衝撃作多し!読んでおきたいおすすめの「メフィスト賞」受賞作
更新日:2019/7/15
みなさんは「メフィスト賞」をご存知でしょうか?
「芥川賞」や「直木賞」に比べると知名度は低いかもしれませんし、賞金も授賞式もない賞なのですが、ジャンルは基本なんでもアリの自由な選定が特徴です。
そのため、毎回いろいろなジャンルの作品が選ばれ、本好きさんたちの間では話題になります。
メフィスト賞ができたきっかけは、京極夏彦さんが原稿持ち込みからデビューしたことだそうです。
そこで、メフィスト賞を受賞した作品のなかから、特におすすめの小説をご紹介します!
記念すべきメフィスト賞第1回の受賞作!
『すべてがFになる』
『すべてがFになる』
森博嗣(著)、講談社
メフィスト賞第1回の受賞作が『すべてがFになる』です。
森博嗣さんの「S&Mシリーズ」の1作目となるこのお話で、のちに漫画やゲーム、テレビドラマ、アニメ化もされました。
理系ミステリーが好きな方には超おすすめ! 液体文化、固形文化、数字など、理系要素が楽しめます。
離島で犯人探しをするストーリーになっており、ガリレオシリーズが好きな人にもおすすめしたい1作です。
空前絶後のアホバカトリック!?
『六枚のとんかつ』
『六枚のとんかつ』
蘇部健一(著)、講談社
『六枚のとんかつ』は第3回メフィスト賞受賞作品です。
「えっ!?」とビックリしてしまうようなユーモラスなタイトルですが、中身もなかなかユーモラス。いわゆる「バカミス」のジャンルです。
保険会社で働く主人公が謎解きをするお話なのですが、トリックに「そんなバカな!」がぎっしり詰まっています。
思い切り笑いたい気分のときに読むのがおすすめですよ。
【関連記事】「そんなバカな!」おすすめバカミス小説
ハサミを使った連続殺人犯
『ハサミ男』
『ハサミ男』
殊能将之(著)、講談社
東京で二人の女子高生が殺される事件が発生。なんと死体の喉には、突き立てられたハサミが――。
その犯行方法から、マスコミは犯人を「ハサミ男」と命名。世間を騒がせるのですが……。
第13回メフィスト賞受賞作。
本作は、警察の視点とハサミ男の視点から展開されるミステリー作品。映画化もされた本作は、作者の殊能将之さんの代表作でもあります。
本作の魅力は度肝を抜かれるようなトリックです。終盤に明かされる一つの仕掛けに思わず唖然とする読者も少なくないはず。巧みな構成で、その瞬間まで一つの事実を悟らせない著者の筆力は見事の一言に尽きます。
言葉遊びが巧みな1作!
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』
西尾維新(著)、講談社
第23回メフィスト賞受賞作。本作は、西尾維新さんの「戯言シリーズ」の第1作でもあります。
「このライトノベルがすごい!2006」で1位になり、アニメ化もされた本作。
天才工学者である玖渚(くなぎさ)の付添人として、19歳の「ぼく」が鴉の濡羽島を訪れるところから物語は始まります。
いわゆる「萌えキャラ」が登場するライトノベルで、その萌え要素が伏線にもなっているお話です。
読みごたえ充分なボリュームで、言葉遊びが好きな人におすすめしたい作品です!
【関連記事】「戯言シリーズ」の魅力とあらすじを刊行順にご紹介!
漫画化もされた大作
『冷たい校舎の時は止まる』
『冷たい校舎の時は止まる』
辻村深月(著)、講談社
第31回メフィスト賞受賞作。
大学受験を控えた高校生8人が、自分たち以外誰もいない無人の校舎に閉じ込められてしまいます。
8人は、2ヶ月前の学園祭で自殺したクラスメイトのことを話していた。ところが、そのクラスメイトの名前も、顔も、出てこなくて――。
忘れてしまった同級生の顔と名前、止まったままの時計、謎のメッセージなど、ミステリー要素がたくさん詰まっています。
なぜ8人は、自殺したクラスメイトのことを思い出せないのでしょうか……?
正体不明のシリアルキラーと闇が潜む物語
『少女は踊る暗い腹の中踊る』
『少女は踊る暗い腹の中踊る』
岡崎隼人(著)、講談社
第34回メフィスト賞受賞作。
舞台は乳児誘拐事件が連続して起こっている街。過去の罪からとらわれ続けている北原結平の日常が、1人の少女と出会うことですっかり変わってしまいます。
果たして誘拐事件と結平、そして少女との関係性とは……?
本作はシリアルキラーの物語。そのため、グロテスクな表現も非常に多いです。もう、どんどん人が殺されていきます。
少しずつ、でも急速に闇に堕ちていく結平。その様子があまりにスピーディで、読む手が止まらなくなります。
本を愛する人にもおすすめ!
『図書館の魔女』
『図書館の魔女』
高田大輔(著)、講談社
第45回メフィスト賞受賞作。ジャンルがいろいろあるメフィスト賞ですが、本作はファンタジーです。
しかし本作には、ファンタジーでお馴染みの魔法や大きな魔獣は登場しません。出てくるのは、「言葉」を操る人々だけ。
「高い塔の魔女」と呼ばれる言葉を巧みに操る魔女と、魔女に仕えることになった少年の物語が描かれます。
難しい言葉も多いですが、やり取りが丁寧に描かれているため、読むほどに先が気になってしまう魅力的なお話です。
スピード感あふれる文体が魅力
『煙か土か食い物』
『煙か土か食い物』
舞城王太郎(著)、講談社
第19回メフィスト賞受賞作。
舞城王太郎さんは、現在純文学系の作品を発表している作家さんです。
小説作品は基本的に「?」や「!」のあとには、一字空けるのが基本となっているのですが、本作はそういった部分を完全に無視し、改行がほとんどなく、最初から最後まで文の詰まった作品となっています。
しかしそれでいて、読みにくさを感じさせないところが本作の魅力です。勢いに任せて書いたようなその文章は、リズムがよく、読んでいてただただ圧倒されてしまいます。
文章と奈津川家のいざこざが楽しい作品ですよ。
メフィスト賞受賞作で楽しい時間を
メフィスト賞受賞作品をご紹介しました。どれも読みごたえのある素晴らしい本です。
長編の大作は連休の時にゆっくり読んでみてはいかがでしょうか?
逆に、短編集は一編ずつ、味わいながら読みすすめることができますね。
メフィスト賞はいろいろなジャンルがあるので、普段は読まないようなジャンル本を手にとってみるのも良いのではないでしょうか。
秀作で楽しい時間を過ごしてくださいね。
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