海外ホラー小説おすすめ10選|この恐怖、絶叫せずにはいられない!
更新日:2019/4/24
じめじめ、ずっしりとした日本のホラーも良いですが、たまには海外ホラーもいかがでしょうか。
日本のホラーとは違った真新しさと斬新さ、あるいは共通点が見つかるかもしれません。
おすすめ海外ホラー小説10作品を紹介します。
怪しさ感じる古典もの
『黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集Ⅰゴシック編』
『黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集Ⅰゴシック編』
エドガー・アラン・ポー(著)、巽孝之(訳)
新潮社
幻想的で怪しいゴシック・ホラーの原点を楽しみたいならこれ!
ゴシックが誕生したといわれる1800年代の作家、エドガー・アラン・ポーの6つのゴシック短編ホラーが収録されています。
本来動物好きだった語り手が、お酒に翻弄されとうとう動物を虐待し、手にかけてしまったことから少しずつ狂っていく『黒猫』。
体じゅうから血を噴き出して死に絶えていく赤死病といわれる伝染病が蔓延した世界をベースにした『赤き死の仮面』など、どれも独特な味がある作品ばかり。
短編集なので、どの物語もサクッと読み進められるのが良いですね。
映画にもなった古典ホラー
『ローズマリーの赤ちゃん』
『ローズマリーの赤ちゃん』
アイラ・レヴィン(著)、高橋泰邦(訳)
早川書房
俳優の夫・ガイとともに新居に引っ越してきたローズマリー。新生活は夢のようなものだった。
しかし、新居周辺で不審な死が続いていることを友人から聞いてしまい、新居の喜びもつかの間、ローズマリーの心は不安に傾いていく……。
ある噂。ローズマリーの妊娠。妊婦になったローズマリーの周辺で起こる数々の不審なできごと。はたしてローズマリーの運命は……?
悪魔崇拝も絡んだゴシック的な雰囲気と、人間の心情を描いた古典的なホラーに引き込まれます。主人公視点の繊細な描写にも注目です。
100年も前から愛されるホラー
『ジキル博士とハイド氏』
『ジキル博士とハイド氏』
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(著)
東京創元社ほか
ぶつかった少女を平気で踏みつける小柄で醜悪な男・ハイド。彼は少女の家族に慰謝料を請求され、その肩代わりをしたのは大柄な紳士、ヘンリー・ジキル博士だった。
友であり顧客でもあるヘンリー・ジキル博士とハイドの関係に不信感を抱いた弁護士・アターソンはふたりを探すが……。
19世紀のイギリスが舞台のロバート・ルイス・スティーヴンソンの代表作。
1880年代に出版されており、ゴシック・ホラーはもちろん、二重人格という現代にも通じるような内容をテーマにした作品です。
古い作品ながらも、なんとなく現代のホラーに通じるような雰囲気を読み進めるほどに感じられます。
心にずっしりくるような人間的なホラーが好きな人ならぜひ読んでほしい作品です。
2018年にドラマにもなった
『丘の屋敷』
『丘の屋敷』
シャーリイ・ジャクスン(著)、渡辺庸子(訳)
東京創元社
心霊学研究者のモンタギュー博士。「丘の屋敷」で起こる不思議な現象を調査するため、エレーナ、セオドラ、そして屋敷の持ち主であるルークを呼び集めたのだが……。
みなさんは、ホラー小説の舞台といえば何を思い浮かべますか?
やはりホラーといえば「お屋敷」をイメージする人が多いのではないでしょうか。
『丘の屋敷』は、そんなお屋敷を舞台にしたホラーの真髄ともいえるような作品です。
血に濡れた床に、壁に描かれたSOSのメッセージ、どれも「これぞホラー」といえる描写が並びます。幽霊屋敷といわれる場所で調査をする協力者3人は、いったいそこで何を目にすることになるのか……? 読み進めるほどに展開が気になります。
ホラー独特の胸の高鳴りを楽しみたい人にぴったりですよ。
無垢さと悪意が満ちたホラー
『ずっとお城で暮らしてる』
『ずっとお城で暮らしてる』
シャーリイ・ジャクスン(著)、市田泉(訳)
東京創元社ほか
家族が殺されたお屋敷で、18歳のメアリは姉のコニーと障がいをもつ叔父と3人で暮らしている。しかしそこに従兄が訪れてきて……。
一見すると、童話のようにも見える和やかなタイトル。
しかし、ある作家がこの作品を「本の形をした怪物」と表現したように、徐々に物語から牙があらわになっていきます。
従兄の訪問によって崩れていくメアリたちの関係。魔女といわれたアメリカの作家が描いた閉鎖的な恐怖。
みなさんは迫りくる恐怖に負けず、最後まで本を読み終えることができるでしょうか?
