アイスにまつわる物語|暑い日に読みたいおすすめ小説
更新日:2019/5/6
暑い日に読む小説をお探しなら、アイスクリームにまつわる小説なんていかがでしょうか?
物語の中だとしても、アイスクリームが登場するとなんだかスッと涼しい気分になります。
ここでは、アイスクリームが重要な役割を果たしている作品をご紹介します。ぜひアイスクリームを片手に読書を愉しんでみてはいかがでしょうか?
『夢で会いましょう』収録
村上春樹「ブルーベリー・アイスクリーム」
『夢で会いましょう』収録
「ブルーベリー・アイスクリーム」
村上春樹、糸井重里(著)、講談社
「ブルーベリー・アイスクリームが食べたい」と、夜中の2時に突然言い出した彼女。
僕はそのリクエストに答えるために、タクシーに乗ってブルーベリー・アイスクリームを探しに出かける……。
糸井重里さんとのショートショート集『夢で会いましょう』に収録されている作品。
村上さんの独特な言い回しが冴え渡るロマンティックな作品で、初めてこの作品を読んだときは、こんな優しい男性に巡り会いたいなと思ったものです。
果たして、夜中の2時にブルーベリー・アイスクリームは見つかったのでしょうか? スウィートな気持ちにさせてくれる作品ですよ。
『愛の夢とか』収録
川上未映子「アイスクリーム熱」
『愛の夢とか』収録
「アイスクリーム熱」
川上未映子(著)、講談社
アイスクリーム屋で働くわたしと、2日おきにアイスクリームを買いにくる彼。
毎回イタリアンミルクとペパーミントスプラッシュをカップで注文する彼に、ある日わたしは言います。
「アイスクリーム、わたし得意なんだよ。何でもつくれるよ。冷凍庫さえあったら。もしよかったら大量につくってあげるよ」と。
そして物語は、意外な展開を迎える……。
谷崎潤一郎賞を受賞した『愛の夢とか』に収録されている作品。
なにげない日常に潜む、ささやかな愛。静謐な空気感の作品を読みたいときにおすすめの1編です。
乙一『夏と花火と私の死体』
『夏と花火と私の死体』
乙一(著)、集英社
うだるように暑いひと夏の物語。
高校を卒業してアイスクリーム工場で働きはじめた緑さん。休日になると、工場のアイスクリームを持って遊びにきます。
山積みのバニラアイス。まるでレストランのチョコパフェのような、透明な背の高いカップに入っているアイス。冷たくて舌が変になるまでみんなでアイスを食べます。そんな平和な描写に反して、おそろしい出来事が起きる……。
乙一さんのデビュー作でもある本書。当時、乙一さんは16歳。信じられない完成度に、初めて読んだときは驚愕したものです。
淡々と進むストーリーに目を疑い、結末には……間違いなく背筋が凍ることでしょう。
加藤千恵『ハッピー☆アイスクリーム』
『ハッピー☆アイスクリーム』
加藤千恵(著)、集英社ほか
歌人・加藤千恵さんが、17歳の頃に出版したデビュー作。
タイトルの「ハッピー☆アイスクリーム」という言葉を聞くと、懐かしみを覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
会話をしている相手と、偶然同じ言葉を発してしまったら「ハッピーアイスクリーム!」と言い合う……。早く言えた方が勝ち、勝ったらアイスをご馳走してもらえる、など地域によって色んなルールがあるようですが、そんな遊びが以前流行ったのです。
そんなタイトル通り、何十年も思い出すことのなかった記憶を蘇らせてくれる本がこの作品。思春期の頃に抱いていたさまざまな感情が懐かしく、読めば感傷に浸ること間違いなしの作品です。
アイス片手に読んでみては?
5月9日が「アイスクリームの日」なのをご存知ですか?
日本アイスクリーム協会が1965年に設定した記念日で、日本全国でアイスクリームに関連するイベントが実施されたり、アイスクリームがリーズナブルに買えたりと、アイス好きにはたまらなく幸せな1日です!
また7月2日は「ソフトクリームの日」。アイスに関連する記念日もたくさんあるんですよ。
今回ご紹介した作品は、アイスクリームを片手に味わいたいものばかり。ぜひアイスのお供にお愉しみくださいね。
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