川上弘美 さんのおすすめ小説|最初に読むべきおすすめ4選
4月1日は、芥川賞作家・ 川上弘美 さんの誕生日。(1958年4月1日生まれ)
川上さんが描く作品は、あたたかく、じんわりとした感動を味わえるものと、幻想的で静謐な世界観を味わえるものに分かれます。また、川上さんの魅力は、その独特な世界観に加えて、文章の技巧の高さだと個人的には思っています。
そんな「読ませる」作品が揃った川上作品ですが、今回のコラムでは、みなさまに読んでいただきたいおすすめの4作品を紹介したいと思います。
川上さんが創り出す世界にぜひとも酔いしれてください。
歳の離れたセンセイとの恋物語
センセイの鞄
文藝春秋
川上さんの代表作であり、すでに映像化が実現している作品です。読者のみなさまのなかにも、タイトルを聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?
「ツキコさん、デートをいたしましょう」。
40歳を目前にした独身女性”ツキコ”と、高校時代の国語教諭”センセイ”、2人を巡る恋物語です。
30歳と少し年の離れた二人が、共に肴をつつき、お酒を飲み、お花見をし……ゆっくりと穏やかな日々の裏側には、切ない現実がありました。そして最後には……。
川上作品の中でも特に、読んだ後、深い余韻に浸ることができる作品です。
不思議な蛇の「うそばなし」
蛇を踏む
文藝春秋
芥川龍之介賞受賞作品。
「踏まれたので仕方ありません」と言って、主人公の母であるかように振る舞う蛇の物語。
川上さんはあとがきにて「うそばなし」という言葉で表現していますが、非現実的で、つかみどころがない世界にどっぷり浸りたい方におすすめの一冊です。まるで、「うその国」で遊んでいるような錯覚に陥ります。想像もしない展開が読者をぐっと引き込みます。
川上さんが本書で何を表現したいのか、蛇は何を表しているのか、など、謎が多いこの作品。解釈は読者に委ねられており、さまざまな論があるのが事実です。謎解きのように、その難解さを楽しんでみてもいいかもしれませんね。
幸福でノスタルジックな人々を描く
古道具 中野商店
新潮社
舞台は、とある学生街の中にある小さな古道具屋。年の離れた4人の日々を軸に物語は進んでいきますが、作品全体から醸し出されるノスタルジックな空気があまりにも幸福に満ちており、改めて、川上さんの“巧さ”を実感させられる一冊です。
また、男を文鎮、女を紙に例えるなど、その感性の豊かさにはつい感心してしまいます。
先述の「センセイの鞄」と同様、あたたかな感動をじわりと感じることができる作品に仕上がっています。 どこか懐かしい気持ちを味わいたい時、読後感が良い作品を読みたい時におすすめの一冊です。
真実の愛を探す色男
ニシノユキヒコの恋と冒険
新潮社
「どうして僕はきちんと女のひとを愛せないんだろう」
誰からもモテる色男・ニシノユキヒコと、彼を取り巻く女性たちの物語。
本書は、複数の女性目線で描かれていますが、見事なまでに、彼に対する捉え方はバラバラです。その違いが可笑しくて、つい笑ってしまいますが、ニシノが抱える孤独を知った時、切ない気持ちでいっぱいになります。川上作品は、陽と陰の加減が絶妙なんですね。
果たして彼は真実の愛に辿り着けるのでしょうか?人を愛すること、を改めて考えさせられる一冊です。
川上弘美 作品を読むならこの4冊から
今回は、川上さんのおすすめ作品4冊をご紹介しました。もし一度も読んだことがない方は、この機会に一度手に取ってみてはいかがでしょう?読んでよかった、ときっと思っていただけるはずですよ。
今回ご紹介した 川上弘美 さんの書籍
『センセイの鞄』
『蛇を踏む』
『古道具 中野商店』
『ニシノユキヒコの恋と冒険』
川上弘美 さんはSFも書かれています。
川上さんが描く人類の未来史の面白さに迫ります……!