話題の漫画『さよならミニスカート』あらすじ・作品の魅力

更新日：2019/7/24

今、集英社の少女漫画雑誌「りぼん」で話題になっている漫画『さよならミニスカート』をご存知ですか？

現役アイドルの方々やさまざまなメディアにも取り上げられており、第1巻は発売して間もなく10万部を超える大ヒットとなりました。

ジェンダー、性差、女性らしさ、性犯罪など、さまざまな角度で切り込んでいる本作。
ここではそんな『さよならミニスカート』のあらすじや、作品の魅力をご紹介したいと思います。

『さよならミニスカート』あらすじ

『さよならミニスカート』
牧野あおい(著)、集英社

人気アイドルグループ「PURE CLUB(通称：ピュアクラ)」で、雨宮花恋の名でセンターに立っていた神山仁那(にな)は、握手会の最中、ファンに刃物で手首を切られてしまいます。
その後犯人は逃亡。ショックを受けた花恋(仁那)はアイドルを辞めてしまいます。

それから半年後、長かった髪を切り、スカートではなくスラックスを履き、アイドルだったことを隠して登校する仁那。
「なぜスカートを履かないのか？」と、周囲から浮いた存在となった仁那ですが、柔道部の堀内光(ひかる)だけは仁那のことを気にしていました。

そんなある日、仁那がかつて雨宮花恋だったことを光に見抜かれます。

光の妹は過去に担任教師からセクハラを受け、引きこもりになっていました。しかしそんなときにピュアクラの姿を見て救われたのです。
光から感謝の言葉を受けた仁那は、少しずつ光に心を開いていくのですが……。

「女の子」の在り方を問う少女漫画

『さよならミニスカート』は、日常で当たり前に使われる言葉「女らしさ」「可愛らしさ」に疑問を投げかけた作品です。

単行本1巻の帯には、こんな言葉が書かれています。

このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。(1巻帯)

この言葉は作品のキャッチコピーとなっています。

この漫画に興味のない女の子がいても、その内容に無関係な女の子はいない。主人公の仁那、仁那に好奇の目を向ける女子生徒、傍観しているクラスメイトや関係者など、どこかにあなた(読者自身)がいるはず。
そんなメッセージを感じました。

本作では、「女であること」「男であること」それらに悩み翻弄される少年少女たちの姿がありのままに描かれています。

対照的な2人の女の子

仁那のクラスには、美人で男子生徒にモテる長栖美玖(みく)がいます。光に好意を寄せる美玖にとって、光が気にかけている仁那は邪魔な存在です。

この作品では、そんな仁那と美玖の存在が対照的に描かれています。

ファンに手首を切られたことや、何気ない会話から聞こえてきた悪意のない暴言に深く傷つき、スカートを履かなくなった仁那。
一方の美玖はいわゆるぶりっ子で、一見「女の敵」と思われるような存在です。しかし実は、男性が優位である世の中のことを理解し、スカートを履いて男性に媚びて生きることが楽なのだと分かっているのです。

実は、仁那がスカートを履かなくなった理由も、美玖が短いスカートを履く理由も、同じなのではないでしょうか。理由は違えど、誰もが性別による社会的な視線に悩み、もがき苦しんでいるのです。