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ディストピア小説おすすめ10選|恐ろしすぎる世界に絶望する。


ユートピア(理想的な社会)の反対のことを、「ディストピア」と言います。
ディストピア小説には、徹底的に管理や統制が敷かれ自由が無い世界や、人間の暴力性がむきだしの世界、指導者が国民を洗脳し、反抗する人間は徹底排除される世界などが描かれています。

ひょっとしたら近い未来で起こり得ることかもしれませんし、実は世界のどこかで起こっているかも……?
思わずそう考えさせられてしまう、ディストピア小説を10作品紹介します。

 

村田沙耶香『消滅世界』

消滅世界
村田沙耶香(著)、河出書房新社

夫婦間の性行為は「近親相姦」と考えられ禁止事項となり、世界から「セックス」や「家族」という存在が消滅していく。
子供は人工授精によって生まれ、男性も人工子宮をつけて出産をする。
フィクションであるキャラクターとの恋愛が推奨される世界がそこにはあった……。

 

本作は、現代人の感覚からすれば「ありえない」と思うような内容かもしれません。

しかし、男性も女性も1人で生きられる時代となり、あえて「結婚をしない」という選択をする人も多くいます。
人の価値観は常に移り変わっていくからこそ、こんな世界も起こり得るのでは……。
と、一度読めば考えてしまうことでしょう。

 

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』

すばらしい新世界
オルダス・ハクスリー(著)、講談社

26世紀のロンドンが舞台となっており、そこに広がるのは安定した社会。
胎児は工場で生産し、フリーセックスが奨励される。多幸感が得られる快楽薬が支給され、誰も人生に不満を持たない世界……。

同作品には、「お母さん」「お父さん」という概念が無く、「セックス」はただ楽しむだけのものとされています。

 

一見するとそれは理想郷のようですが、その社会に疑問を持つ人々の姿も描かれているのが特徴です。
80年以上前に発表された作品とは思えない内容ですよ。読み応え十分です!

 

ジョージ・オーウェル『一九八四年』

一九八四年
ジョージ・オーウェル(著)、高橋和久(訳)、早川書房

独裁者「ビッグ・ブラザー」によって支配されている全体主義国家「オセアニア」が舞台。
国民の言動は全て監視され、思想や結婚なども統制されている。主人公のウィンストンはそんな体制に異常を感じ、不信感を抱いているが……。

 

フィクションなのですが、「実はノンフィクションなのでは?」と疑ってしまいたくなるほどリアルな内容。暗い物語が淡々と進んでいくことに不気味さを感じます。
ラストには衝撃の展開も。

 

アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』

時計じかけのオレンジ
アントニイ・バージェス(著)、早川書房ほか

全てを徹底的に管理された社会の中で、15歳のアレックスは仲間とともに欲望の限り暴力などを繰り返していた。
しかしあるとき、アレックスは仲間に裏切られ、一人警察に捕まってしまい……。

 

近未来のロンドンが舞台となっており、主人公は15歳の少年をリーダーとする4人組。1971年には映画も公開されています。
なにが善なのか、なにが悪なのか。そして、なにが「幸せ」なのでしょうか。
小説は全部で21章ありますが、映画には21章のラスト部分がありません。
もしも映画しか見たことがないという方は、ぜひ小説(完全版)も読んでみてください。

 

古谷田奈月『リリース』

リリース
古谷田奈月(著)、光文社

女性が首相のオーセル国は、徹底した「完全男女同権社会」である。
ジェンダーフリーが確立し、同性婚や精子バンクは国営化。男女同権のため、男性は全員精子バンクに、女性は全員代理母に登録している。
同性愛者が多数派というなか、異性愛者を隠す人々がいて……。

 

女性らしさや男性らしさは「悪」という価値観は、ある意味で究極のジェンダーフリーなのかもしれません。
男女は中性化するべきなのか、性別は無くなるべきなのか? 深く考えさせられる作品です。

 

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

わたしを離さないで
カズオ・イシグロ(著)、土屋政雄(訳)、早川書房

己の臓器を提供をするために誕生したクローン人間たちは、臓器を提供することが人生の「最終地」である。
夢や希望を持つことも許されず、ただ臓器提供をする日が来るのを待つだけの日々。
しかし、そこには細かな人間関係や複雑な感情も入り混じっていて……。

 

2010年にイギリスで映画化、日本では2014年に舞台化・2016年にドラマ化もされた小説です。
臓器提供という運命を早くから知っておくべきか、それともその瞬間に受け入れるべきか。
もしも自分がクローン人間と同じ立場だったら……? と感情移入してしまう作品です。

 

フランツ・カフカ『審判』

審判
フランツ・カフカ(著)、辻ひかる(訳)、岩波書店ほか

主人公の「K」がある朝突然逮捕される。Kはなぜ自分が逮捕されたのか理由を探りながらも、普段通りの生活を送る日々。
ある日、2人の紳士が訪ねてきて……。

 

カフカの作品はどれも独特で、ストーリーや主人公の感情を楽しむようなものではありません。
しかしこの作品からは、「冤罪」という現代問題にも通じるテーマが伝わってきます。

 

ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』

蠅の王
ウィリアム・ゴールディング(著)、新潮社ほか

少年たちが無人島に取り残される。最初は協力し合っていたが、リーダーが決まり、ルールができ、グループの対立に発展。
肩書きなどは一切関係ないはずなのに、そこには平等も平和もない。やがて、激しい対立が起こり……。

 

閉鎖的な環境で生きることになった少年たちが、徐々に己の欲に支配されていく物語。
1963年と1990年に、それぞれ違う監督のもとで映画化されました。
肩書きも経歴も関係なくても上下関係ができてしまうのは、私たちの日常にも起こり得ることです。
人間関係の難しさを改めて感じさせられるのではないでしょうか。

 

ジョージ・オーウェル『動物農場』

動物農場
ジョージ・オーウェル(著)、角川グループパブリッシングほか

人間たちに家畜として搾取されていると気づいた動物たちが、人間たちを農場から追放。
動物農場を作り上げたが、「動物みな平等で平和な世界」はそう長くは続かなかった……。

 

同作家の作品『1984年』の前編とも言える作品です。
人間から動物へ、指導者が変わっても結局同じような問題が起こってしまう……という物語。
話の設定にはユーモアたっぷりですが、全体主義の恐ろしさを考えてしまうはずです。

 

ジェームズ・クラベル『23分間の奇跡』

23分間の奇跡
ジェームズ・クラベル(著)、青島幸男(訳)、集英社

戦争に負けた国のとある教室に、新しい女の教師がやってくる。
教師は午前9時に授業を開始し、23分後に終了。
最初は教師に不信感を持っていた子供たちだったが、23分後には考えが大きく変わっていた。

 

教育と洗脳が「紙一重」だと感じる作品です。
人の気持ちは簡単に変わってしまう、ましてや年齢が若ければなおさら。
短い話ながら、洗脳の過程について、何度も読み返したくなる内容です。

 

ディストピア作品は現代の問題に通じる部分がある

10作品を紹介しましたが、気になる本はありましたか?
同じことが起こるなんてありえない考えつつも、近い将来起こり得るかもしれないと思うと、興味が湧いてきませんか。
簡単に読み進められないような難しい内容もありますが、ぜひ一度読んでみてほしいと思います。

 

ディストピアが好きな方におすすめなのが、近未来が舞台の小説です。
こちらの記事もご覧ください。