【関連記事】原作の「ムーミン童話」とは? ムーミンワールドの原点はこれ!
アニメ「アニメ ブルーナの絵本」
原作「うさこちゃん」シリーズ
ディック・ブルーナ(著)、福音館書店
オランダの絵本作家ディック・ブルーナによって描かれた『ナインチェ・プラウス』。その後、日本の翻訳家である石井桃子氏により『ふわふわうさこちゃん』と訳された絵本が1964年に刊行されました。
現在では40ヶ国語に翻訳され、世界中で親しまれているキャラクターです。
小さな子供にも親しみやすい絵柄として極力単純化したイラストと原色の色使いは多くの子供たちに受け入れられ、現在でも多くの人に愛されています。
アニメ版では、NHKの教育テレビ(現在のEテレ)で1993年から1年間にわたって放映された『アニメ ブルーナの絵本』の中で初めて登場しました。
5分という短い尺でありながら、ナレーションに9歳の少女を採用したことで印象深く、親しみやすいアニメとして好評を博しました。
アニメ「それいけ!アンパンマン」
原作「あんぱんまん」シリーズ
やなせたかし(著)、フレーベル館
やなせたかし氏による絵本「あんぱんまん」シリーズ。
1975年刊行の『あんぱんまん』を皮切りに『あんぱんまんとばいきんまん』『あんぱんまんとかびるんるん』など、一話読み切りの絵本を次々に刊行しています。
もともとひらがな表記だった「あんぱんまん」は、現在のアニメタイトルにもなっている『それいけ!アンパンマン』の刊行以来、カタカナ表記になっています。
アニメを含め、最近の絵本のアンパンマンはやなせ氏が作画に携わっていません。そのため、刊行当初の絵本にはやなせ氏独自の雰囲気があります。
また、登場人物の性格や容姿にも微妙な違いが見られ、メッセージ性の強い作品となっていることが特徴です。
アニメ「小公女セーラ」
原作『小公女』
フランシス・ホジソン・バーネット(著)、ポプラ社ほか
7歳の少女サアラ・クルウは、裕福な家庭の娘として何不自由ない暮らしをしていました。
ところが、サアラが寄宿舎学校へ入学した直後、父が破産した末に亡くなったという知らせが……。授業料を支払うあてのないサアラは一転して学校の召使いになります。
恵まれていた頃には対面することのなかった人間の非情さ、冷酷さに触れながらも、サアラはプリンセスとしての誇りを持ち続け、強く美しく生き抜ける……そんなお話です。
『小公女セーラ』として1985年にアニメが放映されています。
原作ではサアラがプリンセスゆえの「誇りを失わない強さ」を持って生きる点に重きを置いていますが、アニメ版ではセーラの「優しさゆえの強さ」を強調して描かれているのが特徴です。
これは、日本と欧米の価値観の違いを考慮し、調和を重んじる日本人向けに作られたと言われています。
原作を知ることで新たな物語が開ける
上述したもののほかにも、たくさんの絵本や児童文学書がアニメとして放映されています。
あなたのお気に入りだったアニメにも原作となる絵本や児童文学があるかもしれません。
そんなときはぜひ、原作の世界にも足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。大好きな物語の新たな扉を開いてみましょう。
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ライター:クボタ