アガサ・クリスティー賞 歴代受賞作まとめ|最新受賞作品まで一挙紹介!
更新日:2019/11/28
ページをめくるごとにドキドキするミステリー小説。
何らかの事件や謎を解決していく経過を、手に汗握りながら楽しめるのが魅力です。
そんなミステリー小説が気になりつつも、どの小説を読もうか悩んでいるのであれば、ミステリー賞の受賞作から選んでみてはいかがでしょうか?
ここでおすすめしたいのが、『オリエント急行の殺人』や『そして誰もいなくなった』などの名作を生みだし、「ミステリーの女王」と呼ばれたアガサ・クリスティの名がついた「アガサ・クリスティー賞」受賞作。
最新の「アガサ・クリスティー賞」受賞作を含め、歴代の受賞作品を振り返っていきます!
アガサ・クリスティー賞とは?
イギリスの推理作家アガサ・クリスティの生誕120周年を記念してつくられた、ミステリーの公募新人賞の「アガサ・クリスティー賞」。
2010年に、株式会社早川書房と公益財団法人早川清文学振興財団によって創設されました。
対象となるのは、アガサ・クリスティの伝統を受け継いだ本格ミステリーはもちろん、サスペンスやスパイ小説などさまざまです。
受賞者には賞牌とともに、賞金100万円が与えられます。
最新! 第9回 アガサ・クリスティー賞
2019年のアガサ・クリスティー賞に、2作品が選ばれました。書籍化が待ち遠しいですね!
穂波了(著)『月よりの代弁者』
~あらすじ~
月の裏側で死んだ宇宙飛行士。その死体には未知のウイルスが付着していた。
まもなく宇宙船は地球へ帰還しようとするが、突如制御不能の事態に陥り、ウイルスごと地球に落下してしまう――。
折輝真透(著)『それ以上でも、それ以下でもない』
~あらすじ~
パリが征服され、ナチスによるレジスタンス狩りが行なわれていた。
あるとき、フランス中西部の村で1人のレジスタンスが殺される。村を混乱させまいと、ステファン神父は遺体を隠すのだが――。
歴代受賞作
歴代のアガサ・クリスティー賞の受賞作を振り返ってみます!
歴代のアガサ・クリスティー賞 | |
---|---|
2011年 第1回 |
森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』 |
2012年 第2回 |
中里友香『カンパニュラの銀翼』 |
2013年 第3回 |
三沢陽一『致死量未満の殺人』 |
2014年 第4回 |
松浦千恵美『しだれ桜恋心中』 |
2015年 第5回 |
清水杜氏彦『うそつき、うそつき』 |
2016年 第6回 |
該当作なし |
2017年 第7回 |
村木美涼『窓から見える最初のもの』 |
2018年 第8回 |
オーガニックゆうき『入れ子の水は月に轢かれ』 |
2019年 第9回 |
穂波了『月よりの代弁者』 折輝真透『それ以上でも、それ以下でもない』 |
※敬称略
※書籍化にともない改題されている場合があります
おすすめの大賞受賞作はこれ!
ここでは、過去に大賞を受賞した作品の中から、特に読んでほしいおすすめの作品をご紹介します。
第7回 大賞『窓から見える最初のもの』
『窓から見える最初のもの』
村木美涼(著)、早川書房
~あらすじ~
心療内科に通う相沢ふたば、油絵を購入するも贋作ではないかと疑う藤倉一博、喫茶店の物件を探している連城美和子、自分の名で失踪した何者かに戸惑う御通川進。
一見なんの繋がりもない4人の物語が結びついたとき、その先に見えるものとは――。
年齢も性別もバラバラな4人の物語が並行して進んでいきます。
なかなか接点が見出せないもどかしさはあるものの、淡々と進む物語が収束されていくさまは見事です。もしや? と思った瞬間、一気に最後まで読み進めてしまいました。
殺人事件は起こりますが、さほどミステリー色は濃くないのでミステリー初心者にもおすすめ。派手さはありませんが、細部まで行き届いた心理描写や構成が光る作品です。
第5回 大賞『うそつき、うそつき』
『うそつき、うそつき』
清水杜氏彦(著)、早川書房
~あらすじ~
国民を管理するための、首輪型の嘘発見器の着用が義務化された世界。少年フラノは、非合法の首輪除去技術を用いてお金を稼いでいた。
人々からさまざまな依頼を受けているフラノには、特殊な首輪「レンゾレンゾ」を探す目的があった。
レンゾレンゾを探すなかで、フラノに降りかかる災難とは――。
近未来を舞台にした物語です。嘘をつくと赤く点灯するランプ。「嘘」と「真実」に翻弄される人々が描かれます。国民が管理されている世界には、読んでいて思うところがありました。
決して現実世界の話ではないのですが、いずれ同じような未来になるのではないかと、その練りこまれた設定に惹きこまれます。
第8回 大賞『入れ子の水は月に轢かれ』
『入れ子の水は月に轢かれ』
オーガニックゆうき(著)、早川書房
~あらすじ~
死んだ双子の兄の身代わりとして生きてきた岡本駿は、実家を飛び出し、那覇市にある水上店舗通りに辿り着く。
そこで出会った鶴子オバアの店で、ラーメン屋をオープンさせることになった駿。ところが開店当日、最初に来た客が、次の日に水死体となって見つかり――。
土地勘がないとやや読みにくさもありますが、沖縄の歴史に潜む闇や、軍事や政治、人間ドラマも丁寧に描かれ、興味深く読み進められます。
事件の謎とともに、沖縄の歴史と沖縄方言にどっぷりハマってください! 読後は「今後を期待したい」という選評に納得ができるはずです。
第6回 優秀賞『花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮』
『花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮』
春坂咲月(著)、早川書房
~あらすじ~
篠笛教室に通う女子高生の八重は、ある夏の夕暮れに、仕立屋の宝紀琥珀と出会う。それからというもの、八重は琥珀とともに着物にまつわる謎に挑むことに――。
本作は、優秀賞受賞作。惜しくも大賞受賞とはなりませんでしたが、ぜひおすすめさせてください。
着物の柄の歴史や豆知識などが盛り込まれた一冊。ヒロインと探偵がともに謎解きに挑む王道的な物語です。ラブストーリーとしても楽しめますよ。
シリーズ化もされているので、あわせて読んでみてくださいね。
⇒「仕立屋・琥珀と着物の迷宮」シリーズはこちら
気になる作品から読んでみよう!
アガサ・クリスティー賞に輝いた作品をご紹介しました。どの作品も独特の世界やキャラクター設定が光るものばかりです。
次回のアガサ・クリスティー賞の大賞受賞作も気になりますが、まずはご紹介した中から気になった作品を読んでみてくださいね!
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ライター:ナツキレイ