短編小説の書き方がわかる!超ショートショート講座
更新日:2016/6/3
このコラムを読んでくださっている皆さんは、本好きの人が多いのではないでしょうか。本好きが高じると、自分でも小説を書いてみたいと考える人も多いと思います。といっても、独学で書き始めるにはハードルが高いですよね。
今回ご紹介する本は、そんな本好きの好奇心をくすぐる「たった40分で誰でも必ず小説が書ける」ノウハウを描いたもの。ショートショート作家の田丸雅智さんが、小学生からシニアまで幅広い方々を対象に行っている講座の内容が1冊にまとまっています。
40分という短時間で書ける小説の書き方というところが、他のノウハウ本にはないポイントですよ。
短編小説「ショートショート」と「超ショートショート」
『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』
田丸雅智 (著)、キノブックス
本書で触れられているのは「ショートショート」と「超ショートショート」の2種類です。
一般的に、「ショートショート」とは、特に短い短編小説を指します。
・原稿用紙20枚程度以下
・新鮮なアイデア、完全なすじがき、意外な結末の3つの条件を満たしている
というような小説のことです。
一方、「超ショートショート」とは、「ショートショート」よりさらに短い文字数の短編小説のこと。
・原稿用紙1〜3枚程度
・新鮮なアイデア、完全なすじがき、意外な結末の3つの条件を満たしている
という小説を指します。
今まで一度も小説を書いたことがない人でも、オリジナルの小説が書けるようになるかもしれません!ぜひ、その楽しさを知ってほしいので、鉛筆と消しゴムを片手に読むことをお薦めします。
手を動かすことで、新たな才能に気づくことが出来るかもしれませんよ。
超ショートショートの書き方
本書には、巻末付録に「ワークシート」が付いています。このワークシートが超ショートショート制作時の”肝”となるのですが、今回は「ワークシート」が無くても参考になるポイントをまとめてみました。
まず、つくり方の工程は、事前準備含め以下の5つ。時間通りにワークに取り組むと、40分で超ショートショートが出来上がるというわけです。
◆事前準備1:なんでも思いつく名詞を20個書く(制限時間:3分)
◆事前準備2:名詞から思いつくことを書く(制限時間:4分)
◆ステップ1:不思議な言葉をつくる(制限時間:5分)
◆ステップ2:不思議な言葉から想像を広げていく(制限時間:8分)
◆ステップ3:想像したことを短い物語にまとめる(制限時間:20分)
◆事前準備2の「名詞から思いつくことを書く」。
これは、事前準備1で 書いた名詞からひとつを選び、その言葉から思いつくことを書いていくことです。
たとえば、「太陽」の場合、「ぽかぽかする」「発電に使える」「夕焼け」など。
◆ステップ1の「不思議な言葉」とは、日常生活では決して耳にしないような言葉のことです。
「発電に使えるタコ」や「ぽかぽかする傘」などが例として挙げられています。
なかなか思いつかない場合は、なんでもいいので名詞を複数チョイスして組み合わせてみてください。
「新しいアイデアは、既存の異なる2つのものの組み合わせによって生まれる」。これは田丸式メソッドです。
◆ステップ2の「不思議な言葉から想像を広げていく」で重要なのは、「こうしたほうがいい」「これはしてはならない」という既存概念や制限を捨てて、自分の想像するまま自由に書いていくこと。
本書の中では、いくつかの質問を自身に問いかけるように書かれています。
「それは、どんなモノですか?説明してください」
「それは、どこで、どんなときに、どんな良いことがありますか?」
「それは、どこで、どんなときに、どんな悪いこと、または左で書いたこと以外のどんなことがありますか?」など……。
もしかすると戸惑う人がいるかもしれません。
それでも、「どんなものだろう?」「ああでもないこうでもない」と頭を悩ませ、自分自身に問いかけることが大切です。答えはありません。自分の想像力を試してみるのは案外楽しいものですよ。
◆ステップ3の「想像したことを短い物語にまとめる」は、これまで書いた内容を、都合の良いものだけを取捨選択してまとめることを指します。
これで「超ショートショート」の完成です!
本当にこれで出来るの?と半信半疑のあなた。ぜひ一度試してみてください。意外と一つの作品になっていることに驚くはずです。
超ショートショートをショートショートへ膨らませるためのアドバイス
次に、「超ショートショート」を「ショートショート」へ膨らませるためのやり方を紹介しましょう。
本書でいくつか取り上げられているアドバイスの中から、今回は2つを紹介します。
・設定を考える
「主人公は?」「ほかの登場人物は?」「どこで起こったの?」「いつ起こったの?」というような、物語の前提となる要素のことですが、物語を書きはじめる前にあらかじめこれを決めておくと、物語はおのずと膨らんでいきます。
(p62-63)
・物語の筋を考える
「物語の筋」とは「プロット」と呼ばれるものですが、物語がはじまってから終わるまで、どういう展開をたどっていくのか、だいたいの構成を事前に決めとくのです。そうすることで、物語はずいぶん書きやすくなります。
ちなみに筋の型としては「起承転結」「序破急」などが有名です。(p65)
「超ショートショート」を作り終えた人はぜひ試してみてくださいね。
脳のトレーニングにも役立つ「超ショートショート」を作ってみよう
実は、本書を手にとったとき、私は半信半疑でした。一度も小説を書いたことのない素人が、40分で小説を作るなんて、出来るわけがないと思っていたのです。
ですが、一度試しにやってみると、案外形になっていることに驚きました。人生、なんでもやってみないと分からないものですね。
また「超ショートショート」の制作は、脳のトレーニングにも役立ちます。
ショートショートの創作においては、アイデアを考える発想力と、考えたことをまとめていく論理的思考力の2つの力が同時に問われます。
言い換えると、発想を司る右脳と論理を司る左脳が、ワークをしているあいだフル回転していたというわけで、脳が疲れるのは当たり前です。疲れた分だけ、ふだん使っていなかった脳が活性化したという証ですから、とても良いことですね。(p61)
興味を持った方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。きっとハマってしまうことでしょう。
ちなみに本書では、プロが作るショートショートの作り方や、具体例なども紹介されています。
また、巻末付録に付いている数種類のワークシートは、ノウハウがふんだんにつまっており、まさに完全保存版!合わせて読めばより確実に、本格的なショートショートが作れるようになるはずです。
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ご紹介した書籍
『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』
田丸雅智 (著)、キノブックス