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教養と向き合うためのおすすめ本|大人は教養が決め手!


更新日:2019/8/16

知識が豊富とか頭がいいというだけでは「教養がある」とは言われませんよね。
大人になって、なおさら「教養」という言葉から遠ざかってきたような気がします。

そもそも教養ってどういうことなんだろう? と思って、探してみました。教養について学べる本。

自分でも「教養」を語るなんて100年早いと自覚しておりますが、謙虚な姿勢で教養と向き合うための本をご紹介します。

 

教養本おすすめ1
池上彰の教養のススメ』

『池上彰の教養のススメ』表紙

池上彰の教養のススメ
池上彰(著)、日経BP社

教養はリベラルアーツと重ねて使われることが多い言葉です。

テレビでお馴染みの池上彰さんと、3人の東工大リベラルアーツセンターの教授との対談をまとめたのが本書。

教養は「すぐに役に立たない」、「ムダなもの」という論議にはじまり、合理性を追求することの弊害や、実学ではない哲学や文化人類学、生物学がどのように人類、社会に貢献するのかという切り口で各教授が教養の大切さを紐解いていきます。

最後の章と日経ビジネスオンラインの本書に関連する池上彰さんの連載記事のなかで、知の最高峰であるイギリスとアメリカの名門大学のリベラルアーツへの取り組み方が紹介されており、ここに興味をひかれました。

リベラルアーツの源流はどこにあって、その本質はどういうことなのかが掘り下げられ、歴史の重みのなかでトップエリートがリベラルアーツとどう対峙しているのかを知ることができます。

 

教養本おすすめ2
『銃・病原菌・鉄』

『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』表紙

銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド・ダイアモンド(著)、倉骨彰(訳)、草思社

1998年にピューリッツアー賞を受賞、全米でテレビ番組が放送されるなど注目され、日本でも2000年に発売された世界的ベストセラーです。

人類の歴史において文明や国家の発展、ひいては権力や富の分配に影響をおよぼし、現在の世界とそれぞれの格差を形作ったのが、地理的条件、環境要因でした。
そのことを、生物学者からの視点にとどまらず学際的な幅広い知見から解き明かしています。

新しい知識に触れる楽しさと、それが関連付けられていく時の知的興奮を味わうことのできる、まさに教養を高めてくれる本と言えるのではないでしょうか。

2015年にトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』で経済格差の問題が話題となりましたが、本書も格差の根本を考える上で深い洞察を与えてくれます。

 

教養本おすすめ3
『サピエンス全史

『サピエンス全史』表紙

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福
ユヴァル・ノア・ハラリ(著)、柴田裕之(訳)、河出書房新社

ザッカーバーグやビル・ゲイツなど著名人に絶賛されたことで話題となり、日本でも2017年にNHKの番組でも取り上げられた教養本のベストセラー。発行部数は200万部を超え、48カ国で刊行されています。

前に挙げた『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』が環境要因に焦点をあてているのに対し、本書はホモ・サピエンスの種としての競争力の観点から、文明を築き現在に至る人類のあゆみを分析しているのが特徴です。

本書を語る上でのキーワードは「虚構」という言葉だと思います。
それが種の保存のための優位性となったことと引き換えに、一人ひとりへの重荷を生み出す結果となっている事実。大多数の人が正しく尊いと信じていることに対して、ほんとうにそうなのかという現実を突きつけられます。

本書で示される、科学技術にとどまらない哲学や宗教にまでおよぶ幅広い知見に、教養を学ぶ重要性を改めて考えさせられる1冊です。

 

教養本おすすめ4
『読書について』

『読書について』表紙

読書について
ショウペンハウエル(著)、斎藤忍随(訳)、岩波書店

教養を高めるために読書をするというのは、ごく当たり前の常識的な感覚です。
本書では、読書の質は評価の高い良書(すなわち古典)を血肉にできるほど熟読することであり、多読は時間の無駄と戒めています。

そして「読書は他人にものを考えてもらうこと」だとして、自分で考えることの重要性が説かれており、「必読書◯◯選」などをたよりに読書をした気になっている私には耳の痛い内容でした。

今の時代に合わせた読書法や読書論もたくさんありますが、過去の偉大な哲学者の言葉は時の流れを生き抜いた真理としての重みがあります。

哲学者の書いたものと言っても、ページ数も少なくエッセーとして読むことができ、著者本人がわかりにくい文章を否定していることもあり、読みやすくてためになる本です。

 

教養本おすすめ5
『「いき」の構造』

『「いき」の構造』表紙

「いき」の構造
九鬼周造(著)、 岩波書店

戦前のヨーロッパの哲学を学んだ著者が日本文化のすばらしさを論文に著したもの。
「いき」という日本人の感性を西洋哲学の手法を使って形にすることに取り組んだ本書は、当時画期的だったと言われ、翻訳されて海外でも広く読まれている作品でもあります。

「いき」には「媚態」「意気地」「諦め」の3要素が必要であるとし、「いき」の周辺にある「上品。下品」「派手、地味」「意気、野暮」「甘味、渋味」などの概念を用いて「いき」を浮き彫りにしています。

