池上彰×佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方』で教養を身につける
テレビで見ない日はない池上彰さん。池上さんが、どのようにして教養を身につけたのか、興味のある方も多いでしょう。
そこで、今回取り上げたいのは、池上さんと佐藤優さんの共書「僕らが毎日やっている最強の読み方」。
佐藤優さんとは、あの池上彰さんが「知の巨人」として讃える現代人。池上さんは、佐藤さんに会う度に圧倒され、ときには自分の無知さ加減に嫌気が差すこともあるのだそう。ですが、その一方で、情報の詰まった会話に心踊る自分にも気づくのだとか。
本書は、【新聞の読み方】【雑誌の読み方】【ネットの使い方】【書籍の読み方】【教科書・学習参考書の使い方】で構成されています。メディアごとに、違った読みこなす技法があり、その技法を身につけることが大切なんですね。
ぜひ参考にしてみてください。
なお、今回のコラムでは【書籍の読み方】に焦点を当てたいと思います。
「読む気」さえあれば、時間はいくらでも見つけられる
『僕らが毎日やっている最強の読み方』
池上彰、佐藤優(著)
東洋経済新報社
【書籍の読み方】では、二人の『本の選び方』『本の読み方』『読書時間の作り方』が余すところなく披露されています。多忙なビジネスパーソンがどうすれば深く、速く読むことができるのか?の答えがここにあります。
よく耳にする「読書する時間がない……」という言葉。でも、池上さんはそう言う人達をバッサリ切り捨てています。「読む気」さえあれば、時間はいくらでも見つけられるはず、と。
「いつか時間ができたら読もう」と思っていたら、いつまで経っても読めません。読書の時間は「つくり出す」しかないのです。工夫と心がけ次第で時間は作り出せます。
池上さんは多くのテレビ番組と毎月20本近い締め切り、佐藤さんは毎月90本近くの締め切りを抱えています。しかも、二人とも秘書を雇うことなくすべて一人でこなしているとのことですから、誰がどう見ても多忙なのは間違いありません。
にもかかわらず、佐藤さんは毎月平均300冊以上の本に目を通しているようです。他にも新聞や雑誌、Webサイトなども見ているとのこと。佐藤さんいわく「どんなに忙しくても、毎日4時間はインプットの時間を死守している」。
その膨大なインプットの量は、池上さんも同様です。
実際私は、本書を読んで自分が恥ずかしくなり、二人のやり方を見習い(詳しくは本書で)時間を捻出するようになりました。
3パターンの速読技法
また、佐藤流『超速読(1冊5分程度)』、『普通の速読(1ページ=15秒、1冊30分程度)』、『熟読(本によって期間は異なる、平均1ページ=1分)』の技法が1ページにまとまっているのも大変参考になります。このページだけをコピーし、手帳に挟んで持ち歩いても良いかもしれません。
私自身、佐藤さんの『本の読み方』を活用するようになって、読書の量と質がぐんと上がったように思えます。超速読する本、速読する本、熟読する本とそれぞれ分けて読めば、かなりの量のインプットが可能となります。
ニュースで聞いたキーワードを「古典作品」で深掘りする
このように、ためになるノウハウがぎゅっと詰まった本書。紹介したい内容は山ほどあるのですが、今回のコラムでは、私が「痛いところを突かれた」と感じた部分を一つ引用したいと思います。
古典名作のいいところは、相手が内容を知らなかったら、「読んでいないあなたが悪い」と言えることです。読んでいることで優位に立てるのが古典なんです。
「漱石の『坊っちゃん』や『こころ』を読まずに日本を語るな」と言えるわけです。日本人同士の会話でも、漱石の『坊っちゃん』や『こころ』を読んでいないと、「それは読んでいないあなたが悪い」と言える。(p222)
古典というと難解なイメージが強く、つい敬遠してしまうという人もいるでしょう。私もつい、読みやすい本や、エンタメ作品に逃げてしまいがちなのですが、まだ読めていない古典作品は数多くあります。それらを知りたいし、いつか挑戦したいという気持ちはあるのです。そんな私なので、この言葉に痛いところを突かれたような気持ちになりました。
古典について二人はこうも語っています。
基礎知識を身につけるには、古典作品を上手に読みこなすことも重要です。古典を読むコツは、「興味のある分野のニュースと絡める」こと。たとえば少し昔の話ですが、捕鯨問題がニュースになったときは、メルヴェルの「白鯨」を読みました。発言の真意を読み取るには、そういった歴史的、文化的な背景を知っておく必要があると思い、手にとったわけです。(佐藤さん)
自分たちの価値観だけで話していては、何も進展しません。日々入ってくるニュースでよく知らないことがあったとき、その関連分野の古典を押さえておくのはとても大切です。どのジャンルにも必ず押さえておくべき文献があり、そこをしっかりと勉強することで、たんなる情報が、使える知識、教養になります。(池上さん)
(p219-p220)
長く読まれてきたものには、それだけの魅力や強さがあります。また、脳みそが汗をかくほど難解な本と格闘することで、論理的な思考力を身につけることができるという利点もあります。
私は本書を読んで、古典を積極的に読んでいこうと思うようになりました。
なお、作中には二人の「おすすめの古典一覧」や、池上さんが選書した「世界を動かした10冊」など、具体的にどの本を読むべきなのかがたっぷりと書いてあります。
もちろん、古典やビジネス本だけでなく、ミステリーやSF小説などの読み方も書かれていますので、マルチな視点での読書を楽しみたい方に。
ぜひ、本書をガイドブック代わりに活用してみてくださいね。
「知識と教養」を身につけるために
「知識と教養」を手にいれようと思うなら、日々の鍛錬が必要になってきます。情報の海に溺れることなく泳いでいくためにも、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
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