ゾクゾクした恐怖に引き込まれる! 恩田陸のおすすめホラー小説5選
更新日:2019/7/3
恩田陸さんといえば、SFやミステリーなど、さまざまなジャンルの作品を執筆している小説家です。
ホラー作品も数多く発表しており、ミステリーやファンタジー、ときには爽やかな青春群像劇といった要素がうまく融合されているのが魅力。得体の知れない恐怖や人間の怖さを繊細な描写で表現しています。
ここでは、そんな恩田さんのゾクゾクとした恐怖にどんどん引き込まれるホラー小説の中から、おすすめの作品を紹介します。
言わずと知れた人気学園ホラー
『六番目の小夜子』
『六番目の小夜子』
新潮社
~あらすじ~
3年に1度、サヨコが生徒から選ばれる。
ある高校に代々言い伝えられてきた「小夜子伝説」。その「六番目のサヨコ」が選ばれる年に、津村沙世子が転校してきた。
過去にドラマ化もされた、恩田さんのデビュー作。沙世子を含む4人の生徒を中心に物語は進んでいきます。
高校生の日常に覆いかぶさる不穏な空気、妬み、疑い、そして恐怖。非常にミステリアスなホラー作品ですが、爽やかで甘酸っぱい青春小説でもあり、その不思議な世界に惹き込まれました。
恩田さんの作品を読むうえで、絶対におさえておきたい1冊だといえるでしょう。
学校に伝わる伝説の設定が巧みで、深まる謎に読む手が止まらなくなります。はたして転入生の沙世子は、六番目のサヨコなのでしょうか?
田舎町で流れる奇妙な噂話
『球形の季節』
『球形の季節』
新潮社
~あらすじ~
どこにでもある平凡な田舎町に、奇妙な噂が流れる。町にある4つの高校から集まった「地歴研」のメンバーたちは、その噂話の出どころを調査することに。
ところが噂で予告された通り、1人の女生徒が失踪してしまう。
こちらも『六番目の小夜子』と同じ学園ものホラー。田舎町の退屈な日常が、とある噂をきっかけに徐々に変貌していきます。
高校生たちの思春期独特の心の機微がうまく描かれており、恩田ワールド全快! ホラー作品ではありますが、ファンタジーの要素も強めの作品です。
もしかしたらこんな世界が現実にあるかもしれない……。恩田さんの文章力、表現力を感じられる1冊ですよ。
とある幽霊屋敷にまつわる恐怖の物語
『私の家では何も起こらない』
『私の家では何も起こらない』
KADOKAWA
物語の舞台は、小さな丘の上にある古い一軒家。本作は、その屋敷で起こるさまざまな物語を収録した連作集です。
屋敷に住む女性作家と、そこを幽霊屋敷だと言い張る男の話。
キッチンで殺し合った姉妹の話。
動かなくなった少女の傍らで自殺した、殺人鬼の美少年の話。
などなど、さまざまな恐ろしい話を楽しめます。恩田さんのホラーに対する引出しの多さに驚かされますよ。
1つ1つの物語は短いながらも、十分すぎるほど怖いです。自分も屋敷の中にいるような、そんな感覚を味わってみてくださいね。
人気作の番外編も収録された短編集
『図書室の海』
『図書室の海』
新潮社
恩田さんが書いた10作の短編が収録された『図書室の海』。ホラー、そしてミステリアスな雰囲気のある作品が一堂に会しています。
表題作の「図書室の海」は書き下ろしで、『六番目の小夜子』の番外編。「サヨコ伝説」の使命を託された、関根夏を主人公とした物語です。
そのほか恩田さんの代表作『夜のピクニック』の前日譚、「ピクニックの準備」などが収録されています。
背筋がゾッとするような作品や、不思議な雰囲気のある作品など、短い時間にサクサク読み進められますよ。
美しく恐ろしい、幻想ホラー大作
『禁じられた楽園』
『禁じられた楽園』
徳間書店
~あらすじ~
美術家の烏山響一に招待され、山の奥深くにある美術館を訪れた平口。そこにはどこか不気味な作品が並んでおり……。
美術館にやってきた男女が、美しくも驚異の恐ろしさに対面する物語。恩田さんの書くホラー小説の中で、最も恐怖を感じられると思います。
作品を通してずっと不穏な空気が満ちており、読み進めるうちに不安が高まっていきます。じわじわと恐怖心をあおる表現は、さすがとしか言えません。
怖いだけのホラーとは違う、恩田さんらしい幻想的な物語を味わえますよ。
ホラー、だけど爽やかな恩田作品
恩田さんのホラー作品は、よくあるグロテスクさを前面に押し出したホラーとは違います。爽やかさや幻想的な表現が絶妙なバランスで盛り込まれており、それが読者を惹きつけるのです。
スプラッタ系やエログロ系のホラーが苦手な方でも楽しめると思うので、ぜひ読んでみてくださいね。
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