憎悪がつくりだしたもの
『黒衣の女─ある亡霊の物語』
『黒衣の女─ある亡霊の物語』
スーザン・ヒル(著)、河野一郎(訳)
早川書房
亡くなった老婦人の遺産整理を引き受け、あるお屋敷で仕事をすることになった弁護士に忍び寄る影。それは、館を覆う霧とともに現れた。
イギリスの正統派でもある、安定のゴーストもののホラー。
映画にもなった本作は、読者によるイメージと綴られた恐怖の描写が混ざり合い、映画とは違った怖さを感じられます。
ゴーストの正体にも迫った丁寧な描写、じっとりとした重ための雰囲気、イギリスが舞台のゴシック・ホラーも特徴です。
ブラックユーモア感じる
『神を見た犬』
『神を見た犬』
ディーノ・ブッツァーティ(著)、関口英子(訳)
光文社
タイトルにもなっている、謎の犬との恐怖の物語「神を見た犬」。創造神の賭けによって生まれた、知識を有した生物誕生の物語「天地創造」。
イタリアの奇想作家・ブッツァーティの恐怖をひしひしと感じられる、全22の話が収録されています。
本書の特徴といえるのが、幻想的な雰囲気とブラックユーモアを感じる作風です。
ホラーでありながらどこか人間臭さが漂い、ただ「恐怖」という言葉だけでは片づけられません。
怖さを感じる作品をたくさん読みたいときは、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
悪魔崇拝ものホラー
『悪魔のワルツ』
『悪魔のワルツ』
フレッド・M・スチュワート(著)、篠原慎(訳)
角川書店
かつてピアニストを夢見ていたジャーナリストのマイルズと妻のポーラは、世界的なピアニストのダンカンと、その娘のロクサーヌに出会う。
ダンカンは、マイルズの手が「ラフマニノフの手」であると執着し始め……。
悪魔崇拝主義者たちの戦いを描く恐怖の物語『悪魔のワルツ』。
ダンカンが悪魔に魂を売ってマイルズの身体を乗っ取る比較的ベターな設定ですが、物語のオチが最後まで読めない面白さがあります。
思いがけない展開と、アクションのようなストーリーは必見です。
狂気の長編ホラー
『アメリカン・サイコ』
『アメリカン・サイコ』
ブレット・イーストン・エリス著)、小川高義(訳)
角川書店
1980年代、ニューヨーク州のウォール街が舞台。名門ハーバード大学で大学院課程を修了し、今や投資会社の副社長として働くパトリックは、表面的にはエリートなのだが……。
パトリックやエリートな人間たちのあまりに感情のない上辺だけの関係。そして繰り広げられる悲惨な殺人の数々に思わず震えてしまいそうになるでしょう。
霊的なホラーではありませんが、人の気持ちをこれでもかとえぐる描写や表現、そしてストーリー展開には目が離せません。
上下巻に渡るボリュームのある作品で、じっくりとを物語をかみしめたい人にもぴったりです。グロテスクな表現が苦手な方はご注意を。
恐怖の帝王の初期作
『呪われた町』
『呪われた町』
スティーヴン・キング(著)、永井淳(訳)
集英社
主人公は小説家ベン・ミアーズ。生まれ育ったアメリカの田舎町セイラムズ・ロットを訪れると、そこで起こる不可解な事件の数々。いったい町で何が起きているのか……?
『IT』『スタンド・バイ・ミー』など、有名作を多数輩出してきた著者の初期作。
見えぬ吸血鬼に恐怖する、ホラーではよくある設定ながら、緻密な状況設定と著者の巧みな描写にどんどん引き込まれていきます。
田舎町の日常を淡々と書いていきながら、だんだんと恐怖をあおる展開へ。物語が進んでいくほどにジワジワとした恐ろしさにハマっていき、中盤からのスピード感がたまらない作品です。
登場人物が多いので、メモをしながら読んでもいいかもしれません。
海外ホラー小説で恐怖を疑似体験
海外作家のホラーは、ゴシック調のものや狂気的で精神的にえぐられる作品など、日本のホラーとはまた違う雰囲気があります。
読みやすい短編から、読みごたえを重視する人におすすめの長編まで、海外ホラー小説で恐怖の疑似体験をしてみませんか?
日本のホラー小説が読みたくなったら……