平安時代を描いたおすすめ時代小説・歴史小説
更新日:2019/11/1
平安時代といえば、『源氏物語』『枕草子』を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろんこの2作は代表的な作品ですが、平安時代を舞台にした小説には、まだまだ面白い作品がたくさんあります!
ここでは、平安時代を舞台にした、またはモチーフにしたおすすめの時代小説・歴史小説をご紹介します。
歴史ものの小説が苦手な方にも、きっと読みやすいはずです。
夢枕獏『陰陽師』
『陰陽師』
夢枕獏(著)、文藝春秋
漫画や舞台、ドラマ、映画にもなっている大人気シリーズ『陰陽師』。
平安中期を舞台に、陰陽師の安倍晴明が友人の源博雅とともに、怪異にまつわるトラブルや事件を解決していきます。
とにかく読みやすい。この一言につきます。時代小説って読みにくそう……そう思っている方にこそ読んでほしいです。
宮中の様子、怪異、景色などの描写が非常に美しく、一方で怪しさも感じさせる独特の世界設定が魅力的。晴明と博雅の「呪」をめぐる掛け合いも楽しいんです。
小説でありながら、本当にその時代にいるような気持ちになれる作品ですよ。
冲方丁『はなとゆめ』
『はなとゆめ』
沖方丁(著)、KADOKAWA
清少納言の生涯を描いた『はなとゆめ』。『枕草子』の作者として知られる清少納言の目線で物語が綴られます。
28歳で帝の后である中宮定子に仕えることになり、そこで漢詩の才能を開花させていく清少納言。中宮定子の父である藤原道隆が死んだことによって、政争に巻き込まれていきます。
清少納言という名前だけは知っている方も多いはず。では、そんな彼女の人生について知っている方はどれほどいるでしょうか?
中宮定子を愛し、守ろうとした清少納言のひたむきさに触れられます。
【関連記事】清少納言の生涯とは。冲方丁『はなとゆめ』に迫る
加藤千恵『あかねさす 新古今恋物語』
『あかねさす 新古今恋物語』
加藤千恵(著)、 河出書房新社
加藤千恵さんは歌人であり、小説家でもあります。
本作はそんな加藤さんが、「新古今和歌集」の中から和歌を20首選び、それをもとに執筆した恋愛短編小説をまとめた一冊です。
知識がない状態で詠むには難しい和歌。しかし、和歌をモチーフにした現代の恋愛物語であれば、読みやすく感じられるはずです。恋愛にはは、今も昔も変わらない普遍的な感情があるのだと、改めて感じられますよ。
1つの和歌から物語が広がっていく様子が素晴らしいものがあります。和歌って難しそうだから……と食わず嫌いせず、気軽な気持ちで読んでみてください。
氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』
『なんて素敵にジャパネスク』
氷室冴子(著)、集英社
集英社コバルト文庫から発売された『なんて素敵にジャパネスク』。
当時の読者にとっては懐かしの作品だと思います。多くの少女たちがこの作品に夢中になりました。
平安時代の宮廷が舞台。結婚適齢期を迎えた16歳の瑠璃姫は、両親に結婚するよう迫られます。しかし、結婚なんてしたくない瑠璃姫。
結婚や家族のことに悩む様子は現代の女性と変わらず、共感できる部分がたくさんありました。
時代考証がしっかりしているので、当時のことを知るための入門書としても楽しめます。ハラハラドキドキのラブコメディをお探しの方にもおすすめです。
永井路子『この世をば』
『この世をば』
永井路子(著)、新潮社
平凡で目立たない存在だった藤原道長は、どのようにして上りつめていったのか? そのカリスマ性がよくわかる作品です。
道長の兄は、前述した『はなとゆめ』に登場する道隆の弟にあたります。
もともとのんびり屋だった道長は、姉の詮子に後押しされ左大臣の娘と結婚。その後少しずつ政権への道へと進んでいきます。
道長が自身の娘たちを朝廷に嫁がせ、権力を我が物にしていくさま。運と、抜群の平衡感覚を武器に上り詰めていく様が非常に痛快です。
森谷明子『千年の黙 異本源氏物語』
『千年の黙 異本源氏物語』
森谷明子(著)、東京創元社
第13回 鮎川哲也賞を受賞した千年の黙 異本源氏物語』。
紫式部が探偵として謎解きをしていく物語で、頭のいい彼女の冴えわたる推理に心がときめきます。
藤原道長、中宮彰子、中宮定子など、平安時代おなじみの人物が登場。消えた猫の謎や、あったとされる「輝く日の宮」の謎を、紫式部が解決に導いていきます。
『源氏物語』『枕草子』が好きな方はもちろん、ミステリー好きの方にもおすすめ。平安の物語を軽いタッチで読めるのが嬉しいですね。
絢爛豪華な平安時代を気軽に楽しく
平安時代について楽しめる作品をご紹介しました。
ある程度の知識があればより楽しめますし、あまり知らない初心者の人も気軽に読める現代語の小説ですから、たくさんの人に楽しんでいただけると思います。
時代小説の入門としてもよいので、気軽に読んでみてくださいね。
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