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普通の小説じゃ満足できない!? 日本三大奇書をまとめて解説!


『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』を読んだことがありますか?

日本三大奇書と呼ばれる三作品です。

普通の小説では満足できない、奇抜なものを読みたいという方におすすめです。

有名だけれど「奇書」と呼ばれるこの三作品には、他の本では味わえないものがあります。

話のネタにもなるので、ぜひ挑戦してみてください。

 

読むと精神に異常をきたすと言われる『ドグラ・マグラ』

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『ドグラ・マグラ』
夢野久作(著)、 角川書店

 

横溝正史氏はこう語っています。

「『ドグラ・マグラ』を読んで頭が変になったらしいんだよね。だから俺はまだ相当感受性が強いなと思って、安心したよ」

読むと精神に異常をきたすと言われる所以は、奇抜なアイデアで幻惑的、複雑に綴られている文章でしょう。

主人公は目が覚めると病室にいました。

なぜか精神病院に入院しているのです。

医者の話を聞いても何がなんだかわかりません。

どうやら主人公は過去になんらかの事件に関わったようだ、ということはわかってきます。

読み手は、主人公に起こる出来事や博士の話を論理的に時系列で考えながら読もうとしても、奇想的な展開に翻弄されてしまいます。謎を解いていく推理小説であるとされますが、グロテスクで難解な表現が多く、ただのミステリーではないからです。

胎児の夢、非科学的な治療など、異様で荒唐無稽な話が本書の大きな魅力となっています。

 

『ドグラ・マグラ』を楽しむコツ

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『ドグラ・マグラ』を楽しむコツを一つあげるとすると、悪夢のようなストーリーの中に、独特なテンポがあることでしょうか。

また、常識にとらわれずに挑み、読み返しながら少しずつ時間をかけて読んでいくと挫折しにくいようです。

『ドグラ・マグラ』は映画化、舞台化もされました。

映画は非常に長い原作をうまくまとめてあり、わかりやすく作られ、高い評価を得ました。

原作を読んでもよくわからず、映画を観て「そうだったのか」と理解できた人もいると思います。
本と合わせて映画を観ても面白いですよ。

 

知識欲を刺激される『黒死館殺人事件』

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『黒死館殺人事件』
小栗虫太郎(著)、 河出書房新社

 

小栗虫太郎(おぐりむしたろう)は1901年生まれの小説家です。

東京の神田に生まれ、昭和初期の探偵小説ブームを起こした一人。

脳溢血により45歳という若さで亡くなりました。

『黒死館殺人事件』は1934年に発行され、重版を繰り返している人気作品です。

ゲーテの『ファウスト』をテーマとし、ファウストの呪文とともに殺人が次々と起こるストーリーで、物語の冒頭、「黒死館」と呼ばれる館で毒殺事件があり、名探偵が呼ばれることで物語が動き出します。

 

ミステリーであってミステリーでない?!

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探偵が謎に挑むという推理小説のように思えますが、この作品が「奇書」と言われるように、ただの推理小説ではない難解な展開が待ち受けています。

医学、占星術、宗教、物理学、心理学、暗号学、犯罪心理などの非常に多くの要素が絡み合い、各分野の専門用語が頻出する文章。本筋に直接関係のない情報は9割も書かれていると言われています。

この本筋とは関係のない9割が、マニアの心をくすぐります。わかる人にはわかる、といった感じでしょうか。知識欲を満たしたいという人の欲望に応えてくれるのです。

一筋縄ではいかない重厚な世界が複雑に展開され、一般的な小説では満足できない読者たちの心を見事にとらえています。

ミステリーとして普通に読んでいると「この事件の犯人は?動機は?」と考えてしまうものですが、そうやって読んでいくと状況の整合性がなかったり話がどんどん飛んだりと、一筋縄ではいきません。

これはミステリーのようであってミステリーではない、ジャンルを超えた小説だと思って、独特でゴシックな世界を楽しんでいけば、入っていきやすいでしょう。

 

アンチ・ミステリーの傑作『虚無への供物』

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『虚無への供物』
中井英夫(著)、講談社

中井英夫(なかいひでお)は、1922年東京生まれの小説家です。

東京帝国大学に在学中、吉行淳之介氏たちと「新思潮」に参加し、短歌の編集をしています。

小説家としては、ロマンティシズムと幻想性豊かな作品を残しました。

 

『虚無への供物』は1964年に刊行され、推理小説のようで推理小説ではない「アンチ・ミステリー」の傑作として知られています。

この小説は、「洞爺丸事故」という実際に起こった事故からヒントを得て構想を練ったそうです。

氷沼家の中で展開される殺人事件。

家に居合わせた登場人物たちが、推理合戦をする様子が描かれます。

それぞれの人物のキャラクターが個性的で面白く、不謹慎にも推理を楽しんでいる様子は異様な光景に見えます。

 

読者の想像を超えていく

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『不思議の国のアリス』や江戸川乱歩作品など、有名な話のネタが盛り込まれ、ストーリーが二転三転していきます。そのたび読者は驚かされ、心理トリックに背筋が凍るような思いもさせられて、まるで嵐の中にいるようです。

読み進めると推理合戦はますます加速していき、小説の勢いについていくのが大変なほど……。

整理しながら読んでいるつもりでも、想定外のところにヒントや答えがあり、あちこち振り回されてしまいます。

そして、ミステリーだと思って読んでいると、とんでもない着地点にたどり着きます。

そこが読者の想像を超えた壮大さであり、この本の魅力でしょう。

本書は、ミステリーを愛する人に強い印象を与え、人々に深い問いかけをしています。
ミステリーという形を否定しているのに謎を残している、当時としては実験的な小説でした。

後世に引き継がれてきた名作であり、誰にも真似のできない奇書なのです。

 

一度は読んでみたい三大奇書

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誰でも聞いたことはある『ドグラ・マグラ』などの日本三大奇書は、刊行されて何十年もたった今でも読み継がれている名作たちです。

気になっていたけれど読んだことはない、という人も一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

一筋縄ではいかないから「奇書」であり難解ですが、奇妙で壮大な世界に触れてみることも面白いものです。

 


今回ご紹介した書籍
ドグラ・マグラ』夢野久作(著)、角川書店
黒死館殺人事件』小栗虫太郎(著)、 河出書房新社
虚無への供物』中井英夫(著)、講談社


 

得体のしれない読後感が味わえる『奇書』のおすすめ本、まだまだあります!