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あなたの「ビタミン剤」に! 柚木麻子さんのおすすめ4作品


2013年、2014年、2015年、2017年と4度にわたり直木賞候補となった柚木麻子さん。

作品を出せば直木賞候補となることからも、その実力はお墨付きと言えるのではないでしょうか。

では、柚木さんの描く作品はどのようなものなのでしょう?

 

柚木さんの作風は、大きく2つに分かれます。

読むだけで前向きな気持ちになれる、元気になれる、いわゆる「ビタミン小説」。

一方、女性の怖い人間関係や、本音を描いた、いわゆる「ブラック小説」。

対極にある世界観を見事に書き切る柚木さん。どちらの作風も非常におすすめなのですが、今回は「ビタミン小説」に焦点を置いて、おすすめ作品を紹介したいと思います。

 

お腹が空きそうなタイトルに惹かれる
『あまからカルテット』

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『あまからカルテット』
文藝春秋

薫子は編集者、満里子は美容部員、咲子はピアノ教師、由香子は専業主婦。女子校時代からの仲良し4人組が30歳を目前にして、恋に迷い仕事に悩みながらも友情の絆で乗り越えていく連作集。咲子が花火大会で一目惚れした時、由香子がネット・バッシングでへこんだ時、満里子に恋敵が現れた時、薫子が仕事をなげそうになった時、いつも美味しい食べ物が解決の鍵になる――(表紙裏)

 

中学校からの仲良し4人組を描いた連作短編集。

まず、「恋する稲荷寿司」「はにかむ甘食」「胸さわぎのハイボール」「てんてこ舞いにラー油」「おせちでカルテット」といった食べ物のタイトルに興味を惹かれます。

30歳前後って、環境の分かれ目の年代ですよね。キャリアウーマンを選ぶ人もいれば、専業主婦になる人もいるし、人の数だけ選択肢があります。ただ、本書には、女性にまつわる小説にありがちな、悪意も嫉妬も羨望もウラオモテも一切出てきません。

描かれるのは、4人が協力しあって「日常のちょっとした事件」を解決していく姿。痛快です。笑えます。読んでいる間も、読んだ後も、爽快な気持ちが味わえます。

 

ランチ交換で心の変化が……
『ランチのアッコちゃん』

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『ランチのアッコちゃん』
双葉社

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!(表紙裏)

 

柚木さんの代表作である「アッコちゃん」シリーズの第1作。続いて『3時のアッコちゃん』と『幹事のアッコちゃん』が出されています。

“アッコさん”こと黒川部長と、ランチを取り替えっこする羽目になった三智子。三智子の手作り弁当と交換に、黒川部長のランチコース(1週間のうち、何曜日にどの店に行くか)とお金を渡されるようになります。

人見知りの三智子はドキドキしながらランチを食べに行くのですが、そこで出会う店主やお客さんとのやり取りから、三智子の心境はどんどん変化していきます。

「食べることは、生きること」。途中に出てくるこの言葉に影響され、改めて私は食生活を見直すようになりました。これからも大切にしたい作品です。

 

美女は性格が悪い?
『嘆きの美女』

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『嘆きの美女』
朝日新聞出版

ほぼ引きこもり、外見だけでなく性格も「ブス」、ネットに悪口ばかり書き連ねる耶居子。あるとき美人ばかりがブログを公開している「嘆きの美女」というHPに出会い、ある出来事をきっかけに彼女たちと同居するハメに。全女性に送る成長小説。(表紙裏)

 

「美女は、性格がブス!」だと思い込み、美女に敵対心を抱いていた女の子が変わっていくストーリー。

自分をブスだと思い込み、引きこもっていた主人公の耶居子。複数の美女たちが「美女ならではの悩み」を綴ったホームページを攻撃することでストレスを解消していました。

ある日、耶居子はその美女たちと共同生活をすることになります。彼女たちは、容姿も美女ながら、性格も美女でした。彼女たちと接しながら、美女への偏見に反省する主人公。そして、美女たちもまた、主人公のことを深く理解しようとします。

人は見た目じゃないと言いながらも、つい見た目で判断しがちだったりしますよね。個人的には、ハッとさせられた一冊でした。

さて、耶居子はいったいどう変わるのでしょうか?結末はぜひ本書でご確認ください。読み終わった頃には、ぐんと元気になっているはずですよ。

 

勇気が湧いてくる一冊!
『ねじまき片想い』

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『ねじまき片想い~おもちゃプランナー・宝子の冒険~』
東京創元社

毎朝スカイツリーを見上げながら、水上バスで通勤する富田宝子、28歳。浅草にあるおもちゃ会社の敏腕プランナーとして働く彼女は、次から次へと災難に見舞われる片想い中の西島のため、SP気分で密かに彼のトラブルを解決していく…!やがて、自分の気持ちに向き合ったとき、宝子は―。

自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけ!(帯)

 

「想っているだけ」はもうやめた!行動しないと何も始まらないと、背中を押してくれる小説です。

主人公の宝子は、ヒット作を生み出す敏腕プランナー。仕事もでき、仲間にも恵まれ、容姿端麗な宝子でしたが、恋愛だけは上手くいかず、5年間ずっと片思いをしていました。

差し入れをしたり頑張ってはみるものの、なかなか告白できない宝子。そこで、宝子は、とんでもない行動に出てしまいます……。

恋のパワーが高まるとこうなるのか……と驚きを隠せないほど、宝子はたくましく、破天荒。本当に元気をもらえます。

作中の仕掛け(たとえば、おもちゃ会社で働く主人公の名前は、富田宝子。よく見ると、大手おもちゃ会社2社の名前が入っています!)も面白く、いろんな観点から楽しめる作品に仕上がっています。

 

柚木麻子さんのおすすめ「ビタミン小説」

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今回紹介した作品は、すべて元気をもらえる内容ばかり。疲れた時にぜひ読んでみてくださいね。

 


今回ご紹介した柚木麻子さんの書籍

あまからカルテット文藝春秋
ランチのアッコちゃん双葉社
嘆きの美女朝日新聞出版
ねじまき片想い~おもちゃプランナー・宝子の冒険~東京創元社


 

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。