【2019年映像化】原作の歴史・時代小説をまとめてご紹介
更新日:2019/11/22
幅広い年齢層に支持されている時代劇は、新しい作品が続々映像化されています。サムライのドラマチックな生き方や勧善懲悪の爽快さなど、時代劇の魅力もさまざまです。
その原作はというと大幅に脚色されるものから原作に忠実なものも。
ドラマや映画の原作をあわせて読んでみると、歴史上の人物に新しい発見があったり時代背景を学べたりと楽しみ方がひろがります。
ここでは、2019年(一部2020年)に公開、放送となる時代劇・歴史映画の原作をご紹介します。
堤真一、岡村隆主演
「決算! 忠臣蔵」
原作『「忠臣蔵」の決算書』
山本博文(著)、新潮社
2019年11月22日に公開された「決算! 忠臣蔵」。堤真一さん、岡村隆さんが主演です。
原作は、多数の歴史番組などにも出演している東京大学教授の山本博文さん。討ち入りの経済的側面を、歴史的史料にもとづいて分析。当時の武士姿をあぶり出しています。
史料から討ち入り計画に支出された費用を細かく追うことで、プロジェクトマネジメントの視点も交えながら赤穂事件の実態を明らかにしています。
赤穂浪士の生活の苦労や仇討ちが予算ギリギリの計画だったことがわかると、忠臣蔵の見方も少し変わってくるかもしれません。
⇒中村義洋監督が、自ら映画を小説家。小説版『決算! 忠臣蔵』はこちら
瑛太主演
「闇の歯車」
原作『闇の歯車』
藤沢周平(著)、文藝春秋ほか
『たそがれ清兵衛』や『蝉しぐれ』など、映像化作品も数多い時代小説のヒットメーカーである藤沢周平さん。
本作は江戸時代の現金強奪事件などが描かれた、藤沢作品のなかでもハードボイルドテイストが際立つ重厚な作品です。
瑛太さん主演で、時代劇専門チャンネルで2019年2月より放送されました。
面識もない男たち4人が犯す罪と、結末に行き着くまでのそれぞれの人生は、まさに静かに狂っていく歯車のよう。
ラストに待っている感動も見逃せないサスペンス時代小説です。
中村隼人主演
「大富豪同心」
原作「大富豪同心シリーズ」
幡大介(著)、双葉社
歌舞伎役者の中村隼人さん主演で、2019年5月からNHK BSプレミアムで放送されたドラマ「大富豪同心」。
幡大介さんは、シリーズ物の時代小説を多く発表しており、なかでも「大富豪同心シリーズ」は20作を超える人気作です。
両替商を営む祖父の計らいで、同心(下級役人)になってしまった卯之吉の捕物帳がコメディタッチで展開されていきます。
なんと言っても卯之吉の天然キャラが魅力的な本作。
全く同心らしくない放蕩三昧の卯之吉が、なぜか周囲の都合のいい誤解によって事件の解決にたどり着いてしまう突き抜け方が痛快です。
佐藤健主演
「サムライマラソン」
原作『幕末まらそん侍』
土橋章宏(著)、角川春樹事務所
2019年2月に、佐藤健さん主演で映画化された『幕末まらそん侍』。豪華なキャストとともに、監督がイギリス出身の外国人ということでも話題を呼んだ作品です。
原作小説は、映画とは違いややほのぼのテイスト。
短編の連作形式が取られており、それぞれの章で繰り広げられる人間ドラマが最終章のマラソンの勝敗に絡んでいきます。
現代にも通じる恋や仕事、お金の問題などのテーマをコメディタッチで描きながら、ラストではちょっと涙を誘う展開に癒やされます。
星野源主演
「引っ越し大名」
原作『引っ越し大名三千里』
土橋章宏(著)、角川春樹事務所
「サムライマラソン」と同じく、原作は土橋章宏さん。星野源さん主演で、2019年8月30日から映画が公開されました。
7回の国替えを強いられ、引越し大名と呼ばれた松平直矩の書庫番、片桐春之助が主人公。内気な彼が、引越し奉行に引き立てられて一念発起します。
