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「金田一耕助」だけじゃない!横溝正史の読んでおきたい名作


横溝正史の読んでおきたい名作

横溝正史の作品といえば、「金田一耕助シリーズ」を思い浮かべる方がほとんどだと思います。

では、それ以外の小説についてはどれくらいご存知でしょうか?

 

横溝作品は、「金田一耕助シリーズ」などの推理小説はもちろん、時代小説など他ジャンルの作品も見逃せません。

ここでは横溝正史の、「金田一耕助シリーズ」以外の一度は読んでおきたい名作小説をご紹介します。

 

『恐ろしき四月馬鹿』

『恐ろしき四月馬鹿』表紙

恐ろしき四月馬鹿
角川グループパブリッシングほか

四月一日の朝、ある中学寄宿舎で学生が殺害された。

その現場はひどく恐ろしい有り様なのだが、肝心の学生の死体がどこにも見当たらない。果たして死体はどこに消えたのか……。

 

横溝正史の記念すべき処女作が『恐ろしき四月馬鹿』。本作は、雑誌「新青年」の懸賞小説で1等に当選しました。

本書にはこの作品の他、横溝正史が20歳前後のときに書いた作品が収録されています。
本書を読めば、横溝正史がデビューからすでにたぐいまれなる才能を持っていたことが分かることでしょう。

横溝正史といえば、和風でおどろおどろしいテイストでおなじみですが、表題作を含め大正初期の作品は、洋風で非常にユーモアを感じさせる作品が多くあるんです。

 

『雪割草』

『雪割草』表紙

雪割草
戎光祥出版

本作は、戦時中の新潟日日新聞で200回にわたり連載された作品です。

長らく幻の作品とされてきましたが、発表から77年という時を経てついに2018年に単行本化。横溝正史のミステリー以外の作品として、発売当初から大きな注目を集めました。

 

恋愛・友情・家族愛など、主人公の波乱万丈な半生が描かれた大衆小説。
女性主人公がありとあらゆるトラブルに巻き込まれながらも、強く生きていく姿が印象的に描かれています。

横溝正史=「金田一耕助シリーズ」というイメージが強い方であるほど、とても新鮮な気持ちで読める作品だと思います。

ミステリー作家としての横溝正史とは異なる一面を垣間見られる貴重な作品ですよ。

 

『人形佐七捕物帳』

『人形佐七捕物帳』表紙

人形佐七捕物帳
光文社ほか

あまり知られていませんが、横溝正史はミステリー作品以外に、江戸時代を舞台とした「捕物帳」も執筆しています。その代表作が『人形佐七捕物帳』。
映画やテレビドラマなどで実写化もされています。

 

神田に住む人形佐七が、江戸で起こる事件を解決に導いていく物語。横溝正史らしい練られた仕掛けと筋立てが特徴の作品となっています。

従来の横溝正史の作風も色濃く反映されており、他の作家による従来の捕物帳とは一線を画した作品といえるでしょう。

時代小説はあまり読まないという方にもおすすめですよ。
まずは、シリーズの全作品の中から読みやすい7篇を集めた『人形佐七捕物帳傑作選』から読んでみてはいかがでしょうか?

 

『鬼火』

鬼火
角川グループパブリッシングほか

昭和8~11年頃に執筆された短編集で、表題作の『鬼火』を含む5作品が収録されています。推理小説ではなく、横溝正史独自のグロテスクな世界観が凝縮されているのが特徴です。

 

表題作「鬼火」は、2人の画家の葛藤をメインに描いた奇怪な耽美小説。療養中だった横溝正史が、およそ3か月かけて書き上げたのだとか。
火傷の跡をマスクで隠すなど、後の作品に生かされたような設定も見られます。

横溝作品の中でも、文学的な完成度が高いと評価される作品。グロテスクながら、とても美しい世界観を楽しむことができますよ。

 

『真珠郎』

『真珠郎』表紙

真珠郎
扶桑社ほか

類まれな美少年である真珠郎。しかし医者の鵜藤によって、真珠郎は狂気の殺人者として仕立て上げられてしまう。
血みどろの殺人を何度も繰り返す真珠郎の事件に、警視庁の元捜査課長の由利が挑むが……。

 

由利麟太郎を探偵役とした長編探偵小説で、「由利先生シリーズ」の1作。
この作品を江戸川乱歩は高く評価していて、「探偵小説の1つの頂点を為すかも知れない」と賛辞を寄せました。

「真珠郎はどこにいる。」という気になる書き出しから始まり、彼による残酷な殺人劇が生々しく描かれています。

耽美的な作風はそのままに、怪奇ミステリーと本格的な謎解き要素を組み合わせた、読み応えのある作品です。

 

『蝶々殺人事件』

『横溝正史自選集1』表紙

横溝正史自選集1』より
「蝶々殺人事件」
出版芸術社

とある歌劇団のソプラノ歌手・原さくらが、公演直前にコントラバスのケースの中から遺体で発見された。

不穏な人間模様、アリバイトリック、暗号、密室などの謎に、元捜査課長の由利と、新日報社の記者の三津木が挑む。

 

こちらも「由利先生シリーズ」の作品で、終戦直後に発表された本格推理小説です。読者を欺くトリックの連続で、最後まで騙されずにいることは難しいでしょう。

ネタバレになるので多くは書けませんが、一度読んだら、もう一度注意深く読んでみるのがおすすめです。

とにかく仕掛けが満載なので、ぜひ横溝正史に挑戦するつもりで読んでみてください。

 

横溝作品は「金田一耕助シリーズ」以外も要チェック!

「金田一耕助シリーズ」以外のおすすめ作品をご紹介しました。

従来の横溝正史のイメージとは違う、時代小説や大衆小説があることに驚いた方もいるのではないでしょうか。

推理小説以外のジャンルも精力的に執筆していた横溝正史。
「金田一耕助シリーズ」だけではない、ディープな横溝作品の世界を楽しんでみてくださいね!

横溝正史が生みだした名探偵「金田一耕助シリーズ」の最高傑作は?

 

今回ご紹介した横溝正史作品

恐ろしき四月馬鹿
角川グループパブリッシングほか

雪割草
戎光祥出版

人形佐七捕物帳
光文社ほか

鬼火
角川グループパブリッシングほか

真珠郎
扶桑社ほか

横溝正史自選集1』より「蝶々殺人事件」
出版芸術社

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