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鈴木信行『宝くじで1億円当たった人の末路』|23の「末路」を描いたヒット作


 

『 宝くじで1億円当たった人の末路 』
鈴木信行(著)、日経BP社

「友達がゼロの人」「子供を作らなかった人」「家を買わなかった人」・・・

普通の会社員が下した選択を待ち受ける23の末路

みんなとは違うけど読み進むほど心が軽くなる!(帯)

 

「月曜から夜ふかし」「王様のブランチ」などで話題沸騰となっていたこのヒット作品。ついタイトルが気になり手に取ってみました。

2018年4月には、本書が原作のドラマ「○○な人の末路」も始まりますよ。

 

本書は、タイトルに付けられた「宝くじで1億円当たった人の末路」だけが収録されているのではありません。

「事故物件借りちゃった人の末路」「キラキラネームの人の末路」「賃貸派の末路」「「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路」「癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路」など23の末路が収録されています。

 

また、「末路」というと、当事者たちのドキュメンタリー集だと勘違いする方もいらっしゃるかもしれません。本書はあくまでも、その筋の専門家が自身の経験や人脈から「末路を探る」構成となっています。

今回のコラムでは、23の「末路」のうち、ある1つの「末路」を紹介したいと思います。

 

 

「グロい漫画」が好きな人の末路

『進撃の巨人』、映画化された『GANTZ』『寄生獣』『アイアムアヒーロー』・・・。

昨今の人気作品を改めて列挙すると、特に子を持つ親の立場からは、「非常に気になる共通点」があることに気づく。ずばり、作品内に過激な描写が散見されることだ。

「感動」や「仲間との絆」「主人公の成長」などをテーマにした“普通の作品”も多数ある中で、あえて“グロい漫画”を好む人は、やはり心に闇を抱えているのか。(p169)

 

グロい小説・漫画の一読者として、一児の母として、このテーマについては大変興味を持ちました。

私はグロい小説や漫画を積極的に読む方ではありませんが、怖いもの見たさでつい読んでしまうこともあります。読後感は悪いですし、自分でもなぜ読んでしまうか不思議です。「自分は病んでいるのだろうか?」と考えてしまったり……。

また、子どもがグロい作品に傾倒していたら、きっと心配してしまうでしょう。

「日本社会の病巣」のようなものを感じる方もいらっしゃると思います。

 

サイコセラピストであり、日本催眠心理研究所の所長を務める米倉一哉さんは、過激な漫画や映画、小説を好んで読む人の心理についてこのように語っています。

 

人間は、どんな事でも「自ら体験して、感じたい、味わいたい」と潜在的に願う生き物です。これを“身体性”と呼びますが、生々しい実体験がなければ、そうした感情を満足させることができません。ひと昔前であれば、多くの子供が、密かに心に抱える「グロテスクな事や危険な事への関心・興味」や「周囲への攻撃性」を、思春期に友達と少し羽目を外したり、親に反抗したりして、少しずつ昇華したり、発散させて大人になりました。でも今は、反抗期自体がない子もいる。そんな「体験したくてもできなかったグロテスクな世界」が漫画に描かれてあれば、そこに興味を引かれるのは、ある意味当然であり、健全な心理なんです。(p171)

 

私はこの内容を読んで、なるほど、確かにそうかも!と感心してしまいました。グロい作品が、必ずしも悪ではないようです。

ですが、子どもがグロい作品に傾倒していく姿を、ニコニコと受け入れる自信がないという親御さんも多いでしょう。安心ください。本書では、子どもにどのように対応すればいいのか、というのも書かれています。

また、「自己の不一致」など、心理学的な観点からも考察されており、この「末路」だけでも大変勉強になりますよ。

 

 

社会や世間にうまく同調できずに悩んでいる方へのエール

本書では、さまざまな人たちの「末路」が書かれていますが、作者が伝えたかったこととはいったい何なのでしょう?

一言で言うと「同調圧力をぶっ飛ばせ」。

 

同調圧力なんて関係ない。今日から自分がやりたいことをやり、やりたくないことはやめましょう。お金なんて必要最低限あればいいんです。「宝くじで1億円」当たっても、ろくなことはないんですから。(p350)

 

私が思うに、本書が売れた理由は、どの「末路」においても、決してそれぞれの生き様を批判することなく、暖かい目線で客観的に解説していることだと思います。

つい「幸せはいつも自分の心が決める」という名言を思い出しました。人とは少し違った人生でも、側から見れば大変そうでも、自分が満足していればその人生は幸せなものである。そんな当たり前のことを改めて気づくことができるという点で、有意義な一冊といえるでしょう。

 

 

さまざまな「末路」から学びを

読んでいて元気をもらえる本書。ぜひとも、人生における学びと気づきを感じ取ってくださいね。

 


今回ご紹介した書籍

宝くじで1億円当たった人の末路
鈴木信行(著)、日経BP社


 

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。