独特な世界が魅力! 芸術性の高いおすすめアニメーション作品
更新日:2019/9/2
みなさんは、いつもどんなアニメを見ていますか?
一言で「アニメ」といっても、そのなかにはセルアニメーションやクレイアニメーションなど、さまざまなアニメが存在します。
ここでご紹介するのは、ちょっとマイナーだけど背景や人物描写が美しいアニメ作品と、アートアニメと呼ばれる芸術性の高いアニメ作品。
人によって好みや解釈が変わる作品も多いですが、どれも一度見たら忘れられないインパクトを与えてくれます。
美術館で絵画や美術品を見るのも良いですが、アニメを見てアートに触れてみませんか? 日本と海外のおすすめ作品を5つずつご紹介します。
押井守×天野喜孝
『天使のたまご』
『天使のたまご』
監督:押井守
大きなたまごを抱きかかえている少女と、大きな武器を持った青年が出会った――。
『攻殻機動隊』や『イノセンス』を手掛けた押井守さんと、「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターデザインを務める天野喜孝さんがタッグを組み生まれた『天使のたまご』。
登場人物は少女と青年だけ。セリフも非常に少なく、とても物静かな印象です。
見る人によって解釈が変わる内容となっており、かなり前衛的な作品といえます。わたしも初めて見たとき「なんだこの作品は!」と驚いたものです。
髪の毛1本1本がゆらゆらとなびくアニメーションは何とも美しく、難解な内容でありながら思わず魅入ってしまう作品です。
子供だけの秘密の遊び
『KAKURENBO』
『KAKURENBO』
監督:森田修平
暗くて荒廃した町には、子供しか参加することのできない「オトコヨ様のお遊戯」と呼ばれる遊びがあった。
狐のお面を付けた7人の子供、5匹の鬼たちによるカクレンボが始まる――。
映像制作ユニット、YAMATOWORKSによるホラー短編アニメーション。全編3DCGで制作されています。
ホラーだけあって、なんとも不気味な雰囲気の中で繰り広げられるカクレンボ。それぞれ何かしらの事情を抱えた子供たちが、鬼の正体を暴こうと奔走します。
全員仮面をつけているにもかかわらず、子供たちの表情や感情が動きによって見事に表現されているんです!
また背景が非常に美しく、とくにラストの映像は圧巻です。それにしても……鬼が怖いっ!!!
キュートでシュールな短編多数!
『久里洋二作品集』
『久里洋二作品集』
監督:久里洋二
日本アニメーション界の先駆け的存在である久里洋二さんの作品集。
ヴェネチア映画祭サンマルコ獅子賞を受賞した「人間動物園」をはじめ、オノ・ヨーコさんの奇声を使用した「アオス」、谷川俊太郎さんの詩を用いた「二匹のサンマ」など、キュートでシュールなアニメ作品が収録されています。
不思議で愛嬌のあるキャラクターと、彼らのコミカルな動きが特徴。久里さんの作品は海外でも高い評価を得ているんですよ。
実験的な手法で作られたアニメの数々は、すべて3分から15分ほどの短編なので、ちょっとしたスキマ時間に見るのもおすすめです。
大女優の一途すぎる恋。
『千年女優』
『千年女優』
監督:今敏
『パプリカ』や『東京ゴッドファーザーズ』で知られるアニメ監督、今敏さんの作品。
作品のキャッチコピーは、「その愛は狂気にも似ている」。表舞台から消えた大女優の藤原千代子が、30年ぶりに受けたインタビューの際、インタビュアーに渡された鍵についての思い出、そして己の半生を語っていきます。
今わたしたちが見ている映像は、千代子の過去なのか、未来なのか。そしてこれらは現実なのか、虚構なのか……。
イラストの美しさはもちろん、己の人生を駆け抜けていく千代子を表現するかのようなカットの切り替え方が秀逸な作品です。
またそんな作品を、平沢進さん独特の音楽がより魅力的にしています。
欲望のままにいきるワニの物語
『「年をとった鰐」&山村浩二セレクト・アニメーション』
『「年をとった鰐」&山村浩二セレクト・アニメーション』
監督:山村浩二
数々の映画祭で絶賛された「頭山」を手掛けた山村浩二さんが、フランスの童話作家レオポルド・ショヴォーの名作絵本『年をとったワニの話』をアニメ化したのが「年をとった鰐」です。
年老いて自分で食糧をとることができなくなってしまったワニは、自分のひ孫を食べてしまい一族から追放されてしまいます。あるとき美しいタコと出会いとても優しくしてもらったワニでしたが、徐々にタコを食べたくなってきて……?
