歴史小説ならこの作家がおすすめ!歴史が好きになる傑作5選
歴史小説を読んだことはありますか?
歴史が苦手だった人の中には、難しそうなイメージを持っている人もいるかもしれません。
でも、そんな人にこそ読んでみて欲しいのが歴史小説です。
読んでみたいけれど、どんな小説家がいいのか知りたいあなたに、「歴史ってこんなに面白かったの?」と思えるような人気の歴史小説家5人を厳選してご紹介します。
おすすめの作品もあわせてご紹介しますよ!
『バガボンド』の原作者
吉川英治
1892年神奈川県に生まれた吉川英治氏は大衆向けの歴史小説の人気作家です。
幼いころから物語を書いていたという吉川英治氏はさまざまな職につきながら1923年の関東大震災をきっかけに作家になることを決意します。
1926年から「大阪毎日新聞」に連載された、江戸時代の徳島を舞台にした『鳴門秘帖』で一躍人気作家となります。
生涯にわたって、短編を合わせて240作もの作品を書いた吉川英治氏。
代表作は『三国志』『宮本武蔵』といった超長編歴史物語で、NHK大河ドラマをはじめ吉川氏の数々の作品がドラマ化、映画化されています。
吉川英治おすすめ作品!
多くの人に影響を与えた代表作『宮本武蔵』
『宮本武蔵』
講談社ほか
吉川英治氏の人気作品の一つ。朝日新聞に1935年から4年間にわたり掲載された大長編です。
二刀を使いこなす二天一流兵法の開祖である剣豪、宮本武蔵の成長を描いたこの作品。
エンターテイメント性が高いだけでなく、武蔵のまっすぐな生き様は当時の人々に勇気を与え、今日まで多くの人に愛されている作品です。
人気マンガ『バガボンド』の原作でもあります。
名もなき人の優しさを描く
山本周五郎
1903年に山梨県に生まれた山本周五郎氏。
小さいころから物語を書くのが好きな少年で、質屋に住み込みで働きながら小説を書き始めました。
1943年に、武家社会で夫や子のために強く生き抜いた女性たちの美しい生きざまを描いた短編集、『日本婦道記』で直木賞に推薦されましたが、それを辞退した周五郎氏。
その後も数々の文化賞を辞退し、名声を求めることを拒みました。
その生きざまは周五郎氏の著作にも表れています。氏の描く時代小説は英雄伝ではなく、江戸の町民など、名もなき庶民や、世間から虐げられてきた人たちです。
もともと人間の本性を良いものと信じ、優しい目線で人々の心を描いた周五郎氏。短編集も多いので、時代小説初心者には入りやすい作家ではないでしょうか。
山本周五郎おすすめ作品!
人間にとって大切なことを問う『さぶ』
『さぶ』
新潮社ほか
周五郎氏の代表作の一つがこの作品です。
仕事もできて目立つ存在だった主人公・栄二と、不器用だけれど心の優しいさぶ。とある事件をきっかけに疑いをかけられ、社会からドロップアウト、人間不信に陥る栄二。
しかしこの経験無しには出会えなかったような人々との交流を通し再び人間的に成長していきます。
そして栄二の姿を暖かく見守る親友、さぶとの友情を通して人間にとって大事なこととは何かに気づかされる作品です。
歴史上の人物像に大きな影響力を及ぼした作家
司馬遼太郎
歴史小説を読まない人でも知っている、著名な歴史小説作家が司馬遼太郎氏です。
大学で蒙古語を学んだ司馬氏は、新聞記者として仕事をしながら執筆活動を行い、『梟の城』で直木賞を受賞しました。
特に戦国や幕末、明治にかけての時代の人物を多く取り上げています。
司馬遼太郎氏の作品は、坂本龍馬や織田信長、徳川家康など日本人の持つ歴史上の人物像に、大きく影響を与えています。
作品を書く前に資料を徹底的に調べ上げる司馬氏。
ドキュメンタリー風に史実を描写しながらもリアリティのあるフィクションも交えているので、司馬作品をすべて歴史的な事実だと捉えてしまわれがちなことに対しては、議論の的ともなっています。
それは何といっても、ベストセラー作家である司馬作品の影響力の大きさがあるからなのですね。
司馬遼太郎おすすめ作品!
