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イヤミスとは?イヤミスの意味とおすすめ作家の代表作


みなさんは、ただのミステリー小説ではなく、「イヤミス」というジャンルがあることをご存知でしょうか。

ここでは、「イヤミス小説は読んだことがない」「イヤミスって何?」という方に向け、イヤミスとは何かの解説に加えて、イヤミス作家5名とその代表作をご紹介します。

気になる作品を見つけて、結末がどうなるのか? スッキリするのかしないのか? ハラハラドキドキを体感しましょう。

※ネタバレになる箇所もあるかもしれませんので、ご注意ください!

 

イヤミスとは?

はてな

イヤミスとは、ミステリー小説の一種で、読んだ後に「嫌な気分」になる小説のことをいいます。

殺人などの事件が起こっても、最後には事件解決! 読者がスッキリと満足感を得るのが今までのミステリー小説に多かった傾向でした。

しかしイヤミス小説は、事件のことだけではない人間の奥に潜む心理などを描写し、見たくないと思いながらも読み進めてしまう、嫌な汗がたっぷり出るような後味の悪い小説のことを指します。

 

おすすめのイヤミス作家 その1
湊かなえ

青いバラ

「イヤミス女王」といわれている湊かなえさん。

1973年に広島県因島市(現在の尾道市)生まれ。27歳で結婚して第1子を出産後に小説を書き始め、現在も主婦業と小説家として二束のわらじで活動しています。

2009年に発表した『告白』で第6回本屋大賞を受賞するほか、さまざまな小説で賞を受賞しています。ちなみに、デビュー作でのノミネートと受賞は、本屋大賞史上初の快挙です。

どの作品でも人間のドロドロとした心理描写が繊細に描かれています。
また、激しくなったと思えば突如静まり、静まったかと思うと激しくなるなど、まるで波のような展開は、読む人を惹きつけて離しません。

 

☆おすすめ作品☆『告白』

『告白』表紙

告白
双葉社ほか

湊かなえさんといえば、やはり『告白』です。デビュー作にして代表作。2010年には、松たか子さんが主演で映画化されました。

全体としては、自分の娘を教え子に殺された中学教師が、復讐していく物語。
「聖職者」「殉教者」「慈愛者」「求道者」「信奉者」「伝道者」の6章に分かれており、それぞれの語り手がそれぞれの立場で語る構成になっています。

中学教師である森口悠子は、終業式に我が子を殺した犯人である少年を指し示し、その犯人の2人にHIV感染者の血液を混ぜた牛乳を飲ませ、学校を去るのですが……。

とにかく「衝撃」の一言に尽きます。思いがけない伏線がさまざまな箇所に張られており、何度でも読みたくなる作品です。

 

 

おすすめイヤミス作家 その2
真梨幸子

バラの花びら

湊かなえさん同様、イヤミス界で注目されている真梨幸子さん。

1964年に宮崎県で生まれ。2005年に『弧虫症』で第32回メフィスト賞を受賞し、小説家デビューします。
代表作『殺人鬼フジコの衝動』は発行部数が50万超え、2015年には『人生相談。』で第28回山本周五郎賞の候補に挙がりました。

人間の心の闇や汚い部分をえぐり出したような作品たちは、一度読めば必ず虜になることでしょう。エロティックなシーンや猟奇的なシーンもありありと描かれることが特徴です。

ちなみにペンネームの「真梨」は、ザ・タイガースの『僕のマリー』に由来しているのだとか。

 

☆おすすめ作品☆『殺人鬼フジコの衝動』

『殺人鬼フジコの衝動』表紙

殺人鬼フジコの衝動
徳間書店

50万部を超えるベストセラーとなった『殺人鬼フジコの衝動』。Huluでは『フジコ』というタイトルとなり、尾野真千子さん主演でドラマ化されました。

一家惨殺事件の生き残りとなった「フジコ」を知る人物が記録した、という形でフジコの一生が描かれています。読み終わったあとは「少し疲れた……」と、胸をなでおろすことでしょう。

フジコが事件を起こしたのは、彼女がまだ11歳の時。
その後、新たな人生を歩もうとするのですが、十数人を殺す殺人鬼となってしまいます。彼女を殺人鬼へと導いてしまったものとは……。

「この物語はノンフィクションではないのか?」と調べる人も現れるほど臨場感があふれている作品です。もちろんフィクションの物語ですよ!