江戸時代からの人々の生活に定着している「いき」という美意識。古くからの芸術や文化に表されるものなので、今の時代にあってはどんどん風化していくものなのでしょう。

戦前に書かれた文章ということもあり、難解であることは否めませんが、こういったことを理解できる、知識や素養を持つことも教養だと思います。

 

教養本おすすめ6
『教養のある大人になるための 一生ものの語彙力』

『教養のある大人になるための 一生ものの語彙力』表紙

教養のある大人になるための 一生ものの語彙力
神永曉(著)、ナツメ社

「ご教示ください」「僭越ながら」「ご指導ご鞭撻のほど」など、社会人になると、学生時代はあまり使うことのなかった言葉をよく耳にします。実際に使用することも多くなるはずです。

言葉の意味はある程度知っているかもしれませんが、例えば「ご高配」「踏襲」「涵養」などの言葉は聞いたことがありますか? あるいは、良く聞く言葉でも「役不足」の本当の意味をご存じでしょうか。

本書では、ビジネスの場をはじめ一般的に使われる語彙から、間違えやすい言葉、知っておくとためになる言葉まで、カナカナ語を含め豊富な語彙の意味と使い方が収録されています。
語彙によっては、その成り立ちからちょっとした豆知識まで載っており自身の雑学的な知識を豊かにするのにもおすすめです。

新しい言葉だけでなく、普段誤って使っている言葉にも気付けるので、ビジネスマンなら1冊はもっておきたい本です。

 

教養本おすすめ7
『世界を読み解く「宗教」入門』

『ビジネス教養として知っておきたい 世界を読み解く「宗教」入門』表紙

ビジネス教養として知っておきたい 世界を読み解く「宗教」入門
小原克博(著)、日本実業出版社

日本人は比較的、「宗教」に無頓着な人が多く、自分の家の宗教すら知らない人も多いと思います。

しかしグローバル化が進む現代、グローバルスタンダードとして理解しておきたいのが宗教に対する考え方です。本書は、そうした宗教に対する考え方を改め、世界の宗教について考えるための本です。
世界の主な宗教を理解したうえで、日本の宗教を知る。そんな構成になっています。

宗教によるコミュニケーションの不和を取り除き、さらに日本の宗教についても簡単に説明できるような教養を身に付けませんか?

 

教養本おすすめ8
『東大流 教養としての戦国・江戸講義』

『東大流 教養としての戦国・江戸講義』表紙

東大流 教養としての戦国・江戸講義
山本博文(著)、PHP研究所

日本の歴史の中でも重要とされていること、あるいは有名な人物であれば、誰もが知っているはず。
それでは、そうした学校で学んだ歴史から一歩進んだ先、その事象が起こった理由についてはどうでしょうか?

なぜ豊臣秀頼は徳川家康に負け戦を挑み滅亡したのか、なぜ日本が鎖国をするようになったのか、なぜ吉原という歓楽街があったのか……あなたは知っていますか?

本書は、日本の戦国時代と江戸時代に焦点をあて、キリスト教や鉄砲伝来、琉球との関係、江戸の政治のしくみなど、教養として知っておきたいそれぞれの事象と理由が丁寧に解説された本です。

戦国や江戸のできごとは単に歴史ではなく、現代に通じる部分もある人々の歩み。
温故知新といいますが、過去の歴史から学び、現代の生活に教訓や教養を生かしてみてはいかがでしょうか。

 

教養本おすすめ9
『世界の名著見るだけノート』

『これからのビジネスマンに必要な教養が身につく! 世界の名著見るだけノート』表紙

これからのビジネスマンに必要な教養が身につく! 世界の名著見るだけノート
福田和也(監修)、宝島社

ドストエフスキー、夏目漱石など、世界でも有名な作家の名前はすぐにピンとくるはず。では、彼らの代表作をすぐに言えるでしょうか。あるいは、それぞれの代表作について、さっと概要を説明できますか?

本書は、教養として知っておきたい日本と世界の名著を解説し、紹介したもの。
。実際に作品を読んでいなくても、作品の要点や内容をイラストや図で簡単に把握することができます。

これまで知らなかった興味深い作品が見つかるチャンスでもあります。実際に興味を持った名著は手に取ってみるのもおすすめです。

 

教養本おすすめ10
『教養としての政治学入門』

『教養としての政治学入門』表紙

教養としての政治学入門
成蹊大学法学部(編)、筑摩書房

政治は私たちの生活と密接に関係していますが、私たち自身は政治のことをどれだけ知っているでしょうか。

本書は「政治学入門の本」というより、近年の世界の政治と日本の政治の概要など、政治についての解説書となっています。

日本だけでなく、世界と比較した議員内閣制、公務員制度、地方自治、戦争、歴史思想、外交、生活保障、海外の政治の課題点など幅広い視野で近年の政治の概要が解説されています。

2019年に発行された本書。三位一体による地方自治の格差、トランプ大統領の登場、メルケル首相の政治など、やや直近の政治状況が述べられており、現状を知るのにも役立つ本です。

 

教養は自分のために身につけるもの

教養は他人と差別化を図るために身につけるものではなく、自分自身の現在とこれからを考えるために一生かけて追い求めるものではないでしょうか。

自分で突き詰めて考えることを諦めずに、自分の教養本とじっくり付き合っていきたいものです。

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