「積読」、卒業しませんか?明治から続く読書家のお悩み解消法
こんにちは。「積読武者」の異名をもつサカモトです。
「積読」…「つんどく」と読みます。一口に言っていますけど、この言葉はいったい何者なんでしょうか。「積んでおく」に「読む」をかけた冗談みたいな作りの言葉ですが、本当のところはどうなのか!
この素朴な(どうでもいい)疑問の調査にあたったのがブックオフオンライン「積読」調査隊のサカモト隊長である!なお、隊員はいない!
「積読」とはどういう意味なのか、ちゃんと確認してみた
「積読」はさっきも書いたとおり、「積んでおく」に「読む」をかけて作られた造語だと思いますので、意味もそのまんま「読まずに積み重ねておく」くらいだろうと勝手に思っていますが、実際のところは微妙なニュアンスとかが違うのかもしれません。
ここはきちんと辞書で調べてみましょう。国語辞典は…高校卒業と同時に年の離れた従兄弟に譲り渡した(押し付けた)ので手元にありません……。なので、とりあえずネット検索!
出てきたのはこちら。
「《積んでおく意に読書の「どく」をかけたしゃれ》書物を買っても積み重ねておくだけで、少しも読まないこと」
(出典:デジタル大辞泉)
くっ……やはりそのまんまかい!しかも、「積み重ねておくだけで、読まないこと」でもいいのに、「少しも」とわざわざ強調しているあたりに強い非難の意図を感じる。これはこの私が200冊くらい積んでいることが潜在的な罪悪感として影響しているのでしょうか……。あと、やっぱり「しゃれ」だったんですね。冗談のようで冗談じゃなかった。
いったい、いつ誰がこんな秀逸なのかくだらないのかわからないしゃれを思いついたのか……。
続いて由来といつから使われているのかを調べてみました。
「積読」発案者が判明!?
これまた調べてみたところ、Wikipedia「読書」の項に気になる記述が!
「本を読まずに大量に積み上げることを、皮肉的に「積ん読」(つんどく)ともいう。」
”皮肉的に”とまで言われるとは。最近だと「本棚に入れているが読んでいない」という、擬似積読の人も多いでしょう。私は本当に積み上げています(今は、ひざ上くらいまでの高さが5タワー…)ので、この皮肉はグサリと来るぜ。
でも、そんなことより注目はこの後。
「(この「積ん読」という言葉を発案したのは田尻稲次郎である。)」
なんと!考案者がはっきりしていたとは意外や意外!どこからともなく言われ始めた俗語かと思っていました。
そうなるとこの田尻氏はいったいいつのどんな人なのかが気になりますね。
今度はこの田尻氏について調べてみましょう。
「積読」は明治時代からあった
これまたWikipediaの記述によると、田尻氏はこんな方。
「日本の経済学者・政治家・官僚。元東京市長。専修学校(専修大学の前身)の創始者の一人である。子爵。」
え、えらい人じゃないか……。こんなえらい人が考案した言葉だったとは……。
田尻氏の生没年は1850年~1923年(満73歳没)とあります。ちょうどペリーが下田にくるちょっと前から関東大震災があった年まで生きておられたということになります。主に明治時代ですかね。この間に考案されたということになります。
そこでさらに調べていくと、明治34年(1901)に丸善が発行していた読書雑誌『学燈』に田尻氏が「田尻北雷」名義で寄せた文が掲載されており、その中に「書籍つんどく者を奨説す」という記述があるそうです。
というわけで、「積読」は明治時代からあった言葉で、考案者は田尻稲次郎(田尻北雷)氏ということになりますね。
へー。思っていたより壮大だった!
積読はほどほどに……。
普段から何気なく使っていた「積読」という言葉。由来はかなり古いことがわかりました。昔から本を積んじゃう人はいたんですねえ。でも、言葉がなかっただけで、積んでいる人自体はもっと昔からいそうですよね。昔は本はもっと高価だったといいますから、学者先生とかになるのでしょうが……。これも機会があれば調べてみたいものです。
しかし言葉は何気なく使っていてもいいですが、未読の本は何気なく積まないようにしたいものですなぁ…。もちろん私も端から読んでおりますよ!……読むのは遅いですけれども。
「積読」解消法はシンプル!一歩を踏み出すのが大事
古くから多くの読書家が悩んできた「積読」。断ち切りたいけどなかなか断ち切れないものです。現代でも同じ悩みを抱える人は少なくないでしょう。
でも、その解消法は意外なほどシンプル。難しく考える必要はありません。初めの一歩を踏み出せば、あとは自然と進んでいくのではないでしょうか?
その「初めの一歩」とは、現状把握。本棚にどれくらいの未読本・読み差しがあるのかを洗い出し、「見える化」しましょう。そして、それらは「今でも本当に読みたい本かどうか?」、1冊ずつ精査していきます。買うときは衝動に任せることが多いものですが、実際に読んでみたら自分は何を得られるのか、イメージするのです。
「積読」を繰り返さない心がけも必要
本当に読みたい本だけが残ったら、あとは「読む時間」を捻出します。「いつか読む」ではその「いつか」は永遠にやって来ないので、もう強制的に時間をつくります。その方法は、「1日読書デー」を設定するのでも、毎日のスキマ時間をルーティンに充てるのでもOK。
最後に、今後の購入習慣を見直すことも忘れずに。次からは買う前に「本当に読みたい本かどうか」よーく検討すること。買ったらその日のうちに、1ページでもいいので読みはじめること。買ったらすぐに本棚行き……という同じことの繰り返しにならないよう、ちょっと意識を変えてみてはいかがでしょうか。
【参考サイト】
■「読書」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2014年8月13日 (水) 05:58 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/読書
■「田尻稲次郎」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2016年6月6日 (月) 03:36 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/田尻稲次郎
積読解消に役立つ!おすすめの記事をご紹介しています。