クリスマスがテーマのおすすめ小説|冬に読みたいクリスマスストーリー
更新日:2019/10/15
クリスマスの季節が近づき、街がどこか華やいだように感じられる今日この頃。
今回のテーマは「クリスマスをテーマにした小説」。
クリスマスにまつわる小説といえばこれ! という定番小説から、日本人が描くクリスマスの小説、クリスマスがテーマのミステリー小説など、バラエティ豊かなクリスマスストーリーを集めてみました。
さまざまな目線から見たクリスマスを愉しんでみてください。
定番のクリスマス小説1
『クリスマス・キャロル』
『クリスマス・キャロル』
チャールズ・ディケンズ(著)、新潮社ほか
発売してわずか1週間で6000部を売り上げた、クリスマスに定番のベストセラー小説です。
本書のブームをきっかけに、クリスマスを豪勢に祝う風習が始まったとも言われています。
主人公のスクルージは、金儲けに目がない商人であり、その強欲さから周囲から大変嫌われていました。
ある日、スクルージの相棒であり、同じくお金に強欲だったマーレイの亡霊が目の前に現れます。3人の幽霊がスクルージの前に現れることを伝えるために……。
端的に言うと、非常に感動的な作品です。170年以上にわたって世界中に愛されている理由が、本書を読めばご理解いただけるでしょう。
スクルージのように自身も変わりたいという読者が続出し、社会現象にもなったというのも理解できるほど、心に染み渡る作品です。
定番のクリスマス小説2
『飛ぶ教室』
『飛ぶ教室』
エーリッヒ・ケストナー(著)、新潮社ほか
当時ナチスの支配下にあったドイツで発表された作品。作品にはさまざまな制限がかけられながらも、ケストナーは文学作品の執筆が許されたそうです。
ドイツの寄宿学校を舞台にしたクリスマスの日のお話。年齢の異なる5人の学生と、2人の先生を中心にストーリーは展開されます。
ちなみに表題の「飛ぶ教室」とは、登場人物の1人が書いた、クリスマス劇のタイトルのことなんです。
少年たちが知恵と勇気を持って成長していく姿は、大人が忘れてしまったものを思い出させてくれます。笑いあり涙ありの成長物語を、聖夜にじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。
お子さんへの、クリスマスプレゼントにもおすすめです。
定番のクリスマス小説3
『34丁目の奇跡』
『34丁目の奇跡』
ヴァレンタイン・デイヴィス(著)、あすなろ書房ほか
1947年にアメリカで公開された映画「三十四丁目の奇蹟」の脚本。何度もリメイクされているクリスマスの定番作品です。
物語の舞台は、ニューヨーク西34丁目に実在するメイシーズ百貨店。おもちゃ売り場のサンタクロースとして雇われた老人が、クリスマスに奇跡を起こします!
「サンタさんって、本当にいるの?」一度は誰だってそう思ったことがあると思います。
本作でもその論争が繰り広げられるのですが、「クリスマスはカレンダーではなく、心」と、信じることの素晴らしさを教えてくれました。
海外のクリスマス小説1
『クリスマスツリー』
『クリスマスツリー』
ジュリー・サラモン(著)、ジル・ウェーバー(絵)、新潮社
ニューヨークのロックフェラー・センターに飾られるクリスマスツリー。そのツリーになる木を探す庭師と、木の持ち主である修道女の物語です。
父を亡くし、修道院にひきとられた少女が、1本の小さな木「トゥリー」と出会います。
そんな「トゥリー」が庭師の目にとまったのは、月日が経ち、少女も木も立派に成長した頃でした――。
いつも何気なく見ていたクリスマスツリーにも、物語があるのかもしれません。生きること、人生を楽しむことなどを考えずにいられなくなる、学びの多い一冊です。
海外のクリスマス小説2
『スキッピング・クリスマス』
『スキッピング・クリスマス』
ジョン・グリシャム(著)、小学館
リーガル小説を得意とする著者が描く、ドタバタコメディー。
クリスマスに消える6,100ドルに嫌気がさし、クリスマスというイベント自体をスキップしようとした夫婦が描かれます。
無駄なお金の消費を抑え、カリブ海にクルーズに行こうと計画する夫婦ですが、周囲の人々と溝が……。
パーティの準備、プレゼントの用意、ツリーの手配、品薄になるスーパーなどなど、アメリカのクリスマスって、こんなに大変なイベントだったんだ……! と、この作品を読んで驚きました。
最後には驚きの結末が待っています!
