あなたの「働く理由」はなんですか?|戸田智弘『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』
『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』
戸田智弘(著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン
初めて就職する人であれ、あらためて自分の仕事を見つめ直そうとする人であれ、
「人は何のために働くのか」
「好きなことを仕事にするのは良いことか、悪いことか」
「天職を見つけるにはどうしたらいいか」
「幸福な人生って何だろうか」というようなことを、
ひとりで考えていてもうまくいかない。ひとりで考えるのでなく、
“人生の先輩たち”と心の中で対話しながら考えてみるといい。(表紙中)
今回紹介するのは『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論』。
この本が発売されたのは10年以上前になりますが、今もなお売れ続けているベストセラー作品です。
私にとって、この作品は「人生の一冊」です。
仕事に悩んだ時はもちろん悩んでいない時でも、この本を読み返しては自分の生き方を改めて考え直すようにしています。
みなさまは、現在の仕事に満足しているでしょうか。
仕事は人生の一大事です。
自分の将来に悩むのは、若者だけではありません。もし、仕事に対して何らかのモヤモヤを感じている方がいらっしゃれば……ぜひともこの一冊を渡したい、そんな作品です。
仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである
本書がいわゆる一般的な「名言集」と異なるのは、以下の2点ではないでしょうか。
①“名言”ではなく、“自分の仕事と向き合うための法則”が紹介されている
②作者の経験を交えた解説があまりにも的を得ている
私がこの本に出会った時は20代の頃でした。
自分のことなのに、自分が進みたい道が分からない。そうはいっても、自分の人生は、自分で考えて自分で選ぶしかない。
やってみたい仕事はたくさん思い浮かんでも、自分の性格や気質、経験や年齢に合うかと問われれば、それは無理という仕事も多い。
途方に暮れていた時期に本書に出会いました。
当時の私が“心に刺さった”言葉をひとつ紹介したいと思います。
仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。
ドナルド・E・スーパー(アメリカの心理学者)
この文章に出会うまで、自分に向いている仕事、面白いと思える仕事を見つけるための法則なんて存在しないと思い込んでいた。人間は一人ひとり違っているのだから、すべてはケースバイケースだと思い込んでいた。実はそうではなかった。適職や天職を見つけるための法則らしきものはちゃんと存在していたのだ。(p2-3)
経験値が少ない若輩者の私が、一人で考えて出るアイデアはたかが知れています。そこで、知恵を借りるため読み始めたのですが……この言葉は、私の人生の選択を広げる大切な言葉になりました。
ただ、どれだけ先人たちの言葉を聞いても「ふーん」で終わってしまっては、読んだ意味がありません。
“心に刺さった”言葉を何度も繰り返し考え、改めて自分の人生を考えてみること。その行為がきっと人生を変えてくれるはずですよ。
夢をかなえるのだとなんだのと言っても、毎日はとても地味なものだ
本書には、仕事にまつわる99の名言が掲載されています。もう一つだけ紹介しましょう。
夢をかなえるのだとなんだのと言っても、毎日はとても地味なものだ。(中略)
そういう細かいことにひたすら追われるだけだ。それがつまり、夢をかなえると世間で言われていることの全貌だった。
よしもとばなな
人生において「本当にがんばった」と思える時期がどこにもなかったら、「やるだけやった」という自分の限界点らしきものを見極めなかったら、その人はある種のすがすがしさを持って自分の人生を振り返ることができないだろう。(p138-140)
この言葉は、「夢」を叶えるには、地道な努力と執念が欠かせないことを表しています。
広辞苑によれば、「夢」という言葉は「将来実現したい願い、理想」と意味合いを持っています。
理想の状態に近づくために、自分のやりたいと思ったことを、ひたすら頑張る。
私はそんな生き方が出来ているだろうか? 楽してはないだろうか? 理想に近づくための努力ができているだろうか?
この箇所を読むと、いつもハッとします。自分に甘くなりがちな私にとっては、本書は戒めの役割も果たしているのです。
あなたの「働く理由」は?
一生の間に何度も職業を選択しなくてはならない、そんな時代だからこそ。改めて「働く理由」を考え直してみるのも良いかもしれませんね。
本書が、みなさまの将来に前向きな影響を与えてくれることを願っています。
おすすめ記事⇒齋藤孝さんの著書『5日間で「自分の考え」をつくる本』