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秋に読みたい!ほっこりあたたかくなる小説


今年も「読書の秋」の季節がやってきました。

今回のテーマは「秋に読みたいほっこりあたたかくなる小説」。

夜になると肌寒くなります。
今回ご紹介した作品を寝る前に読むと、心温まる気持ちで眠ることができますよ。

 

そこは人生の分岐点
BAR
追分

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BAR追分
伊吹有喜(著)、角川春樹事務所

新宿三丁目交差点近く―かつて新宿追分と呼ばれた街の「ねこみち横丁」の奥に、その店はある。そこは、道が左右に分かれる、まさに追分だ。BAR追分。昼は「バール追分」でコーヒーやカレーなどの定食を、夜は「バー追分」で本格的なカクテルや、ハンバーグサンドなど魅惑的なおつまみを供する。人生の分岐点で、人々が立ち止まる場所。昼は笑顔かかわいらしい女店主が、夜は白髪のバーテンダーがもてなす新店、二つの名前と顔でいよいよオープン!(表紙裏)

 

新宿にある【BAR追分】を舞台にした4作品が収録された短編集。登場人物の行動に共感しながら、ほっこりあたたかい気持ちになれる一冊です。

たとえば、第3話の「幸せのカレーライス」の『カレーのトッピング』について。仕事でいいことがあったときは、大奮発してトンカツ。自分を励ましたいときには、トッピングのなかでも2番目に安いコロッケ。ささやかな贅沢だと笑われるかもしれませんが、日々の幸せってそういうものだったりしますよね。

分かるなぁと共感しながら私は読んでいました。

作中、主人公の人生を大きく変えるような出来事が起こります。
「将来どころか、何を楽しみにして、明日から生きていけばいいのかもわかんないよ」と悲観する主人公の『カレーのトッピング』は……?

ぽかぽかあったかい結末には感動してしまいました。

 

88歳のばあちゃんが知恵とユーモアでみんなを幸せにする
ひかりの魔女

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『ひかりの魔女』
山本甲士(著)、双葉社

うちのばあちゃんって一体何者!?浪人生の真崎光一は、一緒に住み始めた祖母が、方々で先生と慕われることに驚く。どうやら昔から色々な人を幸せにしてきたらしいのだ。実際、家族の抱える諸問題もいつの間にか解決してしまった。光一は目撃する。ばあちゃんの作るびっくりするほど美味しい料理や「優しいうそ」の力がもたらした信じがたい奇跡を―。「こんな人がいてくれたら」ワンダフルでスペシャルなおばあちゃんが惹き起こす幸せの物語。(表紙裏)

 

88歳のすごすぎる「ばあちゃん」にまつわる、クスッと笑える長編。

「荷物を運ぶのが辛そうにしてる方が、親切な人が助けてくれるから」と言って、わざと腰を曲げて歩きながら我が家に来た「ばあちゃん」。

ばあちゃんがやっていることは、人と会い、話し、家事をするなど、ごく日常的なこと。なのに、ばあちゃんの行いによって、家族や街に起こった大きなアクシデントが次々と解決の道を辿ります。
その秘訣とは……?

ばあちゃんのユーモアと知恵にはつい感心してしまいますし、類い稀なコミュニケーション能力の高さは勉強になりました。

読後感もよくほっこりした気持ちで読み終えることができますよ。

 

活字を拾い言葉を印刷していく
活版印刷三日月堂

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『活版印刷三日月堂』
ほしおさなえ(著)、 ポプラ社

古びた印刷所「三日月堂」が営むのは、昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、活字と言葉の温かみによって心を解きほぐされていくが、店主の弓子も何かを抱えているようで―。(表紙裏)

 

活版印刷を行っている【三日月堂】を舞台にしたノスタルジックな短編集。目に見えない「言葉」が、想いをのせて「活字」に刷りあがる……。読書好きのツボをくすぐる作品となっています。

活版印刷の知識もふんだんに盛り込まれ、知的好奇心を満たされること間違いなし。活版印刷では、単に「活字を印刷」ではなく、「活字を拾う」という表現を用いることを、私は本書を読んで初めて知りました。

なお、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が出てくるのも本書の見どころ。活字印刷の仕事をしていた主人公のジョバンニについて言及されています。

『銀河鉄道の夜』と同様に、静謐な美しい空気をまとった一冊です。非現実的な美しい表紙と、三日月堂に訪れる人たちの心温まるエピソードの対比に、私はすっかり心を惹かれてしまいました。

 

 

美しい心を持った美しい人々の物語
キサトア

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『キサトア』
小路幸也(著)、文藝春秋

世界的アーティストだが病気で色がわからないアーチ、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な双子の妹キサとトア。不便な事もあるけれど、“風のエキスパート”である父と海辺の町の愉快な仲間と共に楽しく暮らしている。だが父の仕事が原因で一家は少し困ったことに…。やさしい四季の物語。文庫書き下ろし掌編を収録。(表紙裏)

 

色を識別できない「アーチ」、太陽が昇っている間しか活動できない「キサ」、太陽が沈んでいる間しか活動できない「トア」の3兄妹が、海辺の街で生きる姿を描いたファンタジー小説。

病気のせいで、3人とも普通の生活を送ることができませんが、街の人たちはみな優しく、あたたかく、3人に助けの手を差し伸べてくれます。ですが、お父さんの「フーガ」があらぬ疑いをかけられたことで、状況は変わっていきます……。

美しい心を持った登場人物たちに癒され、心洗われ、そして、今を生きていることを感謝したくなる一冊です。

 

読書で「ほっこり」してみては?

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心温まるおすすめの4作品を紹介しました。

読書でほっこりした気持ちになってくださいね。

 


 

今回ご紹介した書籍
BAR追分』伊吹有喜(著)、角川春樹事務所
ひかりの魔女』山本甲士(著)、双葉社
活版印刷三日月堂』ほしおさなえ(著)、 ポプラ社
キサトア』小路幸也(著)、文藝春秋


 

秋は夜が長く、心地の良い気候で、読書をするには最適です。
秋の夜長に読みたいおすすめ小説もご紹介しています♪

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。