バカミスとは? 「そんなバカな!」おすすめバカミス小説
更新日:2019/5/2
「ミステリー」と聞くと、難しそう・堅苦しいなどのイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
実は私もその1人でした。「難しい推理」や「お堅い警察もの」など、少し読みにくいイメージがあったのです。
しかし、そんなイメージを覆してくれたジャンルが存在します。
それが、「バカミス」です! ミステリーのイメージが、このバカミス作品によって覆されました。
驚いて、笑って、でもしっかり真相を導き出すミステリー小説を読んでみませんか?
ここでは、「バカミス」の意味と、バカミスと呼ばれる作品に迫ります。
※「バカミスだと知らずに読むから面白い!」という方にとってはネタバレになりますのでご注意ください。
目次
バカミスおすすめ作品
└『六枚のとんかつ』
└『四神金赤館銀青館不可能殺人』
└『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』
└『嘘つきパズル』
└『○○○○○○○○殺人事件』
└『屍の命題』
└『黒い仏』
「バカミス」とは?
バカミスとは、日本の推理小説におけるジャンル、用語。「バカバカしいミステリー」「おバカなミステリー」のことを指します。
決して作品をバカにしているわけではありませんよ~。
予測できない驚きのトリックや、何をしでかすか分からないキャラクターなど、一見ふざけているようにしか見えないのに、最後にはピタッと答えや真相が導き出されるのです(やや強引ですが)。
「そんなバカな!!!!」と心で叫びながら、普通のミステリーではありえない展開を楽しめるのが何よりの魅力。読む人を選ぶ作品が多いですが、作品のバカバカしさがクセになる人もいるはずです。
それでは、筆者が独断で選んだおすすめのバカミス作品をご紹介します!
『六枚のとんかつ』
『六枚のとんかつ』
蘇部健一(著)、講談社
「面白ければ何でもあり」のメフィスト賞を受賞した、「空前絶後のアホバカトリック」としても有名な作品。
保険調査員である小野と、その友人であり推理作家の古藤が巻き込まれる事件の数々が収録されています。
タイトルから不思議なニオイがプンプンしてきますが、中身はとにかくお下品かつ、くだらない!! (これ、褒め言葉です!)
「よくここまで下品に書けたものだな……」と思わずにはいられません。
とにかくベタなギャグが満載です。「ガッツ石松」のくだりは、もう、笑うしかありませんでした……!
下品という言葉に抵抗がなければ、一度試してみてはいかがでしょうか?
『四神金赤館銀青館不可能殺人』
『四神金赤館銀青館不可能殺人』
倉阪鬼一郎(著)、講談社
ミステリー作家の屋形が招待された花輪家所有の「銀青館」で密室殺人が起きる。
一方、銀青館の対岸にある四神家所有の「金赤館」でも、女性の「殺して!」の叫びをきっかけに連続殺人が起き……。
花輪家と四神家、両者の因縁から起こる不可能殺人の数々。その事件に屋形が挑みます。
事件の真相に関するヒントが大胆に隠れているので、トリックを見抜けるか挑戦してみるのもおすすめです。
あっと驚くトリックを楽しめる、伏線回収が見事な作品です。そして最後にはやっぱり笑ってしまいます。
『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』
『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』
倉阪鬼一郎(著)、講談社
著者のこだわりがものすごい『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』。
真っ黒な「黒鳥館」と真っ白な「白鳥館」を舞台に、そこに招待された大学生たちが次々に殺されていきます。
強烈なインパクトを読者に与えること間違いなし。伏線と仕掛けの数々には、もはや変態ともいえる著者の並々ならぬ努力を感じます……! (褒めてますよ!)
衝撃の謎解きを読んだとき、私はなんどもページをめくり返しました。
さまざまな疑問が読者の頭に浮かぶと思いますが、ぜひ最後までじっくり読み進めてみてください。そこには「そんなバカな!!」がしっかり詰まっています。
『嘘つきパズル』
『嘘つきパズル』
黒田研二(著)、白泉社
7人の男女が、船旅の最中嵐に遭遇。漂着した孤島には人以外のものが生息しており、なんと7人のうち2人が「嘘がつけない」呪いにかけられてしまう。さらにそんななか、殺人事件も起きて……!?
魔夜峰央さんがイラストを担当した表紙そのままの、個性が強すぎるキャラクターが騒動を巻き起こします。それはもう、お下品、お下劣、ダジャレのオンパレード!
事件の謎を解かなければいけないわ、呪いを解かなくてはいけないわ、とにかくドタバタです。
ところが後半に進むにつれて、物語の様相が変わっていきます。
クローズド・サークル、連続殺人、ロジックなどがしっかりと盛り込まれており、ミステリー作品としては一級品です。ただのギャグだと思って読んでいた箇所も、実は伏線……なんてことも!
『○○○○○○○○殺人事件』
『○○○○○○○○殺人事件』
早坂吝(著)、講談社
仮面の男、黒沼の所有する孤島でオフ会をしていた公務員の沖たち。
ところが孤島に着いた翌日、参加者の2人が失踪してしまう。それに次いで殺人事件も起こって……。
第50回メフィスト賞受賞作。なんと本作は、事件の謎を追う本格的なミステリー小説でありながら、タイトル当てミステリーでもあります。
果たしてタイトルの「○○○○○○○○」には何が入るのか? これが著者からの読者への挑戦状なのです。そしてその言葉は、物語で起こる事件のカギでもあります。
思わず目が丸くなる衝撃の真実を知ったとき、心の中で「ばかばかしいーーー!」と叫びましょう。そして、もう一度じっくり読み返しましょう……! 下ネタが強めなので、苦手な方はご注意を。
『屍の命題』
『屍の命題』
門前典之(著)、原書房
外界と遮断された吹雪の山荘で、招待された6人の男女が次々と殺されていく王道のミステリー作品。
6人以外に犯人はいないとしながらも、6人全員が殺されている……アガサ・クリスティの傑作『そして誰もいなくなった』を思わせる内容です。
事件の真相には「いやいや、そんなわけないでしょう~」と思いつつ、これがとても読み応えのある作品でした。物語に登場する「巨大な兜虫の亡霊」の正体には、絶句です。
読者の予想の斜め上を行くトンデモミステリー。奇抜すぎる事件の真相に興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね。
『黒い仏』
『黒い仏』
殊能将之(著)、講談社
福岡の安蘭寺にあるらしい秘宝を探す依頼を受けた探偵の石動。
助手のアントニオとともに福岡に向かい調査を始めるが、依頼人の大学生は、とある殺人事件の容疑者だった!
『ハサミ男』で知られる著者の、「探偵石動シリーズ」2作目『黒い仏』。遊び心がふんだんに盛り込まれており、非常に痛快です。
1作目の『美濃牛』にあった本格ミステリーのイメージとはだいぶ異なりますが、予測不能な展開が見どころです。
賛否両論ある作品ですが、SFが好きな方であればこの良い意味でぶっ飛んだ本作を一読してみてはいかがでしょうか。
ミステリー、だけどバカバカしい!
バカミスの意味と、おすすめ作品をご紹介しました。
これを機にバカミスに興味を持ったら、ぜひ他の作品も読んでみてくださいね。きっと読者の予想をはるかに超える結末、真相が待っています。
「そんなバカな!!」を楽しみましょう~!
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