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中川李枝子おすすめ絵本・児童書・エッセイ


更新日:2019/07/31

中川李枝子おすすめ絵本・児童書・エッセイ

不朽の名作とされる、絵本『ぐりとぐら』の作者、中川李枝子さん。

中川さんは、絵本はもちろん、児童書やエッセイ、保護者向けの本を、多数書かれています。

今回のコラムでは、絵本だけでなく、中川さんのさまざまな作品を紹介します。

 

『ぐりとぐら』

ぐりとぐら表紙

ぐりとぐら
福音館書店

<あらすじ>

ふたごの野ねずみ「ぐり」と「ぐら」のシリーズ第1弾。ある日、ぐりとぐらは、森でとっても大きな卵を見つけます。
お料理と食べることが大好きな2匹は、この卵でカステラを作ろう! と決めたものの、卵があまりに大きすぎて運べません。そこで、家からカステラ作りの道具を持ってきて、森でカステラを作り始めます。

 

日本を代表する絵本の1冊、といっても過言ではない「ぐりとぐらシリーズ」。

出版されて50年以上のロングセラーであり、2世代、3世代にわたって読み継がれている作品です。

2匹の作ったカステラが、まあ美味しそうなこと! ふんわりと柔らかく、こうばしく甘い匂いが漂ってくるようですね。

ところで、『ぐりとぐら』の絵は、中川さんの妹の山脇百合子さんが描かれていることはご存じですか? 個人的な話になりますが、私は幼い頃、こんな姉妹関係って素敵だな、と憧れたものでした。

『ぐりとぐら』のやさしいのんびりとした作風が、私は大好きです。久しぶりに手に取ってみると心が癒やされますよ。

 

『いやいやえん』

いやいやえん表紙

いやいやえん
福音館書店

<あらすじ>

ちゅーりっぷ保育園に通う、年少の男の子しげるが主人公の物語。大人の言うことを聞かず、やんちゃできかん坊なしげるに対し、先生は「いやいやえん」という保育園に通うことを勧めます。
ただ、「いやいやえん」は、一風変わった保育園で?

 

幼稚園児~小学生向けの児童文学作品。真っ赤な表紙に見覚えのある方、懐かしい!と思われる方も多いのではないでしょうか?

宮崎駿さんが『いやいやえん』の大ファンであることは、有名な話です。

私も子どもの頃『いやいやえん』が好きでしたが、大人になって改めて読んでみると、ブラックユーモアっぷりに驚いてしまいました。

いやいやえんは、いやなことはしなくていい、という方針の園なので、一見、子どもには魅力的に映るでしょう。だって、わがままを言いたい放題なのですから。ですが、わがままを言った結果、思いもがけない展開になっていくのが面白いポイントです。

子どもにとってはなかなか手厳しい展開なので、「子どものしつけ」という観点では、非常に有効な1冊ではないでしょうか?

 

『そらいろのたね』

そらいろのたね表紙

そらいろのたね
福音館書店

<あらすじ>

きつねが持っていたそらいろのたねと、宝物の飛行機を交換したゆうじ。いえに帰り、そらいろのたねを植えて水をあげていると、そらいろのいえが生えてきました。
そらいろのたねは毎日すくすくと成長し、やがてはりっぱなおしろが出来上がります。

 

中川さんの代表作の1つであり、こちらもロングセラーとして愛されている作品です。

たねからいえが生えてくる、という発想には、ついワクワクしてしまいますね。

なお、さりげなく「ぐりとぐら」が登場する仕掛けがなされているのも面白いポイントです!

他にも「ぐりとぐらシリーズ」に出てくる「森のおおかみ」が登場しています。(ちなみに「森のおおかみ」は、『いやいやえん』の第5話にエピソードが載っています)

読みながら「あっ!」と楽しめる1冊になっています。

 

『本・子ども・絵本』

本・子ども・絵本表紙

本・子ども・絵本
文藝春秋

「生まれてきて良かった」と、子どもに思わせたい。

子育てで大事なことは何でしょう?『ぐりとぐら』の作者が贈る名エッセイ。(帯)

 

いくつかの読み物で、中川さんは「自分の人生で大事な3つといえば、本・子ども・絵本」だと明言されています。本書は、大事な3つ「本・子ども・絵本」にまつわるエッセイを1冊にまとめた作品になります。

中川さんは一貫して「本は子どもに人生への希望と自信を与える」ことを語っています。本書では、中川さんおすすめの絵本や児童書88冊が紹介されており、絵本探しという観点でとても参考になります。

また、『いやいやえん』の裏話なども書かれており、中川さんのファンならぜひとも読んでいただきたい1冊に仕上がっています。

なお、解説は作家の小川洋子さんが書かれており、こちらも興味深いですよ。

 

『子どもはみんな問題児。』

子どもはみんな問題児。

子どもはみんな問題児。
新潮社

子どもらしい子どもは、ひとりひとり個性がはっきりしていて、自分丸出しで堂々と毎日を生きています。

それで大人から見ると、世間の予想をはみ出す問題児かもしれません。

だからこそ、かわいいのです。

子ども同士で集まると「お母さん自慢」をして喜び合い、大好きなお母さんが本当に困った時には、ちゃんと気配を察知する力ももっています。

いずれも私が十七年間保母をして、知った子どもの姿です。(帯)

 

中川さんによる、保護者に対する「45のメッセージ」が収録された作品。

保母の仕事をしていた時のエピソード、自分の子育てエピソードがふんだんに盛り込まれており、クスリと笑えるものも。読んでいると、少しずつ心がほぐれていく気がします。

個人的には、中川さんの本との関わり方が大変ためになりました。

「読み聞かせ」でなく、子どもと一緒に読むこと。
赤ちゃんは赤ちゃん絵本、と決めつけてはいけないこと。
がみがみ言いたい気持ちを本で解消すること。そして、「いいお母さんって、どんなお母さん?」など。
自分にはない視点が多く、なるほど! と唸らされぱなしでした。

 

『ぐりとぐら』以外も読んでみて!

大人になってから、子どもの頃読んでいた本を読んでみると、見方や感じ方が変わっていたり、変わっていなかったり……。

この記事を機に、久しぶりに中川さんの作品を読み返してみると面白いのではないでしょうか?

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ライター:飯田 萌