日本人が描くクリスマス小説1
『太陽の塔』
『太陽の塔』
森見登美彦(著)、新潮社ほか
クリスマス直前に振られた大学5年生の主人公と、クリスマスを呪う友人たちの物語。
本書を一言で言うと、大笑いしたい時に読みたい作品です。
登場人物たちが揃いも揃って自意識過剰、コンプレックスをこじらせながらも、気高く生きているため、どこか勇気をもらえる作品なんですね。
彼らは恋人たちと過ごす“リア充”たちを羨み、クリスマス・イヴの夜に「ええじゃないか」騒動を起こすのですが、その騒動は想定外の展開を迎えます。
「幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産みだした。その分は勿論俺が頂く」といったような、名言(?!)も多く出てきますよ。
日本人が描くクリスマス小説2
『私がいないクリスマス』
『私がいないクリスマス』
加藤元(著)、講談社
著者が描く、現代版『クリスマス・キャロル』。癌の手術をクリスマスにすることになった育子が、父親との思い出を振り返っていきます。
毎年クリスマスの日は決まって不在だった父親。はたして父親は何をしていたのか――。
大切にしているからこそついてしまった嘘、相手への気遣いのためについた嘘など、さまざまな「嘘」がテーマになっています。
前向きに生きてみよう。そう思える温かい作品です。
日本人が描くクリスマス小説3
『X’mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日』
『X’mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日』
朝井リョウほか(著)、新潮社
朝井リョウさん、あさのあつこさん、伊坂幸太郎さん、恩田陸さん、白河三兎さん、三浦しをんさんという人気作家によるアンソロジー作品。
クリスマスのキラキラした華やかな空気感を楽しみたい、ささやかな奇跡にほっこりしたい方にぴったりの一冊です。
クリスマス小説といえば、恋愛小説を想像しがちですが、その想像を見事に裏切ってくれる構成になっているのがポイントです。
笑いあり、涙あり、考えさせられる場面もあれば、どんでん返しに圧倒され……。
まさしく珠玉の作品が揃っていて、アンチ・クリスマスの人でも本書を読めばクリスマスが好きになってしまう、そんな作品と言える仕上がりになっています。
日本人が描くクリスマス小説4
『キャロリング』
『キャロリング』
有川浩(著)、幻冬舎
『図書館戦争』や『空飛ぶ広報室』などで知られる有川浩さんが描く、クリスマスの物語。
クリスマスの日に倒産が決まった会社に務める俊介に、両親の離婚を止めたい小学生の航平が助けを求めます。
倒産、離婚、借金などの重い題材を扱いながらも、不思議と重い気持ちにはなりませんでした。
クリスマスというリミットに向けて、登場人物それぞれが奮闘。終始ハラハラする展開ではあるものの、その内容は「愛」で満ち溢れています。
逆境に立たされた人々に起こる、奇跡の連鎖をぜひ読んでみてください。
クリスマスミステリー1
『ポアロのクリスマス』
『ポアロのクリスマス』
アガサ・クリスティ(著)、早川書房
ゴーストン館の当主シメオン・リーは、クリスマスに家族を集める。
ところが、クリスマス・イヴに事件が起こった。シメオンが殺害されたのだ。はたして犯人は誰なのか……。
「エルキュール・ポアロ」シリーズの1つで、密室殺人を扱った作品。クリスマスに起こった老富豪殺人事件に、探偵ポアロや警察たちが挑みます。
意外すぎる犯人。あなたは真相を見抜けるでしょうか?
クリスマスミステリー2
『クリスマスのフロスト』
『クリスマスのフロスト』
R・D・ウィングフィールド(著)、東京創元社
日本でも愛されている「フロスト警部」シリーズの1作目。
失踪した8歳の少女、銀行の玄関を開けようとする人物など、もうすぐクリスマスの田舎町デントンで起こる事件にフロスト警部が挑みます。
下品でだらしない、何かと抜けているフロスト警部のキャラクターがとにかくコミカルで面白いです。
クリスマスミステリー3
『クリスマス・ラテのお別れ』
『クリスマス・ラテのお別れ』
クレオ・コイル(著)、武田ランダムハウスジャパン
コージーミステリーの人気作、「コクと深みの名推理」シリーズ8作目。コーヒーハウスを営むクレアがさまざまな事件を解決に導きます。
本作では、ボランティアでサンタクロースをしているアルフが殺害される事件が発生。依頼を受けたクレアが真相解明に乗り出します。
さまざまな人間模様が垣間見える本作。クリスマスに飲みたいラテもたくさん登場します。
小説をお供に素敵なクリスマスを
小説を片手にクリスマスを祝う……というのも、粋なものではないでしょうか。
ぜひ興味のある作品は手にとってみてくださいね。お気に入りの一冊に出会ってみませんか?