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わたしの三大「衝撃的だった」本


今回のテーマは、『三大「衝撃的だった」本』。

正直なところ、今回紹介する作品はすべて、読み始めてすぐに「読まなきゃよかった」と思ってしまった本です。読むのがあまりにも苦しく、つらすぎて……。「お願いだからもうやめて」と叫びたくなるほど、壮絶で、救われない世界が本の中にありました。

 

3冊に共通しているのが

・現実に起こっている社会問題をテーマにしていること

・ノンフィクションではないものの、現実に忠実な内容であること

・鬼気迫る筆力に圧巻されること

・私の価値観を360度変えてくれたこと

・あまりにも衝撃的なので、安易におすすめできる作品ではないこと

 

それでも読み切ることができたのは、「(多少の脚色はあるにせよ)現実で起こっていることから目を背けたくない」という思いからでした。

そのため、読み終わった後は、まさに茫然自失という言葉がぴったりな状態でした。世界の見方がすっかり変わってしまったのです。

しばらくは、残像がフラッシュバックして、他の小説を読むことができませんでしたし、本の内容は何ヶ月も頭から離れませんでした。

 

ホラー小説やミステリー小説ではないので、グロテスクな表現などはありませんが、テーマがテーマなだけに暗い小説であることに変わりはありません。読む人を選ぶ小説であることは事前にお伝えしておきます。

 

 

テーマは「幼児売春」と「臓器売買」

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『闇の子供たち』
梁石日(著)、幻冬舎

貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。(表紙裏)

 

「値札のついた命」という副題をつけられ、映画化された小説です。

8歳で売春宿に売られ、エイズを発症し、ゴミ捨場に棄てられるタイ人の少女。性行為のために、ホルモン剤を打たれる少年。心臓病のドナーを待っていられないと、生きた子どもの心臓を抜き出すことを依頼する日本人の母親……。

目を背けたくなるような内容のオンパレードです。ただ、これが現実です。東南アジアをはじめとした発展途上国で、このような幼児売春・臓器売買が行われているのは事実だとされています。

 

このような事実があることを知ったという点でも価値観を変えられましたが、下記の解説にも私は衝撃を受けました。

 

憎むべきは山岳民族から幼女を買い受ける都市の男だけでなく、売春宿で幼女と性交におよぶ外国人の男たちだけでなく、この絶対的貧困を温存し、温存することで自らの豊かな社会を保っている私たち自身なのだ。

100円ショップには安い日用品がたくさん並んでいる。ほとんどは中国をはじめとしたアジアで作られている。価格が安いのは、人件費が安いからだ。かの地の人々が安い人件費で働くことについて、消費者である私たちが罪悪感を持つ必要はない、という人々もいる。

たとえ日本の何十分の一の給料であれ、劣悪な労働条件であれ、それはかの地にとっては重要な産業なのだから、と。安い日用品が作られなくなったら、困るのは彼らのほうなのだから、と。しかしそれは、東南アジアでの買春を「個人的経済援助」などと言って笑ってすませる感性と同じではないのか。(p476)

 

皆さんは、このような発想で考えたことはあるでしょうか? 本書を読むまでは、私にこのような視点はありませんでした。この本を機に、ぜひいろんなことを考えていただけると幸いです。

 

 

テーマは「いじめ」

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『ナイフ』
重松清(著)、新潮社

「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

 

「いじめ」がテーマとなった短編集。

私は重松さんのファンなのですが、本書は私がはじめて読んだ重松作品ということもあり、思い入れもひとしお。

表題作「ナイフ」は、いじめを通した父子関係を描いたもの。背が低く虚弱体質で、臆病な自分自身に自信が持てない父親が主人公です。息子も父親に似て背が低く「チビ」と言われていました。

ある日、息子のカバンの中から落書きされた教科書を見つけ、息子のいじめに気づきます。そして、息子をいじめる相手と対面するのですが……。

 

フィクションの世界にありがちな、勧懲悪な展開(父親がいじめっ子を退治してくれる)を期待して読んでいた私にとって、結末は意外な終わり方でした。

残念ながら、「めでたし、めでたし」で終わらないのが現実です。「私ならどうするだろう?」と考える機会をこの本は与えてくれました。

 

また、「偉くならなくてもいい。賢くなくてもいい。金持ちでなくてもいいし、特別な才能がなくてもいい。どこにでもいる、平凡な男でかまわない。生きることに絶望するような悲しみや苦しみには、決して出会わないように」と子どもに対して願う父親の姿には、いつ読んでも号泣します。

 

 

テーマは「被虐体験」

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『土の中の子供』
中村文則(著)、新潮社

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。著者初の短篇「蜘蛛の声」を併録。(表紙裏)

 

『教団X』などで知られる中村文則が芥川賞を受賞した時の作品。

テーマは「被虐体験」ですが、ただ、被虐体験自体にスポットライトが当たっているのではなく、被虐体験者が大人になってからのエピソードが描かれています。

主人公は、土の中に埋められるほどの虐待を受けてきた「私」。血肉のように「恐怖」が身体の一部となってしまっており、自ら「恐怖」の場へ進んで向かう姿が描かれています。

あえて「恐怖」を作り出すことで(例:不良にタバコを投げつけるなど)自身の内にある恐怖を乗り越えようとする考えは、私には到底理解できるものではありませんでした。

 

一方で「何か、他にあるのではないだろうか。 無事でいられたことを全身で喜ぶような、私の全てが震えて止まらないような瞬間が、あのような暴力と釣り合うような、喜びが、この世界にあるのではないだろうか」と、生きる意味を探索し続けます。

「生きる意味」について考えるきっかけになったという意味で、価値観を変えられた作品でもあります。

なお、本書を読む際には、著者の「あとがき」も一緒に読んでくださいね。きっと号泣するはずです。

 

 

私的「衝撃的だった」本

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三大「衝撃的だった」本ということで、衝撃的な作品を紹介しました。自己判断でお読みくださいね。

 

今回ご紹介した書籍
闇の子供たち』梁石日(著)、幻冬舎
ナイフ』重松清(著)、新潮社
土の中の子供』中村文則(著)、新潮社

 

内容が気になる、タイトルに惹かれた本はありますか?

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。