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【発展 or 破滅】あなたが想像する近未来とは?近未来が舞台の小説5選


近未来と言われてどのようなイメージを持ちますか?

現代とは明らかに違う時代ではありますが、どこか現代に通じるような要素も感じられる時代と言えるでしょう。現実と空想の狭間のような世界観が魅力的で、数々の小説の舞台にも選ばれています。

今回は、近未来を舞台にしたおすすめの小説を5つピックアップしましたので是非読んでみてください。

 

『希望の国のエクソダス』

希望の国のエクソダス
村山龍(著)、文藝春秋

村上龍氏が2000年に発表した大型長編小説です。

失業率が70%をオーバーし、円の価値が1ドル150円に下落した、近未来の日本。中学生80万人が一斉に不登校をはじめます。中学生たちは「ASUNARO」というネットワークを構築。インターネットを活用しながら巨額資金を手にし、やがては北海道で独自通貨を発行するまでに成長していくのですが……

 

少年犯罪・学級崩壊といった現代の社会問題を背景にしつつ、インターネットを駆使して独自の社会を築こうとする姿に近未来を感じます。

特に中学生が国家を相手取って交渉するまでの過程が非常に興味深いです。

中学生リーダーの、「この国には何でもある。だが、希望だけがない。」というセリフがずっしりと重く感じられます。どこか閉塞感のある現代にも通じる感覚ではないでしょうか。

近未来小説ではありますが、現代社会をどう生きればよいのか、いろいろと考えさせられる作品です。

 

『パプリカ』

パプリカ
筒井康隆(著)、中央公論社

筒井康隆氏のSF小説であり、アニメ映画も非常に好評だった作品です。

精神医学研究所に勤める非常に優秀な研究者の千葉敦子は、他人の夢の中に入る「夢探偵・パプリカ」でもありました。それを可能にしているのが「DCミニ」。人格をコントロールするだけでなく、破壊することも可能な強力な装置です。

このDCミニをめぐる争いがおこり、現実と夢が極限まで交錯したその先には……

 

DCミニは人の見ている夢を外部からモニタリングしたり、録画・再生したりすることも可能な機械です。

精神科の治療にも使われるノーベル賞ものの機械ですが、悪用されて現実と夢が混在しはじめてしまいます。科学の力は使う人次第で善にも悪にもなると言われますが、DCミニもまさにその1つ。

パプリカこと千葉敦子がなんとか世界を混乱から救うために奮闘する物語は、スリリングですがどこかコミカルでもあります。

 

『新世界より』

新世界より
貴志祐介(著)、講談社

貴志祐介氏の、第29回日本SF大賞受賞作品です。

未来の日本を舞台にし、豊かな自然に囲まれた神栖という集落から物語が始まります。外部から穢れが侵入することのないようしめ縄に取り囲まれた集落で、子供たちは念動力(サイコキネシス)の技を磨いていました。

しかしあるきっかけで、先史文明の一端を知り……

 

一見平穏な生活を送っているように見える集落ですが、念動力以外は明らかに現代社会よりも退行しているように見えます。

どのような経緯でこのような集落に変化していったのか、子供たちが集落ではどのような立場に立たされているのか、物語を読み進めていくと次第にわかってきます。

徐々に明らかになる先史文明との関係性には衝撃を受けます。

先史文明が残した端末機械「ミノシロモドキ」が登場するあたりから、目が離せなくなりますよ。

 

『虐殺器官』

虐殺器官
伊藤計劃(著)、早川書房

「ベストSF2007」「ゼロ年代ベストSF」で第1位を獲得した作品であり、伊藤計劃氏のデビュー作です。タイトルで嫌悪感を持つ方がいるかもしれませんが、作品名に反してスプラッターな描写はほとんどありません。

世界中に大きなショックを与えた「9.11」以降、テロとの戦いを描いた作品です。

先進国は強大な武力でテロを一掃したのですが、後進国では内戦や大量虐殺が急増していきます。アメリカ大尉のクラヴィスは、後進国のさまざまな混乱のもとに常に存在すると噂されるジョン・ポールを追うのですが……

 

物語の舞台は現実と地続きのように感じられます。あらゆることがIDで管理・記録される世界で、突然姿を消す人間。その人間が姿を現すのが内戦・虐殺の場所なのです。

なぜこのような世界が構築されているのか、ジョン・ポールを追跡するとともに徐々に明らかになります。

大量殺人を引き起こす「虐殺の器官」とは何か、真の黒幕は誰なのでしょうか。

 

『NO.6』

NO.6
あさのあつこ(著)、講談社

題名は2013年の未来都市のことであり、人類の理想を実現したとされる街です。

「NO.6」で2歳のときからエリートとして育てられてきた紫苑は、ある日「ネズミ」という少年に出会います。理想都市に隠された闇や謎の寄生生物が登場し、エリートだったはずの紫苑の運命は激変。やがて破壊を切望するようになります。

なぜこのようなことになってしまうのか……

 

著者はあさのあつこ氏で、野球少年を描いた『バッテリー』でも有名ですね。

『NO.6』は『バッテリー』とは打って変わって、ハードボイルドな近未来小説です。文庫本で10冊にも及ぶ壮大な物語ですが、徹底的な破壊の後に手にする希望とは何か、ぜひ読み進めてみてください。

 

近未来ものは暗い展開も多いが読み応えアリ

近未来を舞台にした作品は、絶望的な展開になることが多いです。しかし、希望を信じて突き進む主人公たちに思わず感情移入してしまうことも。現代社会の問題を背景にした作品も多く、考えさせられます。

ご紹介した5作品とも、読み応えは十分です!

 

今回紹介した書籍

希望の国のエクソダス
村山龍(著)、文藝春秋

パプリカ
筒井康隆(著)、中央公論社

新世界より
貴志祐介(著)、講談社

虐殺器官
伊藤計劃(著)、早川書房

NO.6
あさのあつこ(著)、講談社