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秋の夜長に読みたい!とっておきのおすすめ小説


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すっかり秋めいてきましたね。

食欲の秋、運動の秋……いろいろありますが、アオノはやっぱり「読書の秋」です。

 

「読書の秋」という言葉は、明治以降にできた言葉なのだそうです。
元々は、唐の時代の文人、韓愈(かんゆ)の「符読書城南」という漢詩の一節

「灯火(とうか)親しむべし」

が由来だといわれています。

「秋は涼しく感じられるので、夜には灯りの下での読書をするのに最適だ」

という意味なのだとか。

そこで今回は「秋の夜長に読みたい小説」を集めました!

児童書からハートフルな作品までピックアップしています。

この秋は読書を楽しんでみませんか?

 

大人にこそ読んでほしい!心が洗われる児童文学
星の王子さま

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『星の王子さま』
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(著)、河野万里子(訳)、新潮社

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった……。(新潮文庫版 裏表紙より)

 

今でも世界的な人気を誇る児童文学であり、とても有名な作品です。

郵便輸送をしていたアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが、リビア砂漠に墜落した経験から生まれた作品だと言われています。

小さな星からきた小さな王子さまが、砂漠に不時着してしまった「僕」に語ってくれたのは、色んな星で出会った変てこな大人のこと。そして、自分の星に置いてきてしまった一輪の薔薇、地球で出会ったキツネのこと。

『星の王子さま』に出てくる「いちばんたいせつなことは、目に見えない」は有名な言葉ですが、この言葉がどういった経緯で使われた言葉なのかは、読まなければわかりません。
しかしそれを知ると、普段何気なく聞いていたこの言葉が、さらに特別な言葉に聞こえるはずです。

忙しい大人にこそ、一度立ち止まって読んでもらいたい、心が洗われるような美しい物語。

ぜひ一度、読んでみてくださいね。

 

人付き合いが苦手な「僕」と幽霊と猫のお話
しあわせは子猫のかたち~HAPPINESS IS A WARM KITTY~

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『失踪HOLIDAY』より
「しあわせは子猫のかたち~HAPPINESS IS A WARM KITTY~」
乙一(著)、角川書店

14歳の冬休み、わたしはいなくなった――。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出! その失踪先は……となりの建物!! こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって……!? 心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。(角川文庫 裏表紙より)

 

表題作「失踪HOLIDAY」と「しあわせは子猫のかたち」の2編が入った短編集です。

乙一さんの作品の中でも、いわゆる「白乙一」と呼ばれる作風の小説で、優しい雰囲気に溢れた一冊になっています。

「しあわせは子猫のかたち」は、人付き合いが苦手な「僕」が主人公。
大学生になり一人暮らしを始めるのですが、その家の前の主人 雪村サキは、強盗にあい命を落としていました。サキが住んでいたままの家で、サキが飼っていた子猫と暮らし始める「僕」。
しかしその家には、姿は見えないけれど、確かにサキが住んでいるようで……。

孤独の切なさを感じながらも、心が温まるような優しいお話です。そして、その優しい雰囲気の中に、ミステリー要素が詰め込まれているのは、乙一さんならでは。

人付き合いの苦手な「僕」の心情に、共感する人も多いのではないでしょうか?

寂しくなった時、孤独を感じた時、心をまるごと包み込んでくれるような本書がおすすめです。

 

アルゼンチンタンゴに魅せられた5編の恋愛小説集
サイゴン・タンゴ・カフェ

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『サイゴン・タンゴ・カフェ』
中山可穂(著)、角川書店

インドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟のような一画にそのカフェはあった。主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老婆。しかし彼女の正体は、もう20年も前に失踪して行方知れずとなった伝説の作家・津田穂波だった。南国のスコールの下、彼女の重い口から、長い長い恋の話が語られる……。東京、ブエノスアイレス、サイゴン。ラテンの光と哀愁に満ちた、神秘と狂熱の恋愛小説集。(文庫カバー裏より)

 

アルゼンチンタンゴにまつわる5編の恋愛短編集です。

中山可穂さんと言えば、女性同士の恋愛小説を多く書かれていますが、本作はすべてが同性同士の恋愛話ではありません。けれども、すべてがアルゼンチンタンゴにまつわる話であり、ベトナムやアルゼンチンの熱気が肌に伝わってくるような濃厚な雰囲気に溢れた一冊です。

5編のうち、私は「ドブレAの悲しみ」という、猫が主人公の短編が特にお気に入り。
バンドネオン奏者のおじいさんと暮らす、ドブレAと名付けられた猫が、殺し屋ノーチェと出会うのですが、ノーチェの次のターゲットは、ノーチェに恋心を寄せる女性で……。

ドブレAの一人称で綴られていく物語。タンゴと猫を愛する中山可穂さんならではの視点は斬新です。ドブレAの健気さ、猫であるゆえの憤りがひしひしと伝わってくる物語。

猫って、こんなことを考えながら人間と暮らしているのかな……と思ってしまいました。

読んでいると、アルゼンチンタンゴが聴きたくなる短篇集。

アルゼンチンタンゴを聴いたことがない方も、小説を読みながら聴いてみてはいかがでしょうか?

 

ハートフルなハードボイルド小説
セント・メリーのリボン

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『セント・メリーのリボン』
稲見一良(著)、光文社

矜持、無垢な魂……。

心温まる〝男の贈りもの〟(文庫版帯より)

 

帯にあるとおり、テーマは「男の贈りもの」。

表題作「セント・メリーのリボン」を含めた、5作の短編集です。

「セント・メリーのリボン」は、失踪した猟犬捜しを仕事にしている探偵・竜門卓に、盲導犬の行方を探す依頼が舞い込んでくるというストーリー。相棒の猟犬ジョーと共に調査をしているうちに、ある盲目の少女に辿りつくのですが……。

「ハードボイルド小説が読みたい!でもちょっとソフトな感じがいいな」と思っていた時に、ハートフルでハードボイルドな小説があるよ、と紹介してもらった本書。ハードボイルドのカッコよさと、人の温かさに溢れた優しい物語です。そして、日本における盲導犬の実態が、わかるお話でもあります。

「男の贈りもの」が何なのかわかったとき、思わず目頭が熱くなりました。

「セント・メリーのリボン」は『孤独のグルメ』で有名な谷口ジローさんがコミカライズしています。

こんなハードボイルド小説があったんだ、と思わずにいられない一冊です。

 

秋は読書を楽しんで!

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どの作品も、胸を打つおすすめの作品ばかりです。

秋の夜はお気に入りの本を見つけて、ゆっくりと読書を楽しんでみてくださいね。

 


今回ご紹介した書籍

星の王子さまアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(著)、河野万里子(訳)、新潮社
失踪HOLIDAY乙一(著)、角川書店
サイゴン・タンゴ・カフェ中山可穂(著)、角川書店
セント・メリーのリボン稲見一良(著)、光文社


 

それでもやっぱり「食欲の秋」だよ!というあなたには、こちらがおすすめ!

ライター

アオノ
アオノ
本と芝居とミュージカルが好き。小説と児童書が特に好きです。週末の楽しみは、劇場へ行くこと。舞台を観るため各地へ飛び回るアラサ―女子です。