 

 

おすすめイヤミス作家 その3
沼田まほかる

イヤミスの旗手となっている沼田まほかるさん。

1948年、大阪生まれ。
50代で初めて書いた『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞。その後2012年に『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、一躍人気作家となりました。

遅咲きの作家ではありますが、その実力は本物。まるで昼ドラのような歪んだ愛憎劇や復讐劇を描いた沼田さんの作品は、「怖い、だけど読みたくなる」作品ばかりです。

 

☆おすすめ作品☆『ユリゴコロ』

 『ユリゴコロ』表紙

ユリゴコロ
双葉社

2012年に大藪春彦賞を受賞した『ユリゴコロ』は、沼田まほかるさんの代表作の一つです。
2017年9月には、吉高由里子さん主演で映画化されました。

ある一家の父の書斎で、4冊のノート「ユリゴコロ」が見つかります。中には、殺人に取り憑かれていた生々しい告白が……。

殺人事件だけではなく、恋愛も絡んだミステリー小説となっており非常に見ごたえがあります。

ノートの内容はとてもショッキングなもので、結局一番怖いのは人間なのだと改めて気づかされる作品です。

 

おすすめイヤミス作家 その4
深木章子

『鬼畜の家』などイヤミス界での注目が高まっている深木章子さん。

1947年、東京生まれ。東京大学法学部を卒業後、弁護士として活動。60歳を機にリタイアして執筆活動を開始しました。
2010年に『鬼畜の家』で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞しています。

60歳を超えてから執筆活動を始めた深木さんの作品は、もともと弁護士であっただけに、事件の法律面での記述が細かいのが特徴です。

 

☆おすすめ作品☆『鬼畜の家』

 『鬼畜の家』表紙

鬼畜の家
講談社ほか

ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の選考の際、「御手洗潔シリーズ」の作者として知られる島田荘司さんが絶賛した作品です。

北川由紀名から「母と兄が車で崖から転落死したのに保険金が受け取れない」という話を聞かされた探偵の榊原。興味をひかれた榊原が事件について調べていくと、驚愕の真実が明らかに……。

この作品の「鬼畜」とは、由紀名の母親のこと。実はこの母親、保険金目当てに巧妙な殺害計画を立て、家族を次々と手にかけていたのです。

由紀名の母親の想像を絶する姿に、誰もが恐ろしくて震えてしまうことでしょう。不快だと思うのに読み進めてしまう、まさにイヤミス作品。最後には衝撃の展開が待っていますよ。

 

おすすめイヤミス作家 その5
根本起男

女性作家が多いイヤミス界では貴重な、男性作家の根本起男さん。

1995年、神奈川生まれ。第2回ゴールデン・エレファント賞を『さんくすないと』で受賞し、2012年に同作でデビューしました。
現在も新聞記者として活躍している作家です。

情景描写が非常にリアルなことが特徴で、人の心の内を鋭い観点で描写しています。

 

☆おすすめ作品☆『さんくすないと』

 『さんくすないと』表紙

さんくすないと
エイ出版社

「極上のブラックユーモアミステリー」と評される作品です。

久光デパートで年に1度催される「サンクスナイト」というイベント。そのイベントは、選ばれた12人の女性が深夜のデパ地下に集まり、商品を自由に食べられるという豪華な内容でした。
12人がそれぞれデパ地下グルメを堪能していると、突然館内放送が流れはじめ……。

食べ物に毒が噴射されているとアナウンスされた女性たちが、解毒剤となる食べ物を求めてもがく姿が描かれています。

人間のドロドロとした感情がぶつかり合ったこの作品。書いたのが男性作家とは思えないほど、女性の心理描写がリアルです。

 

イヤミス小説の魅力

気になるイヤミス作家や小説はあったでしょうか?

気になって本を手にした瞬間から、結末が気になり最後まで一気に読んでしまう小説ばかりだと思います。
イヤミス特有の、後味悪い結末かもしれませんが、是非読んでみてください!

【関連記事】後味が最高に悪い。絶望だけが残る小説「厭な物語」

 

今回ご紹介した書籍

湊かなえ
告白』双葉社

真梨幸子
殺人鬼フジコの衝動』徳間書店

沼田まほかる
ユリゴコロ』双葉社

深木章子
鬼畜の家』講談社ほか

根本起男
さんくすないと』エイ出版社

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