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センス抜群!ピース又吉直樹のおすすめ本


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『火花』で芥川賞を受賞し、時代の寵児となった芸人の又吉直樹さん。又吉さんは、芥川賞を受賞するずっと前から、その才能を発揮していました。

今回は、又吉さんの世界観をたっぷりと味わえる作品をご紹介します。

 

『カキフライが無いなら来なかった』

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「文学すぎる戯言か お題のない大喜利か」

帯にそう書かれた本書は、妄想文学の鬼才と評される、せきしろさんとの共著。

筆者2人が日常生活で感じたことや気づいたことが、エッセイ、自由律俳句、散文、写真で表現されており、読み応え十分の一冊となっています。

本書はクスリと笑えるポイントが満載です。しかし、ただの笑える作品ではありません。ユーモアの中に、途方もない孤独や自嘲も織り交ぜられており、そのさじ加減が絶妙なのです。

ここで、私が好きなエッセイをひとつ紹介したいと思います。

「便所目当ての百貨店だが買い物顔を作る」

 

百貨店に足を踏み入れトイレの方向を示す看板を目で追いながら、気が付くと僕は無意識のうちにいかにも何かを購入しそうな雰囲気を全力で醸し出してしまっている。全く興味が無い服を二度見したり、少し触れてみたり、今にも鼻唄を歌いだしそうな表情までも意識的に浮かべている。

 

だが実際のところは余裕など全く無く、自分が触っていた商品をよくよく見ると奇怪な模様の婦人服だったりして驚く。そんな状況に陥っても、なお僕は、「母親にちょっとね…」という表情を作ってしまうから厄介だ。

 

自分は何をしているのだ。誰も僕の行動に注目などしていないのに。(p28)

このように文章で読むと、又吉さんの姿を想像するからか、つい笑ってしまいますよね。でも、ふと気づくのです。自分もこのようなことをやっているなと。そして、それはこんなにも無意味で滑稽なことなのだと……。

 

『新・四字熟語』

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「現世を標榜する新たな四字熟語があって然るべき。」というコンセプトで作られた一冊。

本書も、先ほどと同様、どれもこれもクスリと笑えて、心から共感できるものばかり。

「白服伽哩(しろふくかりー)」

白い衣服にカレーが飛散する様子から、美しいものに付く汚れは目立つという意。
落ちこぼれが失敗しても特に世間は騒がないが、優秀な者の汚点には滅法反応が早い。実は良い人と呼ばれる方が好感度が高く、普段愛想の良い人物が不満を洩らすと総すかんを喰らう。自分も含め、身の回りのものはある程度汚しておいた方が得策だ。(p19)

「全力保養(ぜんりょくほよう)」

保養に全力を尽くし過ぎて、逆に疲れてしまうこと。

久々の休みだったので、朝から、エステに行き、そのあとスーパー銭湯に行き、マッサージにも行き、酸素カプセルにも入りました。全力保養というやつでしょうか、めっちゃしんどいです。(p110)

「雨男主張(あめおとこしゅちょう)」

大事な日に決まって雨が降るという印象があっても、必ず晴れている日もあるはず。無意識のうちに、雨の日だけをカウントしてしまっているのです。比率を出してみたら、恐らく降水確率と同じくらいです。雨男とか主張するのは、ある意味無茶苦茶自意識過剰なんです。でも僕は雨男です。(p240)

又吉さんのセンスには脱帽です。

サラリと読めるけれど、学びや気づきが詰まった一冊となっているので、自分の言動を見直す良いきっかけにもなりますよ。

滑稽だと思って読んでいると、言い当てられてついドキッとしてしまうかも……?!

 

『みんな十四歳だった!―よしもと芸人が語る、何者でもなかった「あの頃」の話

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本書は吉本興業の企画本で、吉本芸人17人が、自分が14歳だった時のことを語っている一冊です。

オリエンタルラジオ・藤森さん:仲間と一緒に万引きできなくて、裏切り者扱いされた「あの頃」。
森三中・大島さん:砂場に掘った穴に裸で埋められたこともあった「あの頃」。

など、つらい過去をカミングアウトしている人も多く、読んでいて胸が苦しくなります。

「まわりのみんなを悩ませてしまうほど真面目だった「あの頃」」

 

「逃げて逃げて逃げまくれ」

いまのつらいことって、ずっと続くわけじゃない。周囲とうまくいかなかったり、自分を変人のように感じたり、そういうことは、実は、誰にでもあること。しかも、大人になると、決してすべてがそうだとは言わないけれど、それなりに、美しいことだってある。僕の場合は、芥川龍之介や太宰治などの「文学」でそれを知った。(p95)

又吉さんのページの冒頭部分は、このようにはじまります。そして、又吉さんの原点がほどかれていきます――。

又吉さんの過去を深く深く掘り下げているので、こちらもぜひ読んでほしいですね。

14歳の頃は普通の子どもだった吉本芸人たち。多くの試練を乗り越えて努力し続けたからこそ、現在テレビで活躍されているのだと思います。悩んだ時、苦しくなった時に読むと、私も頑張ろうと勇気をもらえる作品ですよ。

 

又吉さんワールドを楽しもう

『火花』とはまた違う、独特でユニークな又吉さんの世界観は、読めば読むほどハマること間違い無し。ぜひ、経験してみてくださいね。

今回ご紹介した作品
■『カキフライが無いなら来なかった』(幻冬舎)
■『 新・四字熟語 』(幻冬舎)
■『 みんな十四歳だった!―よしもと芸人が語る、何者でもなかった「あの頃」の話 』(新潮社)

 

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ライター

I.Megumi
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。