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朝井リョウ「何者」が映画化!就活のリアルを描く「何者」の魅力を徹底解析!


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「桐島、部活やめるってよ」で小説デビューし、次々と人気作品を世に送り出している朝井リョウさん。

2013年、直木賞を受賞した「何者」は、大学生の就職活動を描いた作品です。

この「何者」の実写映画が、2016年10月に公開されます。今回は、一足早く原作本をチェックしてみたい方のために、この作品の魅力をご紹介します。

■『何者』朝井リョウ/著(新潮文庫)

 

アパートの一室に集まり、「就活対策」に明け暮れる主人公たち

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この小説は、御山大学に通う文系の学生の就職活動を描く作品です。

主人公の二宮拓人は、同じ大学に通う友人の神谷光太郎とルームシェアをしています。拓人はある日、光太郎のバンドの引退ライブへ足を運び、そこで田名部瑞月と再会します。瑞月は光太郎のかつての彼女で、拓人はひそかに瑞月に想いを寄せていました。

ある日、ひょんなことから、瑞月の友人である小早川里香が拓人と同じアパートの上階に住んでいることがわかります。里香は、恋人の宮本隆良と同棲をしていました。

就職活動を控えた拓人・光太郎・瑞月たち3人は、里香の家に集まり、一緒にエントリーシートを書いたり、面接対策をしたりするようになっていきます。

 

客観的に他人を観察する拓人

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拓人はかつて演劇をやっており、脚本を書いて舞台に上がっていました。そのため、人間を観察することが得意です。

留学や海外ボランティア活動に打ち込んだことを武器として、大手企業への就職を目指す里香。一方、就活に懐疑的で、団体に所属せずに生きていくのだと豪語する隆良。

2人のことを、拓人はどこか冷めた目で観察します。

宅飲みなのに、きれいな食器しか出てこなかった。そこに暮らしている人数以上の人間がいるのに、どうして割箸や紙皿など、適当なものが出てこないのか。それはあの二人はきっと、互いに格好つけたまま一緒に暮らし始めてしまったからだ。(p.93)

 

「意識高い」系の友人・ギンジとの確執

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拓人は、里香の恋人・隆良と、かつての友人・ギンジを重ね合わせていました。ギンジは拓人と一緒に演劇をやっており、2人は相棒ともいえる仲でした。しかし拓人はその一方で、ギンジがSNSで発信する意識の高い言葉や、「がんばってますアピール」に内心うんざりしてもいたのです。

そしてある日、脚本の内容を巡って対立した2人は、修復不能なまでに仲違いをしてしまったのです。ギンジは拓人とやっていた劇団プラネットを離れ、大学をやめて新しい劇団を始めます。

拓人の目には、ギンジも隆良も、「想像力の足りない人間」であると映っていました。

「就活をしない」と同じ重さの「就活をする」決断を想像できないのはなぜなのだろう。決して、個人として何者かになることを諦めたわけではない。スーツの中身までみんな同じわけではないのだ。

 

俺は、自分で、自分のやりたいことをやる。就職はしない。舞台の上で生きる。

 

ギンジの言葉が、頭の中で蘇る。就活をしないと決めた人特有の、自分だけが自分の道を選んで生きていますという自負。いま目の前にいる隆良の全身にも、そのようなものが漂っている。(p.89)

 

「何者かになりたい」自意識と現実の間で揺れ動く学生たち

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就職活動が進むにつれて、登場人物たちは、「何者かになりたい」という自意識と、そううまくはいかない現実の間で、揺れ動きます。

演劇をやめたはずなのに、演劇を扱う企業を受ける拓人。本は読まないが出版社を志望する光太郎。家庭の事情で「外資系」という最初の志望を諦めざるをえない瑞月。OB訪問を重ねても、なかなか内定のとれない里香。就職活動に興味がないはずなのに、説明会に参加する隆良。

ときどき差し挟まれる彼らのツイッターでのつぶやきは、そんな彼らの「自意識の側面」が全面に押し出されているようでいて、その反面、彼らの不安や戸惑いが反映されているようでもあります。

物語の後半、つねに他人を客観的に眺めていた拓人にも、ついに自分自身と向き合わなくてはならないときがやってきます。残酷な事実をつきつけられるそのシーンは、就職活動中の人や、かつて就職活動をしていた人の心に突き刺さることでしょう。

 

就職活動のリアルと若者の成長を描く

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「何者」は、現代の就職活動のリアルと、その中で悩み、成長していく学生の姿を鮮やかに映し出す青春小説です。ツイッターやフェイスブックなどの現代的なモチーフも登場しますが、その根底には「若者の自意識」と「現実」のぶつかり合いという普遍的なテーマが隠されています。

いま学生の方にも、かつて学生だった方にも、多くの方におすすめできる一冊です。

映画では、主人公の拓人役に佐藤健さん、光太郎役に菅田将暉さん、瑞月役に有村架純さん、理香役に二階堂ふみさん、隆良役に岡田将生さんと、人気俳優が勢ぞろいしています。映画のほうも楽しみですね!

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単行本版はこちら⇒『何者』朝井リョウ

 

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。