司馬遼太郎のおすすめ歴史小説7選【幕末・明治期限定】
歴史小説といえば、司馬遼太郎さん!
でも、『燃えよ剣』や『坂の上の雲』は誰が主人公!?なんて思ったことはありませんか?
今回は、タイトルからだとわからない司馬遼太郎作品の「この小説は誰が主人公か?」という疑問を解消していきます。
司馬遼太郎という作家
本名は福田貞一さん、「司馬遼太郎」という名はペンネームです。
産経新聞社の記者だった時に、忍者同士の戦闘描写が話題となった『梟の城』で直木賞を受賞しました。
数多くの歴史小説を多く書き上げ、1996年に72年の生涯を終えました。
歴史小説に新風を送ったともいわれる司馬遼太郎作品の魅力は、いまもなお輝かしいものです。
今回は代表作である『燃えよ剣』『坂の上の雲』など、人物に焦点をあてた物語を時代別に紹介していきたいと思います。
幕末を描いたおすすめ小説
幕末と呼ばれる変革期の時代。あらゆる組織が入り乱れた時代を理解するのはちょっと難しいですよね。
司馬遼太郎さんが主人公とするのは長州藩、土佐藩、新選組、江戸幕府の4つ。四者それぞれの幕末を感じることで、この時代を満喫しましょう!
『世に棲む日日』
文藝春秋
主人公は、吉田松陰とその弟子の高杉晋作です。全四巻で構成される物語の前半は吉田松陰、後半は高杉晋作の人生が描かれます。
両者ともに、30歳を迎える前に命を落としていますが、命を燃やすように生きた彼らの意思は長州の志士へと引き継がれ、やがては明治維新を迎えます。
そんな激動の時代を生きた彼らの人生を、彼らを育てた長州藩の気風と共に追いかけてみませんか?
『竜馬がゆく』
文藝春秋
犬猿の仲ともいえるほどの冷え切った間柄だった薩摩藩と長州藩。そんな両藩が同盟を組むなんて……!
明治維新という大きな改革の第一歩、薩長同盟を締結させた男・坂本竜馬。彼は、いったいどんな男だったのでしょうか。
人気ゆえに様々な作品で描かれている坂本竜馬ですが、この男の人物像を決定的にしたのは本作『竜馬がゆく』だと思います。
全八巻と決して短くはありませんが、この男を追いかけているうちにきっとすぐに読み終えてしまうことでしょう。
五人兄弟の末っ子に生まれ、甘えん坊で泣き虫だった竜馬少年。彼はいかにして、幕末のキーマンとなったのでしょうか。
姉・乙女にしごかれた幼少期から謎の多い最期までを追うことで、見える竜馬の姿とは――。
偉業を成し遂げた男の人生、ご覧あれ!
『燃えよ剣』
新潮社
『竜馬がゆく』と並び、司馬遼太郎さんの描く幕末ものの最高峰と呼ばれる本作は、新選組の“鬼の副長”土方歳三が主人公です。
多摩の百姓の子として生まれたバラガキのトシ。喧嘩好きな少年は、いかにして寄せ集め集団を最強の剣客組織へと造り上げ、その名を歴史に刻み込んだのか。
野山を駆けたバラガキ時代、血に濡れつつも華々しい新選組時代、そして最期を迎えた箱館五稜郭。数々の裏切り、仲間の屍を超えた先に彼はその目に何を写したのか――。
今もファンを増やし続ける彼の魅力は美麗な容姿だけではありません!土方歳三という人物を通してみる新選組と、幕末の歴史を堪能してください。
さらに、司馬版新選組を読むならば『新選組血風録』もお手に取ってみてください。
⇒『新選組血風録』(角川文庫)
『最後の将軍』
文藝春秋
徳川十五代将軍、徳川慶喜。
御三家ではあるものの、他の二家にちょっと劣り、将軍も輩出したことのない水戸家。そんな水戸家に七男として生を受けたのが後の十五代将軍慶喜。
将軍職とは縁遠い存在だったはずの彼はいかにして“最後の将軍”となったのか。
物語は徳川三百年の歴史に幕を下ろした場面だけではなく、知られざる幼年期や、将軍職を下りた後の姿も描きます。
なにかと悪いイメージを持たれがちな悲運な将軍・慶喜ですが、その人生を見つめると異なる一面も見えるかもしれません。
明治を描いたおすすめ小説
幕末の動乱を乗り越え、切り開いた時代“明治”――。
幕末の物語を堪能したならば、今度は明治です! 明治という時代はいかにして創られ、熟し、そして終えたのでしょうか。司馬遼太郎作品で追ってみましょう。
『翔ぶが如く』
文藝春秋
全十巻で構成される巨編の主人公は、薩摩藩士であり明治維新の立役者・西郷隆盛と大久保利通の二人。明治政府の立ち上げから、西南戦争を迎えるまでの激動を薩摩藩士である西郷・大久保を軸に追った物語です。
互いを最もよく知る者と認識し合っていた二人は、征韓論をはじめとする諸問題で徐々に溝を深めていきます。
同じ旗のもと闘って来た二人を、刃を向けあう関係に変えてしまったものとはいったい何だったのでしょうか。
彼らと共に薩摩藩士として幕末を生き抜き、大警視となった川路利良、近衛陸軍少将となった桐野利秋。彼ら二人も交えて織りなされる壮大な友情の物語。
いかにして明治という時代は切り開かれたのか、薩摩藩士の目から見てみませんか?
「翔ぶ」という字に「とぶ」という読み方を与えたともいわれる名作、どうぞご堪能ください。
『坂の上の雲』
文藝春秋
この作品で焦点が当たる人物は松山出身の三人。日本騎兵の父と言われる秋山好古、日本海海戦にて参謀を務めた秋山真之ら兄弟と、薄命の歌人正岡子規です。
こちらも全八巻にわたる超大作です。
前半は、秋山兄弟と子規を中心に織りなす青春群像劇。後半は日露戦争を主軸に進んでいきます。
“明治”という時代を、彼らはどんなことを思い、そして願い生きていたのか。
三人のほかにも、子規の友人であった夏目漱石、高浜虚子や、東郷平八郎、乃木希典、伊藤博文、桂太郎、山形有朋、陸奥宗光らといった政治家や軍人の面々も登場します。
近代化という目標に向かって、人々が一生懸命に生きていた時代を見に行ってみませんか?
『殉死』
文藝春秋
明治という時代に、殉死した乃木将軍こと乃木希典。
彼とその妻・静子の「殉死」は、二人の文豪・森鴎外と夏目漱石にとてつもなく大きな衝撃を与えました。
軍神として称えられる乃木将軍とは、いったいどんな人間だったのでしょうか。
『坂の上の雲』と並び、「乃木愚将論」の基盤を整えたともいわれるこの作品。
辛くも勝利を得るも息子を亡くした戦争から、戦後の人生、そして殉死。司馬遼太郎さんによる、乃木将軍の半生と明治の終焉をご覧あれ。
司馬遼太郎作品を読んでみて!
いかがでしたでしょうか。ちょっと長くて強敵かも知れない……ですが、どれもとってもおもしろい作品です。
また、ご紹介しました作品はほとんどが映像化されていますのでこちらも一緒に楽しむことをお勧めします。
歴史が好きな人はもちろん、歴史がちょっと苦手な人もぜひぜひお手に取ってみてください。きっと、すばらしい経験ができるはずです。
【おすすめ記事】戦国時代が舞台のおすすめ小説
歴史小説はもちろん、随筆や対談集など、司馬遼太郎作品をもっと知りたい方はこちらの特集へ!