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【これぞ感動小説】 父の日に読みたい「父と子」を描いたおすすめ小説4選


母の日の約1ヶ月後、6月の第3日曜日は、父の日です。

今回のコラムでは、父の日に読みたい小説をピックアップしてみました。

 

ご紹介する小説は、以下の基準で選書してみました。

・「お父さん、いつもありがとう」と心から思えるような一冊

・父と子の愛がテーマとして描かれている

・あたたかい気持ちになれる、感動のストーリー

・号泣もの

 

普段、お父さんのことを考える機会はあまりないと思います。この機会にお父さんへ思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。

 

読むと親孝行したくなる『ステップ』

重松清『ステップ』の表紙

『ステップ』
重松清(著)、中央公論新社

 

結婚三年目、三十歳という若さで、朋子は逝った。あまりにもあっけない別れ方だった―男手一つで娘・美紀を育てようと決めた「僕」。初登園から小学校卒業までの足取りを季節のうつろいとともに切り取る、「のこされた人たち」の成長の物語。

(中公文庫版・表紙裏)

 

2歳の娘と父の“10年間”を描いた連作短編集。

重松清さんといえば『とんび』『流星ワゴン』など、家族愛をテーマにした作品を多く出版されていることで知られていますが、本書も号泣ものです。

 

1歳半の娘を遺し、病気で亡くなってしまった妻・朋子。朋子の両親や兄夫妻の支えもあり、美紀は健やかに育っていきますが、健一は“義理の関係”に重圧を感じていくようになります……。全員の気持ちがわかるだけに、胸が痛くなります。

また、作中に「子どもが苦しんでるときには、へたすりゃ、親のほうがもっと苦しいんだ」という言葉が出てくるのですが、この一言は私の中で強く印象に残っています。

大人になった今だからこそわかる親心。本書を読むと親孝行したくなりますよ。

 

子の成長は嬉しいけれど、寂しい気持ちも……『岳物語』

椎名誠『岳物語』 の表紙

『岳物語』
椎名誠(著)、集英社

 

山登りの好きな両親が山岳の岳から名付けた、シーナ家の長男・岳少年。坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思いでそれをみつめる「おとう」…。これはショーネンがまだチチを見棄てていない頃の美しい親子の物語。著者初の明るい私小説。

(集英社文庫版・表紙裏)

 

小学生の息子・岳の成長物語。椎名さんの私小説でもあります。

ユーモアに溢れたおもしろ一家のエピソードが揃っていて、ついニヤニヤしながら読んでしまう一冊です。

私が初めて本書を読んだのは、岳と同じぐらいの年齢でした。そのため気づきませんでしたが、本書では、子どもの成長を喜ぶとともに寂しく感じる親心についても描かれています。

 

家を不在にしがちな作者が帰ってくると、岳は抱きついて出迎えていました。しかし、小学5年生になった頃には、父が帰宅してもにやりと笑うだけ。些細な変化ですが、作者の寂しい気持ちもわかるようになっただけに、切ない。

スカッと笑いたい方におすすめの一冊です。

 

父親がまさかの4人!? 『オー!ファーザー』

 伊坂幸太郎『オー!ファーザー』の表紙

『オー!ファーザー』
伊坂幸太郎(著)、新潮社

 

父親が四人いる!?高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件―。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

(新潮文庫版・表紙裏)

 

高校生の主人公、母、父親4人(!?)の家庭の物語。

主人公を授かった時、4人と交際していた母は、誰が子どもの父親かわからず全員と暮らすことになる……という“ぶっ飛んだ”設定のこの作品。

目まぐるしい展開と、つい一気読みしてしまう面白さは、まさに伊坂ワールドならでは。

複雑な家庭環境ではあるものの、主人公に対する父親たちの愛情が伝わる描写がとにかく多く、ホロリとしてしまう場面も……。

 

クライマックスで「これも伏線だったんだ!」とすべてが繋がった時……やられた! と思わず叫んでしまうことでしょう。父が重要な役割を果たす、超絶エンターテインメント作品を読みたい方におすすめです。

 

あまりにも辛い状況に、親子はどう進むのか。『ペダルの向こうへ』

 池永陽『ペダルの向こうへ』の表紙『ペダルの向こうへ』
池永陽(著)、光文社

 

一年前、体調が思わしくない妻・頼子の運転する車が事故を起こし、頼子は即死、同乗していた息子・隆は右足の膝下を切断することに…。悔やんでも悔やみきれない過ちを抱えた夫・洋介は、残された人生をより良く生きようと決意、会社を辞め、隆とともに頼子の遺骨をもって自転車で旅に出た。目的地は頼子の故郷、沖縄。ほろ苦さと優しさを巧みにすくう、感動長編。

(光文社文庫版・表紙裏)

 

12歳の息子と父の“旅”を描いた連作短編集。

交通事故で亡くなった母、片足を失い義足となった息子。事故当時、他の女性と会っていた父……。と、シチュエーションはあまりに重いものですが、本書はその苦しさに真っ向から向き合います。

 

人が傷つき、再生するためには時間がかかるし、何か大きなきっかけがいる。家族だからこそ許せないことがある。

あまりにも辛い状況に陥った時、家族はどのように再生していくのか。バラバラに離散するのか、絆を深めるのか、それを決めるのは家族の中にある「愛」なんですね。(一度は過ちを犯してしまったけれど)父の愛がじわじわと伝わってくる作品です。

また、思春期ならではの父と子のぎこちない関係も、読んでいて懐かしい気持ちになりました。

 

父の日に読みたい小説たち

普段、お父さんに感謝の気持ちを伝える機会は少ないかと思います。今回ご紹介した作品たちを読み、お父さんへの思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。

 

■ご紹介した「父と子」を描いた感動小説はこちら

ステップ』重松清(著)、中央公論新社

岳物語』椎名誠(著)、集英社 ほか

オー!ファーザー』伊坂幸太郎(著)、新潮社

ペダルの向こうへ』池永陽(著)、光文社

 

◆感動小説の代表「重松清作品」から、「家族愛もの」「恋愛もの」「ヒューマンもの」「動物もの」まで。「感動小説」はここから探そう◆

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。