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実写化してほしいほど面白い本5選


更新日:2022/9/20

実写化してほしい ほど面白い本5選

ひと昔前から、小説やコミックの実写化が増え、今や「小説・コミックの人気作=実写化」という構図が定着しています。

今回の記事では、私が密かに「実写化されていないのがおかしい!」と思っている小説5作品を紹介します。

 

山本文緒『きっと君は泣く』

書籍『きっと君は泣く』表紙

きっと君は泣く
山本文緒(著)、角川書店ほか

いわゆる「ドロドロ」の作品が多い山本文緒さんの著書の中でも、個人的に「ドロドロ」度が高いと感じる1冊。

自分の容姿は才能だと思っている主人公・椿。「刃物の美しさ」を持つ祖母に憧れているため、年をとるのが恐くないと思いつつも、若さがなくなっていくことに不安を覚えています。
(「どうして男ってブスでも若いほうがいいわけ?」という言葉など、椿の赤裸々な発言には思わず笑ってしまうのではないでしょうか?)

この作品、椿を含む、周囲のキャラクターがとにかく強烈です。美男美女だけでなく、大魔神のような女性も出てきます。(実写化するにあたってキャストの選定が難しそうです)

しかし、ありがちな「美人だけど性格ブスVSブスだけど性格美人」の構図ではありません。
登場人物全員が、嘘に嘘に嘘を重ね、物語は想像がつかない方向へと進みます。そして、度肝を抜かれるような怒涛の展開に……。

昼ドラのようなドラマティック性を兼ね備えながら、不思議と読後感が良く、爽快な気持ちになれる。私がこの作品を初めて読んだのは十数年前ですが、今でも特に印象に残っている1冊です。

 

村上春樹『アフターダーク』

書籍『アフターダーク』表紙

アフターダーク
村上春樹(著)、講談社

ハルキスト(村上春樹のファン)からは「村上作品らしからぬ1冊」と評されることの多いこの作品。本書では、都会のある1日の、深夜0時から朝7時までが描かれています。

この作品の面白さは、視点が「架空のカメラ」「目に見えない無名の侵入者」であること。

「カメラ」なので、本の中に書かれているのは事実のみ。誰かの立場に寄り添うことがなく、無機質。まるで映画を見ているような小説ですが、この独特な世界設定を実写化したらどう仕上がるのか非常に興味があります。

「カメラ」は、「街」と「寝室」を交互に映します。淡々と紡がれる風景の中に、次々と現れるアクシデント。誰かにとっては非日常、誰かにとっては何気ない1日。そんな当たり前のことを改めて感じます。

新しい時間と古い時間がせめぎ合い、入り混じる時間帯。文章から感じられる、そこはかとない気怠さが癖になる1冊です。

 

乾くるみ『スリープ』

書籍『スリープ』表紙

スリープ
乾くるみ(著)、角川春樹事務所

イヤミス作家として名を馳せる乾くるみさんによる、近未来を描いたSF×ミステリー。

肉体を生きたまま冷凍保存できる、冷眠睡眠装置「タイム・ストッパー・カプセル」。その技術を取材していた中学生の亜里沙は、その装置に閉じ込められてしまいます。そして、目を覚ました時には、30年の月日が経っていて……?

本書は、さまざまな視点で問題提起を投げかける社会性と、展開の目まぐるしさが印象的な1冊に仕上がっています。

個人的には、乾さんが描く30年後の「日本未来予想図」が面白く、実写化された映像を見たいなと思いました。テレビの有料制度、服を着たままお風呂に入る、5000円札が豊臣秀吉になるなど……。「30年後の日本にはどんな技術が生まれているだろう?」とワクワクしながら議論するのも楽しいですね。

 

森博嗣『少し変わった子あります』

書籍『少し変わった子あります』表紙

少し変わった子あります
森博嗣(著)、文藝春秋

理系ミステリィの第一人者、森博嗣さんの連作短編集。

舞台となるのは、店という実体がなく方々を転々と移っている「変わった店」。

その店には、女性が食事に付き合ってくれるというメニューがあります。料金は2人分。
ただ、食事に付き合ってくれるといっても女性は何か特別なサービスをしてくれるわけではなく、黙々と食べ続けるだけで女性は何も喋りません。それでも来た客は満足し、リピーターになります。その理由とは……?

これまで味わったことのないような、奇怪な作品です。実写化されたなら「世にも奇妙な物語」のようなイメージでしょうか。

非現実的で、この独特な世界だからこそ、どのように実写化されるのか想像がつかない。だからこそ見てみたいと思います。

 

我孫子武丸『殺戮にいたる病』

書籍『殺戮にいたる病』表紙

殺戮にいたる病
我孫子武丸(著)、講談社

最後にご紹介するのは、日本最高峰のサイコ・ホラーとして知る人ぞ知る怪作です。

東京で次々と起こる猟奇的殺人。物語は、犯人視点、母視点、刑事視点で進んでいきます。

ミステリー好きには大変有名な作品で、トリックの性質上「実写化はまず不可能」と言われているからこそ、ますます実写化してほしくなります。

本書のスゴさは、そのトリック。グロテスクな描写も多いので、苦手な方は気を付けてくださいね。衝撃的な結末には背筋がすっと凍るはずです。

※2022年5月に阿部サダヲさん主演で実写化されました

 

あなたが 実写化してほしい 作品はどれですか?

気になった作品はありましたか?

どの作品も読み物として、とても面白く、映像になった時にどう色が付くのか想像するだけでもワクワクします。
この中から、実際に実写化される作品がでてくる日はくるのでしょうか。

作品に興味のある方はぜひ手に取ってみてくださいね。

 

今回紹介した書籍

きっと君は泣く
山本文緒(著)、角川書店ほか

アフターダーク
村上春樹(著)、講談社

スリープ
乾くるみ(著)、角川春樹事務所

少し変わった子あります
森博嗣(著)、文藝春秋

殺戮にいたる病
我孫子武丸(著)、講談社

 

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