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面白くて美味しい食堂小説|読めばお腹が空いてくる!


更新日:2019/1/3

面白くて美味しい食堂小説

食堂を舞台にした小説は、温かなストーリーはもちろん、作中に登場する美味しそうな料理に身も心も満たされます。

ここでは、食堂の雰囲気が好きな人や、食に興味がある人におすすめしたい「食堂を舞台にした小説」をご紹介します。

 

京都の食堂を舞台に思い出の味を探す
『鴨川食堂』

『鴨川食堂』表紙

鴨川食堂
柏井壽(著)、小学館

『鴨川食堂』は、もう一度会いたい思い出の味を再現してくれる食堂が舞台の物語です。

食堂には看板が出ておらず、店にたどり着くためのヒントは料理雑誌の一行広告だけ。
登場する料理は、亡くなった母が作った肉じゃが、夫が妻のために揚げていたとんかつなど、多くの人が親近感を抱くことができるメニューです。

料理に秘められた思い出を身近に感じながら読み進めることができますよ。
一話完結となっており、読みやすいことも特徴です。読後はきっと、温かく優しい気持ちになることでしょう。

 

滋賀の郷土料理にほっこり
『東京近江寮食堂』

『東京近江寮食堂』表紙

東京近江寮食堂
渡辺淳子(著)、光文社

蒸発した夫を探すために上京した妙子が、あるトラブルをきっかけに出身地である滋賀県民が集まる寮の食堂で働き始める、というストーリー。
妙子の作る料理が周囲の人々を動かし、運命を大きく変えていく様子が描かれます。

登場する料理に派手さはありませんが、滋賀の郷土料理の数々は「食事をすることの大切さ」が伝わってくるような滋味深いものばかりです。

読後は満たされた気持ちになり、普段はなかなか気付くことができない身近な幸福に目を向けたくなることでしょう。

 

料理を再現したくなる!
『食堂のおばちゃん』

『食堂のおばちゃん』表紙

食堂のおばちゃん
山口恵以子(著)、角川春樹事務所

『食堂のおばちゃん』は、東京の下町にある姑と嫁が切り盛りする「はじめ食堂」に足を運ぶ人々の人間模様が描かれた作品です。

ほのぼのとした雰囲気の中にも、登場人物たちの人生観が垣間見えるセリフが程よいスパイスとなっており、飽きずに読み進めることができます。

巻末にはレシピがついているため、作中の料理を再現することができます! 食いしん坊な人だけでなく、料理好きな人に特におすすめな作品ですよ。

 

美味しい料理とさまざまな恋愛模様が交錯
『婚活食堂』

『婚活食堂』表紙

婚活食堂
山口恵以子(著)、PHP研究所

食堂の女将と、結婚願望を抱く常連客のやりとりが楽しい作品。

めぐみ食堂を訪れるのは、年の差カップル・国際結婚・バツイチといった、今一歩結婚に踏み切れない恋の悩みを持つ人々。
そんなお客さんたちに、元占い師の経歴を持つ女将がアドバイスを贈り……という展開になっています。

おでんや牡蠣のカレー煮など、お酒のあてになりそうなメニューが多く登場。料理が好きな人だけでなく、恋に悩む人におすすめです。

 

1日1組限定の食堂で紡がれる物語
『食堂かたつむり』

『食堂かたつむり』表紙

食堂かたつむり
小川糸(著)、ポプラ社

同棲していた恋人に財産全てを持ち逃げされ、さらに声も失った倫子が故郷へ戻り、1日1組限定で食堂を開くストーリー。
お客さんのことを考えて食材を厳選し、心を込めてひとつずつ手作りしていく過程に注目です。

「食材=命と向き合う」という描写に、残酷さを感じることがあるかもしれません。しかしそれと同時に、食事の大切さやありがたみを感じることができるでしょう。

 

日常の中にささやかな幸せを
『パンとスープとネコ日和』

『パンとスープとネコ日和』表紙

パンとスープとネコ日和
群ようこ(著)、角川春樹事務所

会社を辞めたことをきっかけに、かつて母が営んでいた食堂を改装してオープンさせたアキコの物語。

食堂で提供されるメニューは、サンドウィッチ・サラダ・スープ・フルーツのみ。ですが、信頼できる材料のみを使って、手間暇をかけて作っているのです。

アキコの自然体でありながらブレない生き方に感銘を受ける人は多いのではないでしょうか。何の変哲もない日常の中に、幸せを見出すことの大切さを感じることができるでしょう。

 

フィンランドへ旅行したくなる!
『かもめ食堂』

『かもめ食堂』表紙

かもめ食堂
群ようこ(著)、幻冬舎

フィンランドのヘルシンキで食堂を経営するサチエと、そんな食堂に集まる人々の交流が描かれた作品です。映画を観て知っている方もいるかもしれません。

近所の人に避けられお客が集まらないサチエの食堂に、行き場を無くした2人の日本人女性が集まりますが……?

読みながらまったりとフィンランドの空気を感じられます。ほのぼのとしたストーリーが好きな人や癒しを求めている人はぜひ。

 

懐かしさを感じる大人のためのメルヘンストーリー
『つむじ風食堂の夜』

『つむじ風食堂の夜』表紙

つむじ風食堂の夜
吉田篤弘(著)、筑摩書房

つむじ風食堂の店主と、月舟町という小さな町の人たちとの交流を描いた小説です。

ほのぼのとしたテイストながら、哲学的なエッセンスが含まれているのが特徴。派手な設定はありませんが、まるでおとぎ話を読んでいるような気分になり、心がホッとなるでしょう。

同作者の『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』も、月舟町が舞台の作品です。本作が気に入った人は、ぜひあわせて読んでみてくださいね。

 

臨死体験でしか行くことができない食堂とは?
『食堂つばめ』

『食堂つばめ』表紙

食堂つばめ
矢崎存美(著)、角川春樹事務所

なぜか食堂車でノエという少女に導かれ、玉子サンドを食べるという臨死体験を経験した秀春。ノエに、死にゆく人たちがさまよう街で食堂を開くよう勧めますが……。

生と死のはざまの世界にある不思議な食堂を訪れるお客さんは、死ぬ前に思い出の味を食べたいと感じている人々。彼らを食べ物で救うことはできるのでしょうか?

「死」を扱う作品ですが、暗すぎない内容です。食べ物の描写も素晴らしく、きっとすぐにでも食べたくなってしまうことでしょう。

 

秘密と引き換えに食事を提供する食堂
『路地裏のほたる食堂』

『路地裏のほたる食堂』表紙

路地裏のほたる食堂
大沼紀子(著)、講談社

自分が抱えている秘密を打ち明けることを条件に、子供に無料で料理を提供するほたる食堂。
タイトルに「食堂」とありますが、不思議な事件に巻き込まれる人々の様子が描かれており、ミステリアスな作品に仕上がっています。

本作は、『真夜中のパン屋さん』で知られる大沼紀子さんの作品です
ハラハラする展開や、ちょっぴり涙する場面も……。子供たちの抱える秘密とは、どんなものなのでしょうか。

 

美味しい料理と、素敵な物語を……

食堂が舞台となっている小説の魅力は、料理だけではありません。食堂を訪れた人の人間模様や、人生も楽しむことができるのです。

気になる作品を見つけたら、ぜひ読んでみてください。お気に入りの食堂に何度も訪れたくなるのと同じように、きっと何度も読み返したくなることでしょう。

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