【本の豆知識】本の装丁に関する名称を知ろう!
書店に行くと、さまざまなタイプの本が並んでいます。
表紙の固さやデザインはもちろん、販売方法などの違いは、本がより多くの人の目に留まり、手に取ってもらえるように、工夫がなされた結果なのです。
私たちは本を選ぶとき、装丁から気づかないうちに影響を受けているかもしれません。
本の装丁に関する名称を知ることで、その工夫の跡に迫ってみましょう。
本の豆知識1
ハードカバーとソフトカバーの違い
本の装丁でよく知られているのがハードカバーとソフトカバーです。表紙の材質の違いでハードカバーは「上製本」、ソフトカバーは「並製本」とも呼ばれます。
では、それぞれの違いなんなのでしょうか?
・ハードカバー
厚手のボール紙や布を使い、本文の紙よりも表紙がひと回り大きくなります。
本文の紙を保護するためであり、本そのものも耐久性にすぐれるため、長編小説のように紙が多いものや、写真集や絵本など装丁そのものも作品の一つというようなものに適します。
・ソフトカバー
表紙が柔らかいので、持ち運びに適します。たとえば新書や文庫のように、どこでも気軽に読みたいようなものはソフトカバーになっていることが多いです。
小説など最初にハードカバーで出版し、後にソフトカバーの文庫で出版するものもありますが、中の挿絵や字の配置などを工夫して読みやすくすることもあります。
本の豆知識2
本の「のど」とは?
本の各部には名称があります。本の上部が「天」、下部が「地」、ページを開くところが「小口」、タイトルが書いてある部分が「背」と呼ばれます。
では「のど」とはどこでしょうか。
「のど」とは、本を開いたときに真ん中になる部分のことをいいます。
装丁のしかたにもよりますが、本が厚くなってくると、この部分はページの間になって見にくくなります。ですから、マンガなどの場合は特にのどにはセリフや絵を描かないことが多いです。
マンガのコマを見開きでつける場合などは、原稿用紙を貼り合わせて描く、背景画などを入れるようにするなどの工夫をし、顏やセリフなどがかからないようにしています。
本の豆知識3
「平積み」の「平」とは?
書店などに行くと、本棚に並べているもののほかに、表紙を上にして並べられて売っている本があります。
表紙を「平」、表紙を上にして並べる方法を「平積み」といいます。本が探しやすく、見やすいので購入者が増えることが期待できます。
表紙は本の「顔」なので、タイトルや著者だけでなく、たくさんの情報が入っています。ですから出版する側は本の内容を適切にあらわす装丁を工夫しますし、購入する側も表紙を見て購入するかどうか決めるという場合も多いのではないでしょうか。
ですから「平積み」で販売されている本というのは、新刊本や、話題になっている本である場合が多く、書店で今販売したい本だということになります。
書店に行ったときにはどんな本が平積みになっているかに注目すると、それぞれの書店の特色や得意分野が見えてくるかもしれません。
本の豆知識4
本の「腰巻」?
新刊本などを見ると、表紙のところに細長い紙が巻いてあることがあります。これを「帯」もしくは「袴」「腰巻」といいます。
本のキャッチコピーや推薦文などが書かれていることが多く、中には表紙とつながるような形でタイトルや表紙のイラストの一部などがかかる場合もあります。
表紙は本の顔といいましたが、帯の部分も顔の一部です。
新刊本や知らない作者の本などでは本の内容がわからない場合が多くあるので、帯のコピーや推薦文で買うかどうするかを決めるということも多いのではないでしょうか。
ですから、出版社で特に売りたい本につくことが多く、限られたスペースに本の魅力をいかに組み込むか、工夫がこらされているのです。
本の豆知識5
奥付には秘密がいっぱい
本の最後に、タイトルや作者名、プロフィール、出版年月日などが書かれているページがあります。このページを「奥付」といいます。
卒業論文などを書いたことがある方は、論文の最後の参考文献を書くときに、出版社や出版年月日など奥付の情報を使った経験があるのではないでしょうか。
奥付を見るとその本がいつ出版され、今で何回印刷されたのかがわかります。印刷された回数が多いということは、それだけ多く売れているということをあらわします。
また一般的な本ではあまりないのですが、まれに初版を出した後で乱丁や落丁、記載の間違いなどがあり、次の版から修正が加えられることがあります。
また、著者が後に有名作家になる場合もあります。このような場合、内容によって初版本が希少価値を持つ場合があるのです。
装丁の工夫を知ると本の秘密がわかる
以上、本の装丁の中で、特に目につく部分について紹介しました。
装丁は本の魅力を高める重要なポイントとなる部分なので、さまざまな工夫がなされていることがわかります。
書店に行ったときは本の装丁にも目を配ってみると、さらにその魅力が伝わるかもしれません。
本の部位についてもっと知りたい方はこちら。