宮下奈都 おすすめ小説|心温まる優しい物語をあなたに
更新日:2019/12/20
2004年に『静かな雨』で作家デビューした宮下奈都さん。
温かく優しい作風が特徴で、登場人物の心の揺れ動きや葛藤などを、繊細かつ丁寧な文章で描いています。
読んだ後には心がじんわりと温かく、前向きな気持ちになれるのも宮下作品が持つ魅力です。
ここでは、そんな宮下作品から、おすすめの小説をご紹介します。
宮下奈都 おすすめ小説1
『羊と鋼の森』
『羊と鋼の森』
文藝春秋
高校2年生の秋、北海道の高校に通う「僕」は、調律師の板鳥と出会う。板鳥が鳴らしたピアノの音に衝撃を受けた「僕」は、弟子入りを志願し調律師を目指すことに――。
1人の青年が、調律師を目指し、師弟関係を通して成長していく様子を描いた『羊と鋼の森』。
まるで目の前でピアノが鳴っているみたい。比喩表現が非常に美しく、本に描かれている情景が目に浮かぶようです。
些細な出来事が人生の大きな転機となる。それは、誰にでも起こり得ることなのかもしれません。
空気の澄んだ冬に読みたい一冊です。
宮下奈都 おすすめ小説2
『太陽のパスタ、豆のスープ』
『太陽のパスタ、豆のスープ』
集英社
結婚式直前に、一方的に婚約を破棄されてしまった明日羽(あすわ)。
叔母のロッカにすすめられ、自分のやりたいことをまとめた「ドリフターズ・リスト」を作り自分を見つめ直すが――。
人生のどん底にいた明日羽が一人暮らしを始め、食べることが好きな自分を再発見。少しずつ立ち直っていきます。
「苦しいことやつらいことがあっても、日々を大切にして過ごせば立ち直って生きていける」ことを教えてくれた作品です。
登場人物たちの優しい言葉や、明日羽が幸福に暮らす様子に元気をもらえました。
宮下奈都 おすすめ小説3
『スコーレNo.4』
『スコーレNo.4』
光文社
自由奔放な妹に比べ、平凡な自分に自信が持てない麻子。
そんな麻子が中学、高校、大学、就職という4つのスコーレ(学校)のなかで、少女から女性へと成長してく十数年間を描いた物語です。
家族や姉妹、青春、職場、恋愛。1人の女性の人生に訪れるさまざまな出来事。気付けば麻子と自分を重ね合わせて読んでいました。
私らしさとは? 幸せとは? 女性の人生について考えさせてくれる一冊です。
宮下奈都 おすすめ小説4
『誰かが足りない』
『誰かが足りない』
双葉社
美味しいと評判のレストラン「ハライ」に訪れた6組の客、それぞれの物語。
認知症の老婦人、人の失敗の匂いを嗅ぎ取ってしまう女性、ビデオカメラを回すことで部屋から出られるようになった青年など、どの客も悩みや生きづらさを抱えています。
完璧な人生なんてものはなく人生にはうまくいかないこともあります。しかし、誰かの支えで一歩踏み出してみると、希望が見えてくるかもしれません。
あなたの背中をそっと押してくれる作品です。
宮下奈都 おすすめ小説5
『よろこびの歌』
『よろこびの歌』
実業之日本社
有名なバイオリニストを母に持つ御木元玲は、声楽を志し音大附属高校を受験するも失敗。女子高の普通科へ行くことになるが――。
本作は連作短編集となっており、生徒たちの視点で物語が進んでいきます。
明るく見えるけれど、それぞれに悩みやコンプレックスを抱える少女。彼女たちが歌を通して友情を育む姿が、とても爽やかです。
母へのコンプレックスや受験を失敗したことに挫折し悩む玲も、校内合唱コンクールをきっかけに変わっていきます。
青春真っ只中の方はもちろん、高校時代を懐かしく感じる方にもおすすめしたい一冊。くじけそうなときや、精神的に負けてしまいそうなときに読んでみてください。
宮下奈都 おすすめ小説6
『静かな雨』
『静かな雨』
文藝春秋
足に麻痺があり、日常的に松葉杖で生活している行助は、たい焼き屋で働くこよみと出会う。
少しずつ距離を縮めていた2人だが、ある日こよみが交通事故に……。そして、新しい記憶を短い期間しか覚えていられない脳機能障害を発症してしまう――。
第98回文學界新人賞の佳作入選作品。宮下さんは本作で作家デビューしました。
記憶は残らないけれど、こよみの身体に刻まれていく行助との記憶の物語。タイトルの通り静かな、そして切なくて温かい作品です。
ありふれた日常を大切にしようと思わせてくれます。
心を温めてくれる、宮下奈都さんの作品
宮下奈都さんの作品の魅力は、誰もが感じたことのある悩みや心の葛藤を丁寧に描いているところ。どれも心温まる作品で、読んだ人にそっと前を向かせてくれます。
人生に悩んだときやちょっと疲れたときに、ぜひ読んでみてくださいね。
ライター:hina
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