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村田沙耶香さんのおすすめ小説|どこか不気味で、生々しい世界を


更新日:2017/9/3

『コンビニ人間』が第155回芥川賞を受賞し、一躍時の人となった村田沙耶香さん。

村田さんの描く世界は、どこか不気味で、異様で、救いがありません。村田さんの世界観を表現する上で、書評家の藤田香織さんの言葉に強く共感したので、引用したいと思います。

 

「怖い。容赦がない。気味が悪い。それはもう、短編でも長編でも変わることなく、時にはあまりの生々しさに、読んでいた本を遠ざけたこともありました。そうでもしなければ、主人公が侵されている毒に感染してしまうような気がして」(『ギンイロノウタ』解説より)。

 

それでも、ページをめくる手が止まらない。怖いのに、いつしか夢中になっている……そんな中毒性を持っている村田さんの描く世界。

これまでに読んだことのないような、強烈な作品たちをどうぞお愉しみください。

 

徐々に狂っていく少女……
『ギンイロノウタ』

『ギンイロノウタ』表紙

ギンイロノウタ
新潮社

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは…。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。(表紙裏)

野間文芸新人賞受賞作。

まさに「狂気」の物語。少女の性、家族内不和、生きづらさ、殺人への衝動を描いた作品です。

一人の少女における半生が描かれているのですが、こうやって人は狂っていくのだということをまざまざと見せつけられる内容となっています。

ノートに具体的な殺しの計画を綴る有里。相手を殺すイメージはいつしか彼女のエクスタシーになっていました。彼女の行く末は果たして……?

グロテスクな表現が苦手な方にはお薦めしませんが、ドストエフスキーの『罪と罰』の影響を感じさせられる表現には思わず唸ってしまう傑作です。

 

恋愛や、性への欲が消滅した世界
『消滅世界』

『消滅世界』表紙

消滅世界
河出書房新社

「セックス」も「家族」も、世界から消える・・・

日本の未来を予言する圧倒的衝撃作

壮大な世界。でもこれは母と娘の物語ではないだろうか。さすが村田沙耶香。この作家はすごい。-中村文則

見たこともないほど恐ろしい「楽園」がここにはあります。-岸本佐知子

(帯)

「セックスなんてよくできるわね、あんな汚いこと」

夫婦間のセックスがタブー視され、人工授精で出産することがスタンダードとされる、近未来を描いた作品。

人工授精で男性も出産ができ、人々は二次元の恋を楽しみ、子供ちゃんを”匹”で数えます。(本作ではすべての子供を「子供ちゃん」と呼びます)

常識に揺さぶりをかける衝撃作となっており、背筋がぞわっとする怖い作品なのですが、何よりも怖いのが、『ありえない話』だと一蹴することができないこと。科学の発展でこのようなことも可能になるかも……と思ってしまうほどリアリティに富んだ設定なのです。

途中、あまりにもおぞましく、読み進めることを中断してしまったほど。ラストシーンには呆然としました……。

 

女の子同士にある上下関係とは……
『マウス』

『マウス』表紙

マウス
講談社

私は内気な女子です―無言でそう訴えながら新しい教室へ入っていく。早く同じような風貌の「大人しい」友だちを見つけなくては。小学五年の律は目立たないことで居場所を守ってきた。しかしクラス替えで一緒になったのは友人もいず協調性もない「浮いた」存在の塚本瀬里奈。彼女が臆病な律を変えていく。(表紙裏)

小学生のスクールカーストを描いた作品。

村田さんは小学生の頃「暗いグループ」の自分と「大人しいグループ」の違いは何なのかを考えていたそう。当時の記憶から着想したこの作品。立ち位置を気にしたり、人からどう見られるかを意識して振る舞う主人公に反して、自由奔放な瀬里奈。

くるみ割り人形の童話をきっかけに、瀬里奈が変貌して行く姿には、きっと驚愕するはずですよ。

 

思春期にうずまく闇
『しろいろの街の、その骨の体温の』

『しろいろの街の、その骨の体温の』表紙

しろいろの街の、その骨の体温の
朝日新聞出版

クラスでは目立たない存在の結佳。習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に彼を「おもちゃ」にしたいという気持ちが高まり、結佳は伊吹にキスをするのだが―女の子が少女へと変化する時間を丹念に描く、静かな衝撃作。第26回三島由紀夫賞、第1回フラウ文芸大賞受賞作。(表紙裏)

三島由紀夫賞、フラウ文芸大賞受賞作。

一人の少女の小学4年生から中学2年生までの5年間を描いた作品。

小学校の頃は仲が良かった結佳・信子・若葉でしたが、中学に入り、疎遠になってしまいます。最上級のグループの若葉、下から2番目のグループに属する主人公の結佳、最底辺のグループの信子。彼女たちはどうして離れてしまったのでしょう?

また、クラスの女王から好意を抱かれている伊吹と、結佳の禁断の関係も並行して描かれます。

解説は西加奈子さん。読んでいて息が詰まる作品ですが、西さんの解説も含めてぜひ読んでほしい1冊です。

 

村田さんの作品たちを読んでみよう

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一度読めば二度と忘れられない、村田沙耶香さんの作品たち。ぜひ手にとってみてくださいね。

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今回ご紹介した書籍

ギンイロノウタ』新潮社

消滅世界』河出書房新社

マウス』講談社

しろいろの街の、その骨の体温の』朝日新聞出版