ブックオフオンラインコラム
ブックオフオンライントップへ
ブックオフオンラインコラム > 本に出会う > 研究・評論 > 瀧靖之『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』|脳医学に基づいた子育てとは?

瀧靖之『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』|脳医学に基づいた子育てとは?


 

16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ

『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える
「賢い子」に育てる究極のコツ』
瀧靖之(著)、文響社

 

「ぐんぐん伸びる子」と「そうでない子」、差はどこでつくんだろう?

頭がいい子を“科学的に”解明!

英語、ピアノ、勉強、スポーツ、絵、コミュニケーション、想像力…

あなたの子供の「才能の伸ばし方」、教えます!(帯)

 

タイトルの「16万人の脳画像を見てきた脳医学者」に興味が湧き、本書を手に取った私。

本書は、一個人の経験や主観とは違った、脳医学に基づいた「育児本」です。星ほどある育児本のなかでも、「科学的根拠」に基づいたものは珍しいのではないでしょうか。

 

今回のコラムでは、売上部数10万部を突破した本書の面白さを紹介したいと思います。

 

 

認知症の研究から生まれた本

私の所属する東北大学加齢医学研究所は、日本国内では唯一、大量のMRI画像をデータとして蓄積しています。MRIという磁気を使った装置で、脳の中を三次元で写し出し、それを解析しています。

対象となるのは、5歳の子供から80歳を超えるご高齢の方まで。そのデータ数は16万件にも登ります。(p3)

 

驚くべきことに、作者の瀧靖之さんが研究している本来のテーマは「認知症」なのだそうです。認知症にならないためにはどうしたらいいかを、16万人もの脳画像を見ながら研究されているのです。

では、なぜ「認知症」というテーマが「賢い子に育てるコツ」になるのでしょうか。

 

「認知症」は予防できる病気とされてはいるものの、予防効果が医学的に明らかに実証されているのは、「運動」「コミュニケーション、人との関わり」「趣味や好奇心」の3点なのだとか。

これら3つの要素を突き詰めて考えていったとき、「子供の頃にどのように育てられたか、どのような生活習慣を送っていたか」という命題に行き着き、本書が生まれたのです。

 

本書を読んで思ったことは、本書は『子どもの育て方』だけではなく、「(大人の)自分の成長」にも活かせる内容が詰まっているなということです。

作中の「暗記科目の効率の良い学習法」「脳の成長と遺伝の話」などは、実際に私自身にとっても役立つ情報でした。

 

作中では、「言語野(げんごや)」「側頭葉(そくとうよう)」「前頭葉(ぜんとうよう)」「頭頂葉(とうちょうよう)」といった、専門用語も出てきます。ですが、大変分かりやすく紐解かれています。

ですので、お子さまがいらっしゃる方はもちろんのこと、脳の性質を学びたい方、自身の脳を育てることに興味のある方、認知症防止に興味のある方などにも、おすすめの一冊ですよ。

 

 

難関大学生が子供の頃に皆、持っていた「ある本」とは?

「子供がぐんぐん賢くなる『3つの秘密道具』」、「才能とセンスは『始める時期』で決まる」など紹介したい内容はたくさんあるのですが、大幅なネタバレを防ぐためにも、今回のコラムではエピソードをひとつ引用してみたいと思います。

 

同じ時間だけ勉強をしたとき、ぐんぐんと成績を伸ばす子と、さほど成果が上がらない子供がいます。

小学校の頃に勉強ができて、そのまま伸びる子と伸び悩んでしまう子。小学校の頃はそれほどではなくても、追い上げてくる子と変化のない子。

その違いは、どこにあるのでしょうか。(p22)

 

この疑問を持っている方は少なくないでしょう。子どもを持つ親として、私も大変興味があるトピックです。作者はその答えについて、このように書いています。

 

成績が伸びていった子は、幼い頃から図鑑が大好きで、よく見ていた。(p23)

 

図鑑の内容は、花、植物、動物、鳥、昆虫、乗り物、宇宙と人それぞれだったようです。ですが、字が読めるか読めないかぐらいの時期から、図鑑に慣れ親しんでいたのは皆が共通していました。

 

そうはいっても、とりあえず図鑑を買って子どもに与えるだけ、では意味がありません。

作者曰く、『伸びる子・伸びない子』の違いは、まさに『親の役割』に尽きるのだそう。

 

伸びる子の親は、「図鑑などを使って、子供の好奇心を伸ばす」という役割を果たしていたのです。子供が図鑑で得る「バーチャルな知識」と、現実世界の「リアルな体験」とを、親が結びつけてあげるのです。(p26)

 

子どもの『世界』を広げてあげることは、子どもの好奇心を伸ばすことにつながります。興味がわけば、自ずと自分から勉強するようになり、テスト勉強でも努力している意識はなくなっていきます。

 

「学んだことを、生活の中で実感できる」環境づくり。これなら今からでも実践できそうではないでしょうか?私は本書を読んですでに実践しています。

読者のみなさまにとって、ぜひとも参考になれば幸いです。

 

 

脳医学に基づいた『育児本』

本書は、脳医学に基づいた『育児本』ということで、他の育児本とは一風違った内容が魅力的な作品です。興味のある方はぜひお手にとってみてはいかがでしょうか?

 


今回ご紹介した書籍

16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ
瀧靖之(著)、文響社


 

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。