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おすすめサイコホラー小説|その恐怖、トラウマ級! 普通の人間には理解できない狂気


更新日:2019/2/22

「サイコホラー」とは、幽霊や超常現象などの霊的な恐怖ではなく、普通の人には理解できない異常行動など“人間の狂気”による心理的恐怖のことを指します。

実際に起こりそうなリアルな内容から猟奇的なものなど、人間の恐ろしさが際立つものの、一度手に取り読んでみるとその恐怖のトリコになってしまうかも……。

ここでは、恐れおののきながらもどんどん読み進めてしまう、おすすめのサイコホラー小説をご紹介します。

※グロテスクな表現が苦手な方はご注意を。

 

カニバリズムの狂気
『羊たちの沈黙』

書籍『羊たちの沈黙』表紙

羊たちの沈黙
トマス・ハリス(著)、新潮社

FBIアカデミー訓練生であるクラリスは、女性の皮をはぐ連続殺人鬼に迫るため、精神科医ながら9人の患者を殺害したレクター博士に面会する。博士は連続殺人鬼について不気味な予言をして……。

 

1989年に初版が発行され、いまなお人気の絶えない海外発のサイコホラー小説。
映画化もされており、多くの人を魅了した作品です。

気味の悪い殺人を描いた本書は、カニバリズム(人の肉を食べること)や、サイコホラーの真骨頂ともいえる作品ではないでしょうか。

 

いらない人間は排除する
『殺人勤務医』

『殺人勤務医』表紙

殺人勤務医
大石圭(著)、角川書店

コンクリート造りの窓のない檻の向こうで、ひどくやせ細った女が悲痛の叫びを訴えていた。叫び声を聞きながら、涼しい顔で女を前にして食事をとる男。
容姿端麗で人望もあるこの男、実は過去の体験から性格が破たんしていて……。

 

甘いマスクで人気の中絶専門医の古河。普段の物腰やわらかい性格が嘘のように、死んでもいいと判断した人を次々と残酷な手段で殺めていきます。

狂気じみていますが、読後はなんだかスッキリすることでしょう。

 

もはや爽快?
『悪の教典』

書籍『悪の教典』表紙

悪の教典
貴志祐介(著)、文藝春秋

高校教師の蓮実は夢を見ていた。舞台の上で人形のように演目の役を演じているのは、自分が担任をしているクラスの生徒たちの姿だ。
勝手な動きをする生徒にチョークを投げてみたが当たらない。それでは、コルク弾を装填したライフルはどうだろう……?

 

2012年に公開された実写映画も話題となった作品です。
学校の人気者である蓮実は、裏で自分にとって邪魔な人間を殺していくサイコキラー。学校の生徒たちを残虐なやり方で次々と殺していくさまが描かれます。

自分の近くにいる人が、もしもサイコパスだったら……? 身近に潜んでいそうな恐怖におののきそうになることでしょう。

 

じわじわ迫る恐怖
『私の家では何も起こらない』

書籍『私の家では何も起こらない』表紙

私の家では何も起こらない
恩田陸(著)、KADOKAWAほか

丘の上にある、女性作家が移住してきた幽霊屋敷にまつわる連作集。屋敷に関わった人の、さまざまな怖い話が詰まっています。

キッチンで殺しあった姉妹、近所の子供をピクルスにして主人に出していた女、壁に埋め込まれている死体のようなもの――。

じわじわと迫りくるその恐怖心は、ある意味新鮮に感じられるかもしれません。不気味な世界を味わいたい方におすすめです。

 

身の毛もよだつ保険金殺人
『黒い家』

書籍『黒い家』表紙

黒い家
貴志祐介(著)、角川書店

保険会社に勤める若槻のデスクには、今日も大量の書類が山積みになっていた。胃がんと宣告された大工、ドライブ中に事故にあった大学生、どれも死亡保険金のチェック書類だ。そんなある日、若槻のもとに1本の電話が……。

 

保険会社社員の何気ない日常が、ある人物によって狂っていく様子が描かれた物語。
実際に起こっていそうな怖さを感じます。「生命保険」の存在についても考えさせられるでしょう。

ホラーのような雰囲気の中で進んでいくストーリーは、読みごたえ抜群です。

 

なぜ人は狂気に溺れるのか
『殺戮にいたる病』

書籍『殺戮にいたる病』表紙

殺戮にいたる病
我孫子武丸(著)、講談社

東京に現れたサイコキラー・蒲生稔は、逮捕のその瞬間も微笑んでいた。一体彼はなぜ、こうも簡単に人を殺すようになってしまったのか……?

