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恐怖?それとも共感? 女同士のドロドロした関係を描いた小説


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嫉妬心、ウラオモテ、悪口、黒い感情、格付け、マウンティング……女同士の「ドロドロした関係」を描いた作品を集めてみました。

実際に「ドロドロ」に巻き込まれるのは避けたいのに、読んだあと嫌な気持ちになるとわかっているのに、どうしてか「ドロドロ」小説を読みたくなる……そんな方も多いのではないでしょうか?(私もそのうちの一人です。ドロドロのドラマも大好きです)

今回ご紹介するものは、「イヤミス」のようなミステリー小説ではなく、あくまでも「ドロドロの人間関係」を描いたものです。もしあなたが女性でしたら、共感できる部分もあるかもしれません。

じんわりと、怖い世界をお楽しみください。

 

あなたの中にもイジ女(いじめ)はいる

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『イジ女』
春口裕子(著)、双葉社

そこはかとなくイジ女。気がつけばイジ女。女性心理のチクチク感を書かせたら当代随一の著者が、女社会のリアルシーンをこれでもかと描き込む。イジの悪い女、イジイジした女、イジになる女、イジってくる女…やっぱり世の中には「イジ女」がたくさんいる。あなたはどんなイジ女?同僚は?ご近所は?肩肘張らずに共感タップリ。分かるぶんだけ、コワくて楽しい短編小説集。(表紙裏)

 

「イジ女(いじめ)」を含む短編集。

比較的コミカルな作風で「女性の醜い部分」が描かれているのが特徴的な一冊。そのため、ドロドロ小説にもかかわらず、読後感が軽く読みやすい作品です。

女性客が多いお店に行っては「私には彼氏がいるのよ」と周囲を見下す女。

派遣社員の中で勃発するいじめ。

取り巻きを引き連れたボス的存在の女 VS. 控えめな女のバトル。

タワーマンションで行われる主婦同士の見栄の張り合い。

日常の中に潜む「ドロドロ」ってなんでこんなに面白いのでしょう?
個人的には「あ~確かにこういう女性いるいる~」と共感しながら楽しめました。

 

自分より劣っていると思っていた

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『女友達』
新津きよみ(著)、角川書店

29歳独身、一人暮らしで特定の恋人は無し。満たされぬ毎日を送っていた千鶴は、ふとしたきっかけから隣人・亮子と知り合った。同い年だが自分より容姿も収入も劣っている亮子との友情に、屈折した安らぎを見出す千鶴。ファッションや持ち物の比較、相手の幸せへの嫉妬、虚栄心を満たすための小さな嘘―女友達の間にはありがちな些細な出来事が積み重なった時、ふたりの間に生まれた惨劇とは?女性心理の奥底を緻密に描く、長編サスペンス・ホラー。(表紙裏)

 

女性の深層心理を描いた長編。主人公の千鶴と、何もかもが千鶴より劣っている亮子の関係性がテーマとなっています。

相手の容姿を見て「自分より上か下か?」を判断する女。

容姿、社会的立場など総合的に「自分より下」の人間には優しく接することができる女。

見下されていると分かっていても、美しい女と一緒にいることで「女の価値」が上がったような錯覚を起こす女。

女性特有のいやらしさのオンパレードが続きますが、本書はそれだけでは終わりません。

もし、自分より劣っていると思っていた相手が、ある日自分を超えてしまったら?

……続きはぜひ手にとって確認してみてください。心が凍りつきます。

 

「微笑みがえし」の本当の意味とは?

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『微笑みがえし』
乃南アサ(著)、 祥伝社

「白い箱からパッキングを取り除き観葉植物が顔を出した瞬間、彼女の手は鮮血で染まった。箱の下に、鋭くとがったガラスの破片がぎっしりと詰まっていた」タレントの阿季子は結婚を機に芸能界を引退、幸せに暮らしていた。が、テレビ復帰が決まった直後から、不気味な嫌がらせが始まった。無言電話、尾行、そして悪意の贈り物……。いったい誰が、何のために!?(表紙裏)

 

「表面上では親友でも、陰では……」という女のウラオモテを描いた長編。

登場人物は、阿季子、由記、玲子、ちなみの同級生グループ。中学時代からの付き合いで、表面的にはお互いに笑いあっていますが、腹の底では憎悪がひしめき合う怖い関係です。

中学時代には夢を語り合っていた4人ですが、大人になり、夢を叶え、成功したのは阿季子ただ一人。そして事件が起こります……。

女同士の妬み、恨みつらみ、いろんな感情が悪意となり爆発して、ストーリーは進んでいきます。

とにかく怖くゾッとしたいならこの作品を。ラストスパートにかけての「微笑みがえし」の意味が分かったときは、つい唸ってしまいました。

 

「嫉妬で女は磨かれる」

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『嫉妬』
林真理子(著)、 ポプラ社

高校時代、やけに男を魅きつけた尾高裕美に。東京で生まれ育った美貌の同級生の吉岡暁子に。海外生活をしてきた同僚のエイミーに…。そのおさえても湧き上がる黒い嫉妬の感情に飲まれていく男女を鋭い筆さばきで描いた、切なくも残酷な傑作短編集。(表紙裏)

さまざまな観点からの「女の嫉妬」をテーマにした短編集。

東京生まれ東京育ちのお嬢様に憧れる、田舎出身の冴えない女。その憧れの同級生が仙台で暮らしていることを知り、東京在住の主人公は優越感を感じるようになります。

他には、敵うわけがない相手を、勝手にライバル視して嫉妬心を燃やしていたり。

他人から見ればちっぽけな優越感でも、何かしら上の立場に立っていないと気が済まない女たちがこれでもかと言わんばかりに描かれています。

解説は内館牧子さん。
「嫉妬で女は磨かれる」という言葉にはつい納得してしまいました……。

 

女同士の怖いドロドロの世界を楽しんで

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フィクションだからこそ楽しめるドロドロの世界。女性であれば共感できるものも多いはず。

ぜひ手にとって見てくださいね。

 

今回ご紹介した書籍
イジ女春口裕子(著)、双葉社
女友達新津きよみ(著)、角川書店
微笑みがえし乃南アサ(著)、 祥伝社
嫉妬林真理子(著)、 ポプラ社

 

女性って怖い……でもついつい読みたくなる!

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。