時代に流されない精神『峠』
『峠』
新潮社ほか
幕末の動乱期、越後の長岡藩士であった河井継之助を描いた作品。
世の中の変化を敏感に感じとった主人公は長岡藩という狭い世界にとどまることができず、江戸へと向かいます。しかし江戸の学問にも物足りなさを感じ、新たな師のもとへ。
単なる知識の学問ではなく、物事の本質をつかみたいと願う主人公の生き様は、現代の人々の指針ともなる物語です。
歴史上の女性を取り上げる
永井路子
1925年東京に生まれた永井路子氏。
大学卒業後、小学館に勤務して編集者として活躍しながら司馬遼太郎氏が発起人となって発行していた同人誌『近代説話』で作品を発表し始めます。1964年に『炎環』で直木賞を受賞しました。
永井路子氏は徹底して史実を調べ上げ、歴史の誤った解釈をくつがえすような作品を残し、その内容は歴史学者にも影響を与えました。
鎌倉時代から江戸時代の作品を得意とし、特に『北条政子』『流星 お市の方』など、歴史上の女性を数多く取り上げ、新しい視点から描写しています。
『女帝の歴史を裏返す』という本の中では、推古天皇や持統天皇など、古代から近世までの8人の女帝を取り上げているんですよ。
永井路子おすすめ作品!
新たな道長像を描く『この世をば』
『この世をば』
新潮社
誰もが知る平安時代摂関政治の代表的存在、藤原道長の生涯を描いた作品です。
子供のころから将来を約束されたスポットの当たる人物かと思いきや、才能のある兄たちに囲まれて平凡であまり目立たない幼少時代を過ごしていました。
そんな道長が頂点を極めるまでのさまざまな出来事や心の葛藤を浮き彫りにした作品。
あなたの道長像が変わるかもしれませんよ。
イタリアを中心とした歴史を描く
塩野七生
詩人で小学校教師の父と、イタリア人医師の母、という家庭で育ちます。
大学で哲学を学んだ後、イタリアへ移住し、1968年に帰国してから執筆活動を開始しました。
「中央公論」に掲載された『ルネサンスの女たち』でデビューし、1970年に『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞します。
再びイタリアへ移り、現在もローマに住む塩野氏の作品は、イタリアを中心とした海外の歴史がメインです。
日本では『海の都の物語』『ローマ人の物語』などの作品で賞を受けるほか、日本にイタリア文化を広めたことが評価され、イタリア政府よりイタリア共和国功労賞を受賞しています。
塩野七生氏が15年をかけてローマの全歴史を書き上げたのが『ローマ人の物語』です。
知力では、ギリシャ人に劣り、体力ではケルト(ガリア)やゲルマンの人々に劣り、技術力では、エトルリア人に劣り、経済力では、カルタゴ人に劣るのが、自分たちローマ人であると、少ない史料が示すように、ローマ人自らが認めていた。それなのに、なぜローマ人だけが、あれほどの大を成すことができたのか。
と本書の中で筆者も書いている通り、なぜローマ人だけが長期にわたりあれほどの大文明を築き上げたのかということに興味がある人は、ぐいぐい引きつけられる物語です。
塩野七生おすすめ作品!
歴史の面白さにふれる『十字軍物語』
『十字軍物語』
新潮社
十字軍といえば、世界史でその名を知らない人はいないと思います。ですが、いったいどのようなものだったのか……というと、あまり説明できないということはありませんか?
実は十字軍に入ると金銭面の優遇や過去の犯罪の帳消しなどで有利ということもあり第一次十字軍に集まったのは皆貧しい人々でした。
第一次十字軍を描いたこの作品は、歴史の本当に面白さに出会える一冊です。
人々の生きる姿が感動を呼ぶ歴史小説
歴史小説というと難しいイメージがあるかもしれません。
でもどの作家でも共通して描こうとしているものは、それぞれの時代を精一杯生き抜いた人々の姿です。
興味のある作家の作品から気軽に読み始めて見てください。
一度読み始めると、時空を超えた歴史小説ならではの面白さにハマってしまいますよ。
今回ご紹介した作家の本を探す
今人気の時代小説、歴史小説をランキング形式でご紹介!