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横溝正史が生みだした名探偵「金田一耕助シリーズ」の最高傑作は?


昭和を代表するミステリー作家である横溝正史氏は、数多くの名作を生み出しました。その代表とも言えるのが、戦後間もなく誕生した名探偵「金田一耕助シリーズ」です。

増悪、愛欲、執念、怨念、因縁、闇深い過去、閉鎖的社会など、ドロドロとした雰囲気で描かれる世界は、未だ多くの読者を魅了しています。

ボサボサの長髪に平凡な顔立ちという、冴えない風貌の金田一が繰り広げる同シリーズの個人的ベストセレクションをご紹介します!

 

金田一耕助初登場!
『本陣殺人事件』

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戦後間もなく雑誌に連載された「金田一耕助シリーズ」の第1作となる長編推理小説です。まさに金田一耕助が誕生した記念すべき作品と言ってもいいでしょう。

雪景色が美しい日本家屋での密室殺人事件という本格ミステリーではありますが、真骨頂はトリックではなく、いい意味で期待を裏切る犯人と、その動機を巧妙にミスリードする面白さにあります。

また、「雪」「日本刀」「琴の音色」「三本指の男」「名家の結婚式」などにより、独特の雰囲気が作られているところも本書の魅力です。

戦前の宿場が舞台となっている上、当時の日本に根強く残る旧家の因習などが描かれているので、時代の違いを痛感しながらも、興味深く読み進めることができるでしょう。

小説が発表された翌年となる1947年、そして1970年代にも再び映画化されています。
古谷一行さん、片岡鶴太郎さんが主演でテレビドラマも放映されるなど、同シリーズの中でも人気作品となっています。

 

手毬唄の通りに起こる殺人事件……
『悪魔の手毬唄』

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これまでに本書を原作とした映画やテレビドラマは数多く、さらにラジオドラマやコミカライズもされた「金田一耕助シリーズ」の代表作。

本書の舞台は、昭和30年の岡山と兵庫の県境にある鬼首村の温泉宿「亀の湯」。静養のためこの地を訪れた金田一耕助が、村に伝わる「手毬唄」の歌詞をなぞるように異様な構図で死体が発見される殺人事件に遭遇します。

ちりばめられた伏線とミスリードは見事としか言いようありません。
曰くありげな手毬唄、正体不明の老婆、怪しげな詐欺師、因縁めいた旧家など、横溝ワールドを十二分に堪能できる作品です。

さらに、当時の因習や閉鎖的な空気感がストーリー全体に漂い、物悲しさを伴う怖さを演出しています。

映像作品とは違った面白さを発見できるので、ぜひ原作を手にしてみてください。

 

閉鎖的な村で起こる悲劇とは……
『八つ墓村』

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本書は、横溝正史氏の作品の中で最も多く映像化されています。さらに、コミカライズや舞台化もされており、金田一耕助シリーズで最も有名な作品と言えるでしょう。
1977年に映画化されたときには、「たたりじゃーっ!」というセリフが流行語になったことからも、その注目度の高さがうかがえます。

『八つ墓村』は、『本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』に続く同シリーズの長編第4作。
古い因習が残る閉鎖的な村で起こる惨劇、怪奇的な雰囲気など、横溝氏ならではの世界が繰り広げられます。現代ホラー・ミステリーの原点と言ってもいいのではないでしょうか。

その一方、伝説の財宝をめぐる洞窟内での冒険や恋愛要素も盛り込まれ、推理小説らしくない推理小説かもしれません。

あまりにも有名すぎて避けてきたという方もいるかもしれません。しかし、恐ろしいだけのホラーものとは一線を画した繊細な人間描写や壮大な世界観を味わうことができますよ。

 

莫大な資産をめぐる一族の争い
『犬神家の一族』

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本書は『八つ墓村』に次いで映像化された回数が多い人気作品です。1976年の映画では、「日本映画の金字塔」との評価を受けるほどでした。

物語の舞台は、昭和20年代の信州。
裸一貫から莫大な財産を築いた犬神財閥の創始者が遺した遺言が災いのもととなり、血で血を洗う一族の争いに発展します。しかし、それは犬神家の愛憎劇の始まりに過ぎません。

おどろおどろしい雰囲気やミスリードの面白さも健在。戦争が人々の行動に大きな影響を与えたことが、悲劇を一層際立たせています。

すでに映像で視聴したという方も多いかもしれませんが、原作では映像で表現しきれない詳細な部分が描かれているので、面白く読み進められるはずです。
有名なスケキヨの奇妙なマスク姿や湖面から出る2本足のシーンは、本を読む際にもイマジネーションを刺激してくれることでしょう。

 

 

終戦直後にとある島で起こる殺人事件
『獄門島』

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『本陣殺人事件』に次ぐ「金田一耕助シリーズ」第2作で、松尾芭蕉の俳句をモチーフとした見立て殺人を描いた作品です。

物語の舞台は終戦から1年が経った昭和21年の獄門島。金田一耕助がこの島を訪れたのは、戦友の死を知らせるためですが、その戦友が死の直前に口にした気がかりな言葉のためでもありました。

金田一は島で戦友の妹である不気味な三姉妹に出会いますが、そこからおぞましい連続殺人事件が始まります。

戦後の世相、閉鎖的で封建的な島、因習の業、怪奇など、横溝ワールドは全開モード。
ストーリー展開、設定、巧妙なトリック、犯人の意外な動機、結末、世界観のどれをとっても素晴らしく、ミステリーとしての完成度は抜群と言えるでしょう。まさに、横溝正史の魅力が凝縮された傑作です。

 

名探偵・金田一耕助シリーズの最高傑作は……?

「金田一耕助シリーズ」は、ドロドロとした陰鬱な世界観だけでなく、巧妙にちりばめられた伏線やトリックが見事です。

 

どの作品にもそれぞれの魅力がありますが、わたしが個人的に一番を決めるなら、それは「獄門島」。プロット、世界観、トリック、人間描写、金田一の苦悩と思考など、あらゆる面で1歩リードした作品だと思っています。

あなたの「金田一耕助シリーズ」最高傑作は、どの作品でしょうか?

 

今回ご紹介した「金田一耕助シリーズ」の書籍
■『本陣殺人事件
■『悪魔の手毬唄
■『八つ墓村
■『犬神家の一族
■『獄門島

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