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村上龍 おすすめ小説|社会派小説から青春小説も


更新日:2019/10/25

村上龍 おすすめ小説

小説家、映画監督、コメンテーターなど、幅広い分野で活躍している大御所作家の村上龍さん。

このコラムでは、代表作『限りなく透明に近いブルー』を含む、村上さんのベストセラー作品をご紹介します。

 

『限りなく透明に近いブルー』

『限りなく透明に近いブルー』表紙

限りなく透明に近いブルー
講談社

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! <群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作>(新装版 表紙裏)

 

芥川賞受賞作。暴力、ドラッグ、セックスに溺れた若者たちの物語です。

主人公の名前はリュウ。明言されてはいませんが、村上さんの体験をベースに描かれたとされています。
爽快感のあるタイトルから想像されるものとは真逆で、とにかく生々しく、刹那的で、荒廃した世界が描かれる問題作です。

物語自体は紆余曲折があるわけではなく、主人公のリュウが、欲望のままに生きる仲間たちを、どこか他人事のように醒めた目で眺めているだけ。
1976年当時、芥川賞の選考会でも賛否が分かれたという逸話も残っています。

21世紀の現代を生きている私たちとはあまりにもかけ離れた描写にたびたび絶句しながらも、村上さんの表現の巧さに舌を巻く一冊です。

 

『半島を出よ』

『半島を出よ』表紙

半島を出よ
幻冬舎

二〇一一年春、九人の北朝鮮の武装コマンドが、開幕ゲーム中の福岡ドームを占拠した。さらに二時間後に、約五百名の特殊部隊が来襲し、市中心部を制圧。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。慌てる日本政府を尻目に、福岡に潜伏する若者たちが動き出す。国際的孤立を深める日本に起こった奇蹟!話題をさらったベストセラー、ついに文庫化。(文庫版 上 表紙裏)

 

毎日出版文化賞および野間文芸賞受賞作。上下巻で1,000ページ越えの大作です。

舞台は、財政破綻し、国際的に孤立を深める近未来の日本。
2011年、北朝鮮の部隊が福岡を制圧する事態に。そこで日本政府は、他府県へのテロ防止のために福岡を封鎖するのですが……。

 

特筆すべきは、圧倒的なリアリティと説得力。
北朝鮮、国際法、少年兵、軍事、火薬、建築、医学など、200冊を超える参考文献に、十数人の脱北者へのインタビュー、ソースは絶対に明かさない約束で実現した数々の取材――。

ノンフィクションばりの綿密な描写とエンタテインメントが合わされば、こんなにも面白い。そして、リアリティがあるからこそ、フィクションでありながらも自分事のように深く考えさせられるのです。

読者に問題提起を投げかける、警告の書ともいえます。

 

『コインロッカー・ベイビーズ』

『コインロッカー・ベイビーズ』表紙

コインロッカー・ベイビーズ
講談社

一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清清しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に。(新装版 表紙裏)

 

野間文芸新人賞受賞作。コインロッカーに遺棄されていた2人の少年、キクとハシの物語です。2人は双子ながらも、対照的に育っていきます。

村上作品には珍しく「青春小説」にカテゴライズされる作品ですが、2人の悲惨な生き様を読んでいると、鬱屈とした気持ちになります。
初めて読んだのは思春期でしたが、今、子供がいる母親目線で読み返すと切ないですね……。

そして、物語の中に現れる謎のキーワード「ダチュラ」。
世界を破壊して作り直すために必要な兵器として書かれていますが、果たして「ダチュラ」は何なのか? 2人がそれを手に入れた時、世界はどうなるのか?

読んでいると、暗黒のパワーに引きずられてしまいそうな瞬間があります。くれぐれもご注意を。

 

『イン ザ・ミソスープ』

『イン ザ・ミソスープ』表紙

イン ザ・ミソスープ
幻冬舎

夜の性風俗ガイドを依頼してきたアメリカ人・フランクの顔は奇妙な肌に包まれていた。その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断され歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。ケンジは胸騒ぎを感じながらフランクと夜の新宿を行く。97年夏、読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作。読売文学賞受賞作。(文庫版 表紙裏)

 

社会派サイコホラー。

他国から見た日本とは。正常と異常の境界とは。娯楽殺人をする人間がなぜ存在するのか。非常にセンセーショナルなテーマが取り上げられています。
身の毛がよだつようなグロテスクな描写は、凄惨すぎて何度もページを閉じたくなりました。

また、登場人物の行動が理解不能で、何が起こるのかが予想ができず、小心者の私はビクビクしながら読んでいました。

得体の知れないものに対する恐怖心。村上さんがあとがきで書いていた「言葉を失って喘いでいる人々の叫びと囁きを翻訳するのが文学である」という言葉は、今も胸に残っています。

 

『69 sixty nine』

『69 sixty nine』表紙

69 sixty nine
文藝春秋ほか

1969年、この年、安田講堂事件が起き、東大は入試を中止した。アポロが月に行き、ビートルズが「アビーロード」を、ローリング・ストーンズは「ホンキー・トンク・ウイメン」をリリースした。ベトナム反戦運動が高まり、基地の町・佐世保で、僕は高校をバリケード封鎖した――。明るく楽しく生きる青春のエネルギーに満ちた日々を描いた永遠の古典。(文春文庫 表紙裏)

 

1969年に高校生だった村上さんの思い出を小説にしたもの。数多の村上作品の中でも異彩を放つ、明るくポップな作品です。

当時流行っていた音楽や映画、空気感。高校生ならではの熱っぽさ、悪ノリ、衝動……。私はこの時代を生きてはいませんが、不思議と懐かしい気持ちになりました。

村上さんがあとがきで「これは楽しい小説である。こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた」と語っているほど、明るく、村上さんの新たな一面を垣間見られる作品です。
ぶっ飛んだ高校生男子たちの物語を読みたい方はぜひこちらを。

 

村上ワールドを楽しもう

興味がわいた作品はありましたか?

もし村上龍さんの作品を読んだことがないなら、まずは『限りなく透明に近いブルー』を読み、村上ワールドを味わうことをおすすめします。

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ライター:飯田 萌