ワニの心の中で、タコに対する“エサとしての愛情”と“純粋な愛情”が揺れ動きます。本能と理性、はたしてどちらが勝つのでしょうか。
「年をとった鰐」のほか、山村さん自身がセレクトした7作品が収録されています。
フランス、チェコスロヴァキアの合作
『ファンタスティック・プラネット』
『ファンタスティック・プラネット』
監督:ルネ・ラルー
青い皮膚を持つ巨大な生物ドラーグ族に支配され、小さなオム族(人間)が虐げられている惑星が舞台。
ドラーグ族の少女ティバに飼われていたオム族の少年テールが、仲間を集めて反旗を翻します。
フランスの鬼才、ルネ・ラルーが監督を務めた本作は、1973年にカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞し話題となりました。
フランスの画家ローラン・トポールが担当したイラストには独創性を感じずにはいられません。それはもう中毒性があるんです……!
淡々とした言葉やサイケな音楽も、作品の世界を崩すことなく寄り添っています。なんともシュールな作品ながら、一度見たら絶対に忘れられない作品です。
とっても不気味な『不思議の国のアリス』
『アリス』
『アリス』
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
実写と人形アニメーションを組み合わせた不気味な世界が魅力の『アリス』。シュルレアリストの芸術家ヤン・シュヴァンクマイエルが手掛けています。
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』というと可愛らしいファンタジー作品を思い浮かべる方が多いと思いますが、シュヴァンクマイエルの解釈で描かれる本作はとっても奇妙なんです。
グロテスクな描写もあり、人によってはトラウマになってしまうかも……。
また、本作を見るときは「音」に注目してみてください。何かを食べる音、剥製が動く音など、これらは音楽(BGM)のない映画をより引き立ててくれる存在です。
強烈なインパクトのある作品をお探しの際はぜひ。
まるで動く絵本
『ユーリ・ノルシュテイン作品集』
『ユーリ・ノルシュテイン作品集』
監督:ユーリ・ノルシュテイン
ロシアのアニメーション作家ユーリ・ノルシュテイン。彼の斬新ながらどこか懐かしい切り絵を用いたアニメは、国内外で人気を集めています。
代表作の「話の話」、ハリネズミとその友達の子グマが深い霧の中を探検する「霧につつまれたハリネズミ」など、短編を8作収録。
まるで絵本の中を覗いているような、幻想的な物語を楽しめます。
全体的に淡々としており、暗めなイラストが印象的ですが、見終わったあとに心をホッと温めてくれますよ。
自然を愛する監督の傑作集
『フレデリック・バック作品コレクション』
『フレデリック・バック作品コレクション』
監督:フレデリック・バック
カナダのアニメーション作家フレデリック・バックの作品集。
本作品集には、アカデミー短編アニメ賞を受賞した「クラック!」「木を植えた男」も収録されています。
アセテートと呼ばれる繊維に色鉛筆などでイラストを描く手法がとられており、温かさのある繊細なイラストが特徴です。
自然への愛が溢れており、とても心地よい気分になれますよ。それと同時に、発達していく現代社会について考えさせられます。
可愛いクマのさまざまな遊び
『アートアニメーション ぼくらと遊ぼう!』
『アートアニメーション ぼくらと遊ぼう!』
監督:ブジェチスラフ・ポヤル
「もぐらのクルテク」や「アマールカ」などの人気作を生み出しているチェコのアニメーター、ブジェチスラフ・ポヤルが手掛けた「ぼくらと遊ぼうシリーズ」。
ずる賢い大きなくまと、小さくて純粋なくまが織りなすドタバタ劇です。
好奇心旺盛な2匹がさまざまな遊びをするのですが、その動きがとってもコミカルでユニーク! 可愛いだけでなくちょっぴり風刺もきいていて、大人にも見てもらいたい作品です。
楽しい気分になりたいときにぜひ!
アートとしてアニメを見てみよう!
見たことのある作品はありましたか? ぜひこれらの作品を見てみてくださいね!
あまり知られていない作品もありますが、どの作品もそれぞれに個性とインパクトがありますよ。
【おすすめ記事】不気味だけど魅力的 ティム・バートンのおすすめ映画
ライター:カタクラ