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あなたは何派?本棚の整理法


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読書家にとって、喜びと同時に悩みの種となるのが「本棚」。
本棚にはその人の人柄や内面が如実に現れるとはよく言われることですが、さもありなん、本棚の整理法は十人十色、実に様々です。そのため、本棚は、それを他人に対して「自分とはいかなる人物か」を内面までそっくり晒し出す恐ろしい家具であります。

もちろん、他人に自分がどういう人間かを示すことだけが本棚の役割ではありません。本棚は自分の脳内環境の、いわば外部世界への投影であり、自分を客観的に反省する機会をあたえてくれる存在でもあります。つまり、他人から自分への、あるいは、自分から内的自分のインターフェースとなってくれる存在、これが本棚です。「他人のための本棚」と「自分のための本棚」というジレンマを抱えながら、本棚の本分を最大限発揮できる本の整理法を発見することは、古今、読書家諸氏の共通の難題でした。

この記事では、本棚のあれこれについて、「本棚の選び方」「本の並べ方」の二部にわけてお届けしていきます。

 

1.本棚の選び方

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本棚を選び、設置するときには主に「収納」「保管」が問題となります。

・収納

本棚の第一の存在目的は”本の収納”にあることは異論のないところだと思います。

本棚は、「ある程度本が増えてきて置き場所に困ったから持つもの」であります。本棚とは、ずいぶん散文的に言ってしまえば、「本に占有される水平面積を、垂直面積へ変換する装置」です。重力のせいで自然の状態では、水平面の利用に比べ、垂直面の利用が難しいわけですが、これを可能にするのが本棚というわけです。そうです、高層マンションを建てる理由と同じコト。

したがって、本棚は高さがあるほど収納力はアップします。しかし、あまり高すぎると本の背表紙が見えなかったり、本が取れなかったりします。そのため筆者は、高いところには本を置かず、物置にしています。ただし、その場合は地震による落下の恐れがあるため、柔らかい物しか置けないという制限があります。また、ほとんどの場合気にしなくてもよいことだと思いますが、いくら容量のある書棚を買っても、「ウン万冊持っています」なんていうツワモノの場合、おウチの床が抜けてしまうこともあるそうなので、ご注意を。

カラーボックスなどを使って、ベッドの下などの水平面を利用することも可能ですが、背表紙が見えにくくなり死蔵しがちなので、お勧めしません。

・保管

本棚の副次的な機能としては、保管があります。本棚の保管機能を高めるには、置き場所に工夫が必要です。まず、直射日光のあたる場所は避けましょう。気になるようならば、本棚に扉やカーテンをつけるのもアリ。また、湿気対策のために、湿気の急激な変動がなく、換気のよい場所に置くことも大切です。本棚を壁に密着させず、隙間を作っておくと、掃除がラクです。

 

2.本の並べ方

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本棚が設置できたら、本を並べます。しかし、本の並べ方には色々な流儀があります。本を並べるときには「自分のためのディスプレイ」「他人のためのディスプレイ」という二つの視点が大切です。この二つの面から考察していきましょう。

・自分のためのディスプレイ

本棚は、やはり自分の探している本がわかるようにセッティングされるべきです。ですから、本の背表紙が見えない並び方、脈絡のない並べ方は原則避けたほうがいいでしょう。もちろん、「どこになにがあるかわからないワクワク感」を味わいたいという方はあえて背表紙を隠すという方法もありますが…。

それはさておき、”本の背表紙が見えるように”というのは、本を探すだけのためではありません。
本の背表紙が見えることは、自分の読書歴を一覧しながら思い出にふけったり、満足したり、はかない世の中で生きた軌跡を実感したり、様々な楽しみにつながります。また、背表紙が見えることで、「あの本読んでないな」とか「あの本なんだっけ」といった無言のプレッシャーがかかり、読書のモチベーションにもなります。

さて次に、本の「脈絡ある並べ方」について、いくつかの流儀を紹介します。便宜的に、「外的脈絡」と「内的脈絡」に分けて紹介します。

外的脈絡のある並べ方の流儀として、オーソドックスなものに「著者50音順」派があります。本の検索にめっぽう強い一方で、独自性がなく、自分の本棚という満足感が得られないという欠点があります。同じようなものに出版社ごとに並べる「出版社別著者50音順」派があり、「著者50音順」よりも見た目の統一感が増しますが、検索性に劣ります。

