【小説の書き方】完成後、応募~出版までの流れ
プロとして小説を世に出す場合、ただ小説を書きあげればいいというわけではありません。
小説を書いたあとにしなくてはならないことは山のようにあります。
ここでは、小説を書きあげ、出版にいたるまでのプロセスを紹介していきます。
「応募」または「ウェブにあげる」でデビューを目指す
現在、プロとしてデビューするには大きく分けて二つの道があります。
一つは出版社が募集している公募新人賞に応募し、それを受賞してデビューする道。もう一つはウェブなどに小説をあげ、出版社の方から声をかけてもらう道です。
■公募新人賞の場合
公募新人賞に送ろうと思っている方は、まずどこへ送るかを決める必要があります。というのも現在、公募新人賞は、数多く存在しているからです。
ちなみに新人賞によって募集ジャンルは様々です。ですから、自分が書こうと思っているあるいは書きあげた作品と募集要項を照らし合わせ、送り先を決めるようにしましょう。ミステリー系の新人賞に純文学作品を送っても、受賞することはまずあり得ないので、送り先を決めることは非常に大切です。応募先によって、原稿枚数や特色が違うため、原稿を書く前に応募先を決めておくのが無難です。
新人賞を受賞するとデビューにぐっと近づきます。もし受賞を逃しても、『拾い上げ』という形で編集者から声をかけられることがあります。ただ、そこは新人賞によって違うので、「拾い上げ」のある賞なのかは、事前に確認しておきましょう。
有名なところですと「電撃小説大賞」が積極的に拾い上げを行っています。それと「このミステリーがすごい!大賞」も受賞を逃しても「隠し玉」として出版されることがあります。
■ウェブにあげる場合
次にウェブにあげる方法ですが、これは個人ブログにあげるというのでもいいですし、小説投稿サイトにあげるのもアリです。現在、編集者はウェブ小説からの発掘を積極的に行っているため、ウェブで人気が出れば、声をかけてもらえる確率は高いです。
最近では、新人賞受賞作よりもウェブ小説作品の売れ行きがいいため、新人賞に応募するのではなく、あえてこちらからデビューを狙うのも一つの手です。
小説を出版するまでの流れ
■編集者との打ち合わせ
新人賞にせよウェブ小説からの拾い上げにせよ、編集者から出版の見込みありと判断された場合、連絡がきます。その連絡を受けてから、編集者と顔合わせをし、打ち合わせがはじまります。
たとえ新人賞受賞作でも、ウェブ小説作品でも作品の手直しは必ず行われます。そのため、打ち合わせの中で、直しの方向性を決めていきます。そのあとで原稿に手を加えていきます。
既存作家ですと原稿に取り掛かる前に、作品の企画書の提出が必要である場合がほとんどですが、ウェブ小説や新人賞受賞作品の場合、その作業は省かれることがほとんどです。とはいえ、新人でも一から作る場合は、同様に企画の提出が求められることがあります。
■原稿に手を加える
編集者との打ち合わせを経て、作品の方向性が決まれば、原稿に取り組みます。新人賞を受賞した場合やウェブ小説を出版する場合は、一から原稿を作るというよりは、すでにあるその作品の改稿というのが、主な作業となります。
改稿は誤字脱字の修正や文章の入れ替え等、比較的手を加えない場合もあれば、全面的に直していく場合もあります。そこは作品によります。
原稿の手直しが終わり次第、編集者に原稿を送ります。そして編集者から「OK」が出たら、いよいよ出版――かというと、そうではありません。まだ作業は残っています。
■続いて著者校正
編集者から「OK」の出た原稿は、次に校正係に回されます。校正では、原稿で書かれた文章に間違いがないかなど誤字脱字等をチェックされます。そして校正係のチェックが入った原稿が再度戻ってきます。これをゲラといいます。
ゲラには、びっしりとチェックが入っています。チェックは、何も誤字脱字だけではありません。例えば「わたし」と「私」や「気づく」と「気付く」など表記が統一されていないものや、文章の意味が通りにくいものなどにまでチェックは及びます。
そのゲラを著者自ら、修正していきます。そして校正で指摘された部分を修正したのち、再度送り返します。このやりとりを何度かしたあと、ようやく原稿が印刷されます。
これが大体出版一か月前のことです。ちなみに原稿に手を加えることができるのは、この著者校正が最後です。印刷所に入校し、印刷されてしまうと、もう手を加えることができません。
それから見本が届き、やがて出版され、書店に並ぶことになります。
まとめ
小説一冊が出版されるまでには、こういった険しい作業工程があります。ライトノベルなどですと、イラストのチェックなども入ってきますが、基本的にはこういった流れになっています。
こういったことを知ると、手元にある小説が非常にありがたく思えてくるのはわたしだけでしょうか。
小説を書いて、デビューを目指している方は是非参考にしてみてください。