多大な労力を要する「国替え」の困難に取り組み、乗り越えて成長していく物語です。
次々に降りかかる難題を、書庫番をしていた際に培った知識を使って他の藩士と協力しながら解決していく春之助。
コメディ要素も織り交ぜて軽いタッチで進んでいく展開が小気味よく、「自分も変われるかも知れない」と思わせてくれるでしょう。
佐々木蔵之介主演
「家康、江戸を建てる」
原作『家康、江戸を建てる』
門井慶喜(著)、 祥伝社
原作者の門井慶喜さんは2003年に推理小説でデビューし、『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞しました。本作も、著者2度目の直木賞候補作となった作品です。
「インフラ整備に関する小説」という企画アイディアから始まり、治水と地盤改良、上水道の整備、貨幣制度の改革、築城にすべてをささげた5人の職人の物語。5つの短編が収録されています。
江戸の礎となった都市計画の原点が、私利私欲を捨てて江戸に暮らす人々のために情熱を傾けた職人の想い。
それぞれの分野の専門知識の解説、現在の地名との対比は、ウンチクとして誰かに披露したい気持ちが湧いてきますよ。
松坂桃李主演
「居眠り磐音」
原作『居眠り磐音 決定版』
佐伯泰英(著)、文藝春秋
原作の『居眠り磐音』は、シリーズ累計販売数が2,000万部オーバーの超人気時代小説です。2019年5月の映画が公開されました。
映画化は今回が初めて。『居眠り磐音 決定版』として新たに発刊されたシリーズが原作となります。
幼なじみの河出慎之輔、小林琴平とともに藩政改革を目指すも、藩の守旧派の策略によって斬り合うことになった坂崎磐音。
その後江戸で浪人暮らしを始めた磐音が、陰謀に巻き込まれていく物語です。
勧善懲悪ストーリーが気持ちのいい、エンターテイメント作品となっています。
役所広司主演
「峠 最後のサムライ」
原作『峠』
司馬遼太郎(著)、新潮社ほか
司馬遼太郎さんのベストセラー『峠』が原作の「峠 最後のサムライ」。激動の幕末に長岡藩の家老としてサムライの美学を貫いた悲劇の英雄、河井継之助の生涯を描いた作品です。
先見の明と自由の精神を持ち、智将と呼ばれながらも時代に抗えず散っていった最後のサムライ。その葛藤しながらも志を貫き通す生き方に胸を打たれます。
映画公開は2020年。司馬遼太郎作品のなかでも名作と言われる本作が役所広司さんでどう演じられるのかが楽しみです。
岡田准一主演
「燃えよ剣」
原作『燃えよ剣』
司馬遼太郎(著)、新潮社ほか
司馬遼太郎さんは、先にご紹介した『峠』のほか、さまざまな作品が映像化されています。
新選組の土方歳三の生涯を描いた本作も、過去に映画やドラマが制作されている人気の高い作品です。1966年に初めて映画が公開されてから、54年ぶりの映画化となります。
原作で描かれる土方歳三の男らしい生き様は、まさに滅びの美学の王道。最後に息絶える土方の姿は痛々しくも潔く、土方ファンにはたまらないところでしょう。
お雪との惹かれ合う関係も、土方のまっすぐな人柄を際立たせ、物語に華をそえています。
定番に加えて新しい時代小説も面白い!
時代劇は、幕末ものや忠臣蔵など、人気の高い人物や時代の作品が映像化されることが多いですよね。やはり、美しく散っていく潔さが日本人の心に根付いているからでしょうか。
土橋章宏さんや門井慶喜さんの作品など、新しい切り口の時代小説を映像化する試みも見逃せないところです!
ドラマや映画の鑑賞とあわせて、原作の面白さもぜひ味わってみて下さいね。
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