ちなみに、筆者ははじめて本棚をもったときに「買った日順」という並べ方をしていましたが、初めこそ本が増えていく喜びがありましたが、しだいに訳が分からなくなってしまいました。

一方、内的脈略を重視した並べ方もあります。内的脈略とは、本同士の内容的なつながりのことで、外的脈絡よりも主観性が強いものです。内的脈略を重視した並べ方には、たとえば「テーマ別」「ジャンル別」「時代別」などがあります。

こうした流儀は、多分に主観性が反映される並べ方であるため、「自分がかつてその本を読みながら考えた事」や「自分の脳内に占める本同士のコンテクスト」などが本棚に反映されるため、有機的な本棚となり、自分だけの本棚を作り上げる喜びがあります。しかし、出版社、大きさ、著者、背表紙のカラーなどが錯綜してしまい、見た目が悪くなったり、自分以外の人が見たら、「だらしないやつだ」と思われたりする欠点があります。

たとえば、筆者の洋書棚には、岡倉天心のとなりにエドワード・サイードが、ジョン・スチュワート・ミルのとなりにリチャード・ファインマンがそれぞれ肩を並べていますが、筆者がだらしないのか、なにか深遠なセオリーで並べられているのか、わからないでしょう?

・他人のためのディスプレイ

本棚はインテリアの一角を担う家具としてのデザイン性が求められます。これが、「他人のためのディスプレイ」です。つまり、「外面的な美しさ」です。「他人のためのディスプレイ」面を強化することは簡単で、各人の美意識にそってもっぱら背表紙の色・本の大きさを基準に揃えれば良いのです。しかし、外面的な美しさが「自分のためのディスプレイ」における内容的規則性と両立することは難しく、この両者の葛藤のなかで、最適な均衡点を見つけ出さなければなりません。また、「他人のためのディスプレイ」に特化した本棚は、得てして知的装飾になってしまう危険があります。

このように、本棚をコーディネートするためには、二つの平衡点を見つけなければなりません。はじめに、「他人のための本棚と自分のための本棚というジレンマ」と言ったのはこういうことです。もちろん、どちらを優先するかは、個人の交友関係、趣向の問題ですから、なんともいえませんが、試行錯誤しながら、平衡点を見つけ出すこともまた、読書の楽しみでもあります。

 

3.まとめにかえて

最後に、本棚についての具体的指針となる本、『私の本棚』(新潮文庫)について簡単に紹介します。「有名人の本棚ってどんな感じだろう?」という興味を持っている方は是非読んでみてください。

私の本棚』新潮社編

児玉清さん、池上彰さん、磯田道史さんら、23人の愛書家が、自らの本棚について、悲喜こもごも語ったエッセイ集です。「本棚は整然としているほうが良い派」がいれば、「本棚は雑然としていたほうが落ち着く派」がいたり、「ピノッキオ関連書籍でひとつの本棚を埋め尽くす派(?)」(祖父江慎さん)や、「蔵書のために家を立てる派(?)」(鹿島茂さん)もいたりで、実に色々な本棚談義が披瀝されています。

視点は様々ですが、どのエッセイも書き手のちょっとした一代記となっているあたりが本棚の恐ろしいところです。新潮文庫のオビには「私の本棚は、私より私らしい。」と書かれていますが、まさにその通りで、書き手の「私」が主導権を握っていると思いきや、いつしか本棚こそが語りの主導権を握り、「私」が思い出せないこと、躊躇してしまうことまでも本棚は「私」に語らせてしまいます。

『私の本棚』は、本棚についての「私」が語るという体裁をとりながらも、その実、「本棚」が語らせた「心のなかにしまった23の自分語り」になっているように感じます。こころなしか、『私の本棚』のエッセイには、肩肘張らぬ、普段着の「私」が立ち上ってきます。筆者は、この「自伝」にはない、親密というかintimateな語りが本書の魅力に感じましたが、みなさんはどう読むでしょうか。

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