 

物語の結末からはじまる、稔、母親の雅子、元警察の樋口の3人の視点で展開される本書。なぜ母の愛を受けて育ったはずの彼は殺人を犯してしまったのか、なぜ殺人を犯してもなお微笑んでいられるのか、過去を振り返りながら物語は進んでいきます。

あまりに惨い猟奇殺人の描写に、本を閉じてしまうこともあるかもしれません。しかし、最後に待つ驚きをぜひ体感してほしいです。

 

精神的な恐怖を感じる
『リカ』

書籍『リカ』表紙

リカ
五十嵐貴久(著)、幻冬舎

妻子を持つたかおは、40歳のときに出会い系サイトの存在を知る。いつのまにかのめり込んでいき、あるとき「リカ」と名乗る看護師の女に出会うが……。

 

「ホラーサスペンス大賞」も受賞した本作。

リカと出会ったことをきっかけに、たかおの日常がどんどん崩れていく様子がなんとも恐ろしい……!
「異常」としか言えないリカの行動に、鳥肌が立つこと間違いなしです。

【関連記事】残虐なホラーサスペンス『リカ』に迫る!

 

実話を集めた
『いま、殺りにゆきます』

書籍『いま、殺りにゆきます』表紙

いま、殺りにゆきます
平山夢明(著)、情報センター出版局ほか

しつけだと言って子供に暴力をふるう親、愛犬の足が1本ずつおられていく恐怖……。さまざまな狂った人達が登場する短編集。

 

この作品の中でも1番の恐怖といったら、実話に基づいて作品ができあがっていることでしょう。
非日常に感じる物語も、実は周りを見渡すと案外近くに転がっている話なのかもしれません。

絶対に起こりえない狂気が描かれるわけではないせいか、後味の悪さが残ります。

 

日記がじわじわくる
『18禁日記』

書籍『18禁日記』表紙

18禁日記
二宮敦人(著)、ティー・オーエンタテインメント

私は毎日日記をつける。日記が意外におもしろいものだからだ。読みかえすのもおもしろいし、他人の日記を読むこともおもしろい。
一見普通の人も、こんなことを考えているのかと興味は尽きない――。

 

さまざまな人間の書いた、15の日記。ノートやブログ、メールなど、その日記に秘められた恐怖が徐々に滲み出てきます。

わたしが一番怖かったのは、「最後の日記」。みなさんはこの作品を読んだ後に、自分は「普通」だと言いきれるでしょうか。

 

殺したはずの女がなぜ?
『絶対正義』

書籍『絶対正義』表紙

絶対正義
秋吉理香子(著)、幻冬舎

ノンフィクション作家として忙しくしている和樹のもとに、パーティの招待状が届く。なんと差出人は、和樹が5年前に殺したはずの範子だった。
由美子、理穂、麗香。範子殺害にかかわった3人にも同じ封筒が届いていて……。

 

いつも正義を振りかざしていた範子と、そんな範子を疎ましく思い殺してしまった4人。ストーリー序盤から、物語の衝撃さに引き込まれていきます。

死んだはずの範子に招待され、パーティにやってきた4人に待っていたものとは? 期待を寄せながら読み進められるサイコホラー小説です。

 

なぜだか引き込まれるサイコの世界

日常とは切り離された戦慄の世界だけに、サイコホラーには一歩引いてみると不思議な魅力があります。

恐怖しながら、この独特の世界に浸ってみませんか?