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紙についた油染みは本当に落とせるのか試してみました


更新日:2016/3/19

弟に貸していた本に油染みができていました。ショックで気分が下がり気味なイワモトです。

本を貸すときはそれなりに覚悟をしていますが、やっぱり食べかすが挟まっているのはイヤですね……。
おまけに油染みまでついていたら、たとえ仲の良い友人でも貸したくなくなっちゃいます。

染み自体は大した大きさではないですし、付いた場所も気づきにくい所ではあるのですが、一度気がついてしまうとやっぱり気になってしまいます。

完全に消せなくとも、何とか目立たなくしたいものです。

 

紙にできた油染みを落とす方法

調べてみてみると、紙にできた油染みを落とす方法はいくつかあるようです。

よくあがっていたのが無水エタノールやベンジンを使った方法。他にもプラモデルなどに使う塗装の薄め液や除光液も紹介されていました。

ちょうど家に無水エタノールと除光液があったので、この2つで染み抜きをしてみたいと思います。

※必ず染みを落とせる方法ではありません。この方法を試す場合は、自己責任でお願いいたします。

無水エタノールって?

そもそもエタノールは濃度(純度)が決められており、それぞれ呼び方も違います。

・よく医療用の消毒液として使われる濃度80%前後の“消毒用エタノール”
・消毒用よりも濃度が高い95~96%前後のものが“エタノール”
・濃度99.5%以上で水分をほとんど含んでいない“無水エタノール”

“無水エタノール”は「無水(むすい)」と書かれているように、ほぼ水分がない純粋なエタノールのことです。
消毒に使われているものよりも濃度が高いですが、殺菌効果は低いと言われています。

薬局などでは並んで販売されていることもあるので、購入するときは間違えないように気を付けてください。

 

果たして油染みは落ちるのか?実践!

では、さっそく染み抜きをやってみましょう! まずはどのくらい落ちるのか、別の紙を使って実験をしてみます。

使用するのは、普通のコピー紙にポテトチップスを乗せて1日置いておいたもの。完全に下の紙が透けて見える状態です。

 

油染みが付いた紙の下に折りたたんだティッシュ3~4枚を敷き、液を少し染みこませたティッシュで軽くトントントンとたたきます。

そして作業すること15分―― 気になる結果がこちらです。

 

若干、染みが薄くなったような……?

はっきりと違いが分かる!とまではいかなかったですね。
かなり油が染みこんでいましたし、これは落ちなくてもしょうがないのかもしれません。

 

ちなみに除光液とエタノールの落ちかたについてですが、あまり差は感じられませんでした。

ただ、無水エタノールの方が紙へのダメージは少ないようでしたね。濡らしたことでできる紙のしわも、無水エタノールの方が付きにくかったです。
紙へのダメージを抑えたいなら、無水エタノールで染み抜きをする方がよさそうですね。

 

さて、ちょっと不安ですが目的だった漫画の油染みにチャレンジしてみましょう。使うのは、紙へのダメージが少ない無水エタノールです。

実験の時と同じ手順で様子を見ながら染み抜きをしてみると――

左が染み抜きをする前、右が染み抜き後の写真です。

左の写真では赤い点線内にうっすら格子状の模様が透けて見えているのですが、右の写真ではほぼ見えなくなりました。

心配だった印刷部分もにじむことがなく、インクがティッシュにうつったりすることはありませんでした。
ただ、インクや紙の種類によってはにじんだり変色する可能性もあるので、これからやってみようと考えている方はページの端などで試してから行うことをおすすめします。

また油に色が付いている場合は落とすことができないので注意してくださいね。

作業中の注意事項

※揮発性が高い薬品を使用しているため、必ず作業中や作業後には換気をするようにしてください
※エタノールやベンジンは特に引火しやすいため、火気や引火しやすいものに近づけないようにしてください

そのほか、保存方法や使用上の注意等については容器の注意書きに書かれていますので、そちらを確認してから使用するようお願いいたします。

また、染みの程度や本の保管状態などによっても効果に差が出ることがあります。必ず効果があると保証できるものではありませんのでご了承ください。

 

おわりに

今回は染み抜きに成功したのでよかったですが、ものによっては実験の時のように手遅れになってしまうこともあります。

大事な本や書類を扱うときは飲食をしない、事前に机や手を拭いておくなど、汚さないための対策をとっておくことが大事ですね。

油染みのほかにも、コーヒーや醤油の染み抜き法や、本を濡らしたときの対処法などのお役立ち記事あります。